「外国人や障害者から見た日本のボランティア- 2020年オリンピック・パラリンピックに向けて -」開催報告レポート

この度、日本財団ボランティアサポートセンター(以下、ボラサポ)は、今月行ったボランティアに関する実態調査の結果をもとに、ボランティア経験のある外国人や障害のある人(車椅子ユーザー、視覚障害者)等に登壇いただき、ボランティアに関する意見交換を行うことで、ボランティアの本質や障害者のボランティア参加についての理解を深めていただくことを目的に、報道関係者向けワークショップを開催いたしました。
シンポジウムの冒頭に、ボラサポ 渡邉 一利理事長より挨拶と今回のワークショップの開催趣旨説明がありました。


「オリンピック・パラリンピックを2年後に控え、長寿社会の実現および共生社会の実現に向けて、スポーツボランティアの本質について皆さんと一緒に考える時間としたい」と渡邉理事長。






ボラサポ参与である二宮雅也氏から「2020年に向けた展望」として話題提供があった後に、各人の経験を通じた「ボランティアの多様性」について、スピーカーから語られました。
 
  • 二宮雅也氏からの話題提供(要旨抜粋)
2020向けた展望」

東京2020大会のボランティア応募が始まる前には、インターネット上で、東京2020大会ボランティアに対する批判的な意見も見られました。ボランテイアの歴史や「ボランティアとは何か」という本質的なことを考えないまま、活動日数や活動時間などの一側面だけに着目する傾向にあったように思うが、一方で、ボランティアが話題に取り上げられたことにより、まったく関心のなかった方たちがボランティアについて考えるきっかけのひとつになったことは喜ばしいことでもありました。

また、ボラサポは今月ボランティアに関する実態調査を行いました。(以下、当日配布資料一部抜粋)

 

 

こちらの結果は、過去に行われた東京都の調査や各メディア調査の結果よりも、東京2020大会にボランティアとして「参加意思あり」と答えた人が非常に高い数字となっています。また、ボランティアに参加する理由についても、これまでの回答では「困っている人を助けたい」が多く見られましたが、今回の結果では「自分自身の視野を広げる」といった自己の成長に繋がることが期待されている回答となりました。
しかし、「東京オリンピック・パラリンピック ボランティアに対して期待すること」に対しては、大会終了後も継承されるレガシーとなるべき「ダイバーシティ&インクルージョンへの理解」の回答が低い数値となりました。今後、ボラサポをはじめ、関係各所が具体的な取り組みを進めていくことが重要であると考えます。
 
  • ワークショップ要旨抜粋)
ボランティアの多様性」

グレッグ・マルハーン 氏(英国大使館オリンピック・パラリンピック担当参事官)

イギリスと日本における過去1年間のボランティア実施率に関して、イギリス70%※1、日本26%※2という調査結果を踏まえ、マルハーン氏にご意見を伺いました。
※1…Community Life Survey, 2015-2016, Cabinet Office Official Statistics
※2…総務省 平成28年社会生活基本調査

この調査結果はとても興味深いものです。ボランティアの実施率をあげるためには、ボランティア活動が社会にとって意味のあることであるということを伝えていくことが大切だと思います。ボランティア活動に参加することで、新しい技術や経験を得ることが出来ます。特に若い世代の人たちにとっては、ボランティア活動が今後のキャリアに繋がるようなスキルを身に着けることが出来るひとつの機会と言えるでしょう。

内 俊哉 氏 (株式会社ミライロ代表取締役社長、般社団法人日本ユニバーサルマナー協会代表理事)

ボラサポが独自に行ったボランティアに関する実態調査によると、半数以上の人が困っている人をみかけた時に声をかけるという行動に移せておらず、その理由は、「その人が助けを必要としているかわからないから」がトップにあがりました。東京2020大会に向けてわれわれはどんなことが出来るのか、垣内氏にお話しいただきました。

リオデジャネイロ大会は、競技会場のバリアフリー化は出来ていませんでしたが、車椅子を押すのを取り合うほど誰もが声をかけてくれました。一方、平昌大会では、環境面では様々なバリアフリーが施されていましたが、「環境が整っているから大丈夫」という認識でボランティアからも声はかけられませんでした。日本は後者に近いと言えるでしょう。「何かお手伝い出来ることはありますか?」といった、困っている人に対するコミュニケーション方法を周知していくことが必要だと考えます。





