「令和5年度孤独・孤立対策活動基盤整備モデル調査」の取り組みとして「フードバンク団体を起点とした、ケアリーバーへの支援スキームの確立」に関する調査検討・実証を実施
また孤独・孤立対策の分野での相談業務において、一定の知見やシステム開発力を有する日立製作所に事業の一部を再委託し、本事業の特長の1つである、ITツールを活用した孤独・孤立対策についても検討推進しています。
■ケアリーバーとは
ケアリーバーとは児童養護施設や里親家庭などの社会的養護の経験者のことを指します。
■事業の背景
ケアリーバーは施設退所後に経済的な困窮を抱え、社会的に孤立し、日常生活で困難を抱えるケースが多くなっています。これらの困難の背景として、施設退所後の援助の不足が挙げられます。フードバンク団体の支援先に児童養護施設や自立援助ホーム等の団体が含まれることはありますが、支援の必要性がより高くなる退所後に、継続的に食料支援や相談支援を行う仕組みが確立できていない現状があります。
■事業の目的
本事業の目的は、「フードバンク団体を起点とした、ケアリーバーへの支援スキームの確立」です。ケアリーバーが抱えている課題に対し、継続的な見守りや食料支援、相談支援を行うことでケアリーバーとの繋がりを維持し、施設退所後も安心して生活できるような仕組みづくりに取り組んでいます。
■取り組み内容
本事業では「フードバンク団体を起点とした、ケアリーバーへの支援スキームの確立」に向けて、山梨、北九州両エリアで食料支援の試行的な実証を行っています。食料支援の実施に当たってオンラインで申請の受け付けができるツールを提供し、これによりフードバンク団体と社会的養護施設の効率的な情報連携を実現しました。
■食料支援実証概要
<山梨エリア食料支援実証>
期間:2023年11月~2024年1月
協力団体:山梨県里親の会きずな会
支援対象:里親の元を離れた里子(ケアリーバー)、里親家庭
支援数:21件
<北九州エリア食料支援実証>
期間:2023年12月~2024年1月
協力団体:自立援助ホーム8施設、児童養護施設7施設、自立支援生活相談所、
里親の会、ファミリーホーム
支援対象:ケアリーバー、施設在所者
支援数:18件
配布する食品 食品を受け渡している様子
(山梨県里親の会きずな会) (山梨県里親の会きずな会)
■実証協力団体
エリア | 団体名 | 実施期間 | 連絡先 |
山 梨 | 認定NPO法人フードバンク山梨 | 2023年12月~2024年2月 | 055-298-4844 |
北九州 | NPO法人フードバンク北九州ライフアゲイン | 2024年1月~2024年2月 | 093-672-5347 |
■社会的養護施設等を退所した若者(ケアリーバー)支援に関するアンケート調査結果
本事業では、フードバンク団体が実施する、社会的養護施設やケアリーバーに対する支援状況を把握すことを目的として、全国フードバンク推進協議会に加盟するフードバンク団体を対象としたアンケート調査も実施しています。
調査対象:全国フードバンク推進協議会に加盟するフードバンク59団体
回答数(n):34団体
回答率:57.6%
■調査結果概要
児童養護施設への食品提供を実施している団体の割合が最も多く、約7割の団体が実施していると回答しました。次いで自立援助ホームが5割、ファミリーホームが4割、里親家庭においては2割の団体しか食品提供ができていないことが明らかになりました。
また、多くの団体がケアリーバーの抱える課題を認識しているものの、ケアリーバーへの食料支援を実施している団体は3割程度であることも明確になりました。
ケアリーバーへ支援の実施に向けて不足しているリソースとしては、ノウハウが不足していると回答した団体の割合が最も多く、また半分以上の団体がマンパワーや活動資金が不足していると回答しました。
① 児童養護施設への食品提供有無 ② 自立援助ホームへの食品提供有無
約7割の団体が実施している 半分の団体が実施している
③ ファミリーホームへの食品提供有無 ④ 里親家庭に特にフォーカスした食料支援の有無
4割の団体が実施している 2割の団体が実施している
⑤ ケアリーバーが抱えている課題のうち、認識していたもの(複数回答)
多くの団体ではケアリーバーが抱えている課題を認識している
⑥ケアリーバーへの食料支援の実施の有無
3割の団体しかケアリーバーにフォーカスした支援は実施していない
⑦ケアリーバーへの支援の実施に向けて不足しているリソース
ノウハウが不足していると回答した団体の割合が最も多く、
また半分以上の団体がマンパワーや活動資金が不足していると回答した。
本事業で確立した支援スキームを、特定の地域に偏らず全国のフードバンクに共通した支援スキームを普及させることが、中間支援団体である弊会に求められる社会的意義であると考えています。本支援スキームが普及することで、アフターケアも含め負担の大きい社会的養護施設の業務負担の軽減にも期待できます。
引き続き、ケアリーバーが施設退所後も安心して生活できるような仕組みの構築に向けて、取り組んでまいります。
<本件に関するお問い合わせ先>
一般社団法人全国フードバンク推進協議会 担当:代表理事 米山 廣明
E-mail:info@fb-kyougikai.net Tel:080-6895-5796
※1<団体概要>
団体名称:一般社団法人全国フードバンク推進協議会
本社所在地:〒171-0014 東京都豊島区池袋2丁目61−4エヌアイビル3F
代表理事:米山廣明
設立:2015年11月13日
URL:https://www.fb-kyougikai.net/
活動内容:政策提言活動、広報活動、フードバンク団体へのノウハウ支援、食品寄贈の仲介
ミッション:明日の食事に困る人のいない社会をつくる
TEL:03-6912-9444
担当者:米山廣明(080-6895-5796)
※2「孤独・孤立対策の重点計画」参照
(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/juten_keikaku/jutenkeikaku.html)
※3「孤独・孤立対策官民連携プラットフォーム 分科会2 中間整理」参照
(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kodoku_koritsu_platform/branch2022_2/bunkakai2_honbun.pdf)
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