若年層に「盲ろう」への理解を──5大学で開催した盲ろう者理解・啓発プログラムに延べ100名以上が参加

令和7年度WAM助成事業として、早稲田大学、東洋大学、日本社会事業大学、帝京平成大学、聖心女子大学にて実施

認定NPO法人 東京盲ろう者友の会(所在地:東京都新宿区、理事長:藤鹿一之)は、令和7年度 独立行政法人福祉医療機構(WAM)社会福祉振興助成事業「若年層を対象とした盲ろう者理解・啓発プログラム実施事業」の一環として、早稲田大学、東洋大学、日本社会事業大学、帝京平成大学、聖心女子大学の5大学で盲ろう者に関する講演、ワークショップ、映画上映などの啓発プログラムを実施しました。これらの取り組みには延べ100名以上の学生・教職員・一般市民が参加し、盲ろう者に対する理解と支援意識の高まりが見られました。


・背景と目的

視覚と聴覚の両方に障害を持つ「盲ろう者」は、日本に約1万人存在すると推計されています。盲ろう者は情報の取得、移動、コミュニケーションなど日常のあらゆる場面で困難を抱えており、適切な人的支援が不可欠です。そのために盲ろう者向け通訳・介助者派遣制度が設けられていますが、東京都では30歳以下の登録通訳・介助者数が過去10年で11%から3%へと大幅に減少し、若年層の支援人材の確保が深刻な課題となっています。

東京盲ろう者友の会は、都内で盲ろう者向け通訳・介助者養成講習会を唯一実施している団体であり、長年にわたり盲ろう者支援のための人材育成に取り組んできました。しかし近年、若年層の参加は低調で、盲ろう者を知る機会自体が限られていることが大きな要因であると考えられます。

こうした現状を踏まえ、「盲ろう者理解・啓発プログラム」は、当事者による講演やコミュニケーション体験、映画上映など、実践的かつ多様な形式を組み合わせて構成。教育・福祉・医療などの将来を担う学生たちが、「盲ろう」を知り、支援の重要性を理解し、興味や関心を喚起するとともに、共生社会の現実と向き合うきっかけを提供しています。

・5大学での実施内容と反応

■ 早稲田大学

開催日:2025年5月9日(金)

参加者:学生9名

内容:「社会福祉演習III・IV」の授業内にて、盲ろう者であり当会理事長・藤鹿一之による講演と指点字コミュニケーション実習を実施。点字の仕組みや支援機器、盲ろう者の生活と困難、支援のあり方について学生が実践を交えて学びました。

反応:すべての学生が「とても満足」と回答し、「指点字による実習は初めてで貴重だった」「実際に触れ合って、支援の現実が見えた」といった実感に満ちた声が多数寄せられました。

早稲田大学でのプログラムの様子

■ 東洋大学

開催日:2025年6月21日(土)

参加者:学生21名

内容:ダイバーシティチームの学生を対象に「盲ろう者理解ワークショップ」を実施。藤鹿一之理事長による講義、生活実態やコミュニケーション方法の紹介、疑似体験を通じ、支援の必要性や配慮について深く学びました。

反応:多くの学生が「盲ろう者と関わる自信がついた」「実体験の話に引き込まれた」と回答。アンケートでは、支援への関心と行動意欲の向上が確認されました。

東洋大学でのプログラムの様子

■ 日本社会事業大学

開催日:2025年6月22日(日)

参加者:18名(学生・教職員)

内容:「社大福祉フォーラム2025」の一環としてシンポジウムを実施。登壇者は盲ろう者で当会顧問の福島智、東京都盲ろう者支援センター長の前田晃秀。制度的支援と当事者の視点から、盲ろう者支援のあり方とこれからの展望について多角的に議論されました。

反応:「当事者の声を直接聞くことで、自分の中の『支援』のイメージが具体的になった」「支援の未来像について考えるきっかけになった」といった声が多数寄せられました。

日本社会事業大学でのプログラムの様子

■ 帝京平成大学

開催日:2025年7月1日(火)

参加者:学生36名

内容:教職課程の授業内にて、先天性盲ろう者で当会理事の森敦史が講義。自身の教育歴や現在の勤務内容、また支援体制の現状について学生に語り、コミュニケーションや関わり方の工夫について伝えました。

反応:「現場での支援を具体的にイメージできた」「教育者として知っておくべき内容だと感じた」など、将来の進路に直結する学びとして高い評価を得ました。

帝京平成大学でのプログラムの様子

■ 聖心女子大学

開催日:2025年7月4日(金)

参加者:19名(学生・教職員・一般)

内容:公開講座として、映画『もうろうをいきる』の上映後、盲ろう者で当会理事の村岡美和による講演を実施。自身の障害の経緯や日常生活での工夫、生き方について語りました。多くの参加者が映像と当事者の語りの両方に深い共感を寄せました。

反応:「盲ろう者のイメージが変わった」「生き方に感銘を受けた」「今後も継続的に学びたい」という感想が寄せられ、参加者にも響く内容となりました。

聖心女子大学でのプログラムの様子

・今後の展開

今回の5大学での取り組みは、令和7年度 独立行政法人福祉医療機構(WAM)社会福祉振興助成事業「若年層を対象とした盲ろう者理解・啓発プログラム実施事業」の一環として、実施しています。今後も、東京都近郊の大学を中心に、より多くの教育機関と連携しながら展開を拡大していく予定です。

プログラムは、授業や公開講座、学内イベントなどに合わせて柔軟に提供可能で、映画上映、講演、体験学習などから構成されます。費用は原則無料(当会が全額負担)で、希望に応じて内容をカスタマイズすることも可能です。詳しくは、下記の先行リリースもご参照ください。

▶︎【大学関係者向け】ダイバーシティ教育の新提案─「盲ろう者理解・啓発プログラム」を無料で提供!

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000133172.html

学生たちが「盲ろう者」の存在と支援の現場を知ることで、将来的な通訳・介助者の担い手が育ち、共生社会の実現に向けた土台が築かれることが期待されます。また、協力大学にとっても、学内におけるダイバーシティ推進やインクルージョン教育の一助として活用されています。

・認定NPO法人 東京盲ろう者友の会とは

「認定NPO法人 東京盲ろう者友の会」は、盲ろう者の自立と社会参加の促進を目的とする認定NPO法人です。盲ろう者の福島智(現・東京大学特任教授)の大学進学を支援する活動をきっかけに、1991年に発足。
現在は、東京都盲ろう者支援センターおよび事業所「かけはし」の運営を行い、盲ろう者への通訳・介助者の派遣や養成、相談支援、個別訓練など多角的な支援を提供しています。

名称:認定NPO法人 東京盲ろう者友の会

所在地:東京都新宿区岩戸町4番地 87ビルディング岩戸町2階

理事長:藤鹿一之

ウェブサイト:http://www.tokyo-db.or.jp

・本リリースに関するお問い合わせ

認定NPO法人 東京盲ろう者友の会
TEL:03-6228-1282
E-mail:tokyo-db@tokyo-db.or.jp

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会社概要

URL
http://www.tokyo-db.or.jp/
業種
医療・福祉
本社所在地
東京都新宿区岩戸町4番地 87ビルディング岩戸町2階
電話番号
03-6228-1282
代表者名
藤鹿一之
上場
未上場
資本金
-
設立
1991年04月