秋吉 桃果 氏 (筑波技術大学 保健学科 学生

障害のある人に対する東京都の調査※3によると、過去1度でも何らかのボランティア活動に参加したことがあると答えた人は、31.5%でした。この数字は、障害のない人と比べても高い割合と言えます。これを踏まえ、障害のある人がボランティアに参加することについて、秋吉氏が自身の考えを語りました。
※3…東京都 平成29年 社会参加に関する障害者等の意識調査

障害があるから出来ないかもしれないと思わず、複数の活動内容を提示し、どれなら出来そうかと聞くことによって、障害のあるボランティアも自分が出来る活動に参加することが出来ます。また、初めて会う人たちに障害のことをどう説明するのか、欲しいサポートは何なのか等を自分で説明する力を身に着ける機会という意味で、障害のある人のボランティア参加はとても意味があることだと考えます。

尾崎 ホフマン 智子 氏 (認定特定非営利活動法人Hands On Tokyo PR&コミュニケーション・マネージャー)

日本体育協会および日本障がい者スポーツ協会公認指導員を対象にした調査によると、「いろいろな人との出会い」「新しい知識や経験」がスポーツ指導を行う理由の上位にあがっています。また、この2つは障がい者スポーツ指導員の回答割合がスポーツ指導員も高い値にあり、パラスポーツの魅力のひとつとも言うことが出来ます。パラスポーツボランティア経験のある尾崎氏からは、2020年パラリンピックに向けての展望を話していただきました。

個人的にはオリンピック競技のボランティアもパラスポーツのボランティアも大きな違いはないと思っています。どんな大会でも、選手が「また参加したい」と思えるような居心地の良い大会をつくることが大切だと感じています。パラスポーツに関する報道は増えてきてはいるものの、欧米と比べるとまだまだ少ないので、パラリンピックに向けて、パラスポーツに対する親しみやすさや理解を促進していきたいです。

ファシリテーター:二宮雅也 日本財団ボランティアサポートセンター参与/文教大学准教授

  • まとめ
東京2020大会に向けて、4名のスピーカーからひと言ずつメッセージをいただきました。

マルハーン 氏
東京2020大会をとても楽しみにしています。この大会が、これまでのどの大会よりも素晴らしいものになると思っています。
垣内 氏 
ここ数年で障害者スポーツに対する社会の関心が集まってきたように感じますが、障害者=スポーツをやっている人というイメージを持っている人が多いように思います。障害者にも多様性があり、いろいろな分野で活動しています。2020年以降、様々な側面から障害のある人に対して目が向けられる社会が実現することを願っています。
秋吉 氏
障害の有無に関係なく自分の能力を発揮できる社会になるように、そして東京2020大会がそのきっかけになれば良いなと思います。
尾崎 氏
東京2020大会をきっかけに、障害のある人を始めとした多様な人々が様々なところで活動しているのだということを考えてもらえたらと思います。

ボラサポは、今回初めて報道関係者向けのワークショップを行いましたが、今後も2020年に向けて様々な取り組みを行っていきたいと考えています。


「一般財団法人日本財団ボランティアサポートセンター」について
 団体名:一般財団法人日本財団ボランティアサポートセンター
 所在地:〒107-0052 東京都港区赤坂1-2-2 日本財団ビル3階
 代表者:渡邉 一利(笹川スポーツ財団 理事長)
 設 立:2017年9月29日
 URLhttps://www.volasapo.tokyo/index.html
 事 業:ボランティア育成事業(コンテンツ作成、講師育成など)
     気運醸成事業(ウェブサイト、映像製作など)
     ボランティア文化醸成事業(機会提供、マッチングなど)
     調査研究事業(平昌2018冬季大会ボランティア実態調査など)
 TEL:03-6229-2615 / e-mail:info@volasapo.tokyo

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会社概要

URL
https://vokatsu.jp/
業種
財団法人・社団法人・宗教法人
本社所在地
東京都港区赤坂1-2-2 日本財団ビル3F
電話番号
03-6229-2615
代表者名
渡邉 一利
上場
未上場
資本金
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設立
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