Scrumyが金融庁へ「企業内容等の開示に関する内閣府令等の改正案」に対するパブリックコメントを提出

単なる情報開示で終わらせない、持続可能な「サステナビリティ」につなげるための政策提言

持続可能な経営や地⽅創⽣を⽬指す「サステナブルテック事業」を展開する株式会社Scrumy(本社:東京都中央区、代表取締役CEO:笹埜健⽃、以下「Scrumy」)は、2022年11月30日、「企業内容等の開示に関する内閣府令等の改正案」(金融庁公表)に対するパブリックコメントを提出しました。パブリックコメントの作成につきましては、サステナブルテック領域を開拓されているたくさんの企業・大学・政府・自治体のみなさまにご協⼒を賜りました。

 
  • パブリックコメント

第1.概要

昨今、国際資本市場において哲学レベルでの大分裂が起こっています。例えば、ある投資家が「経済効果が一番大切だ」と主張すれば、別の投資家は「環境・社会への配慮が一番大切だ」と反論するでしょう。かかる状況においてこそ、「経済」と「環境・社会」はトレードオフの関係であるという仮説にとらわれることなく、両者はトレードオンの関係であるという「新しい資本主義」の発想が求められています。一方で、「新しい資本主義」の根底にある「サステナビリティ」の共通理解が確立しないままでは、「グリーンウォッシュ」や「SDGsウォッシュ」という表現で指摘されているような、「サステナビリティ」を錦の御旗とする有名無実の活動が蔓延し、実務や現場からは単なるきれいごとと思われ、投資家や株主からは無駄なコストだと思われ、「サステナビリティ」は一時のブームに終わってしまいます。そこで、内閣府令の改正にあたっては、何よりも、「サステナビリティ」を一時のブームとして終わらせるのではなく、我が国の文化にまで高めるという、現実主義にも理想主義にも傾かない政策方針、いうなれば「サステナブルなサステナビリティ」をサステナビリティ情報等の開示に関する政策の本質であると認識したうえで、サステナビリティ情報等の開示に関する規定が明記されなければなりません。

上記認識から、株式会社Scrumyは、「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正案に、以下の事項を盛り込むことを強く希望します。

第2.目次
 
  1. 投資家をはじめとしたステークホルダーの意思決定有用性と比較可能性を高めるために記載場所と記載方法の漸進的統一に向けた準備を
  2. マルチステークホルダーによるEBPM(証拠に基づく政策立案)を実現するために「アジャイルガバナンス(機動的で柔軟なガバナンス)」の導入を
  3. 人的資本に加えて知的財産情報も優先開示事項に
  4. 多様性に関する開示のさらなる強化を
  5. コーポレートガバナンスに関する開示のさらなる強化を
  6. サステナビリティ情報等の開示基準やフレームワーク間の整合性を高めるために「ビルディングブロックアプローチ」の導入を
  7. 見送りとなった議論の継続と新たな議論の開始を
 
第3.提言

1.投資家をはじめとしたステークホルダーの意思決定有用性と比較可能性を高めるために記載場所と記載方法の漸進的統一に向けた準備を


今回、サステナビリティ情報等について、有価証券報告書等の他の箇所に含めて記載した場合には、「サステナビリティに関する考え方及び取組」の記載欄において、当該他の箇所の記載を参照できるとする規定が提案されています(「企業内容等の開示に関する内閣府令(案)」第二号様式(記載上の注意)(30-2)本文)。しかし、投資家をはじめとしたステークホルダーの意思決定有用性や比較可能性を高めるためには、記載場所を漸進的に統一させるべきです。さらには、有価証券報告書等の提出会社に対してEDINETタクソノミを使用したiXBRL形式での財務諸表提出が義務づけられていることとの整合性をとるべきです。具体的には、サステナビリティ情報等の作成・流通・利用においても、iXBRL形式の採用を原則とするべきです。これを実現するために、以下の事項を明記してください。

(1)投資家をはじめとしたステークホルダーの意思決定有用性や比較可能性を高めるために、記載場所の統一化が望ましい点を明確にしてください

(2)投資家をはじめとしたステークホルダーの意思決定有用性や比較可能性を高めるために、サステナビリティ情報等についてもiXBRL形式で開示することが望ましい点を明確にしてください

(3)EDINETタクソノミを使用したiXBRL形式でのサステナビリティ情報等の開示を実現するために、サステナビリティ情報等に対応した「新EDINETタクソノミ」を早急に整備することが望ましい点を明確にしてください

2.マルチステークホルダーによるEBPM(証拠に基づく政策立案)を実現するために「アジャイルガバナンス(機動的で柔軟なガバナンス)」の導入を


政府は「アジャイルガバナンス」をデジタル社会のルールや行政の仕組みに関する共通指針となる「デジタル原則」の一つとして重視しています。これを踏まえ、サステナビリティ情報等の開示についても、政府、企業、個人・コミュニティといったマルチステークホルダーが、自らの置かれた社会的状況を継続的に分析し、目指すゴールを設定したうえで、それを実現するためのシステムや法規制、市場、インフラといった様々なガバナンスシステムをデザインし、その結果を対話(エンゲージメント)に基づき継続的に評価し改善していくガバナンスモデルである「アジャイルガバナンス」を基本原則として導入するべきです。これを実現するために、以下の事項を明記してください。

(1)マルチステークホルダーによるEBPMの実現のために、サステナビリティ情報等の開示についても、政府、企業、個人・コミュニティといったマルチステークホルダーが、自らの置かれた社会的状況を継続的に分析し、目指すゴールを設定したうえで、それを実現するためのシステムや法規制、市場、インフラといった様々なガバナンスシステムをデザインし、その結果を対話(エンゲージメント)に基づき継続的に評価し改善していくガバナンスモデルである「アジャイルガバナンス」を採用することが望ましい点を明確にしてください

(2)マルチステークホルダーによるEBPMの実現のために、財務的影響の証拠を評価することを目的とした統計調査に基づいて、各開示項目が収益、コスト、資産、負債、資本コストに与える影響の評価等を継続することが望ましい点を明確にしてください

(3)上記評価の際には、当該情報が既に企業によって収集されているか否かを踏まえて、可能な限り企業の開示慣行と整合させながら、適時かつ適正な費用での情報収集の可能性について検討することが望ましい点を明確にしてください

(4)マルチステークホルダーによるEBPMの実現のために、意思決定に有用な情報を構成する様々な特徴に基づいて、各開示項目の財務的影響、資本提供者の関心、業界内の企業における普及度、企業の実行可能性の評価等を継続することが望ましい点を明確にしてください

(5)上記評価の際には、各指標が各開示項目のパフォーマンスを忠実に表現しているか、パフォーマンスを解釈するために必要十分な情報を提供しているか、企業間や時系列で比較可能か、中立で偏りがないか、検証可能か、他の企業にも再現できるか、既存の業界基準やベストプラクティスに沿っているか、投資家が投資判断に組み込む際に理解しやすいか等について検討することが望ましい点を明確にしてください

(6)マルチステークホルダーによるEBPMの実現のために、サステナビリティ情報等の開示に関連するコストについて、主要なステークホルダーからの継続的なフィードバック等により、実態を十分に把握するよう努めることが望ましい点を明確にしてください

(7)上記評価の際には、業界ごとに財務上重要な最小限の開示項目になっており、投資家をはじめとしたステークホルダーの意思決定に有用でない情報が過剰に生成又は開示されないことが望ましい点を明確にしてください

(8)以上の事項を実現するために、サステナビリティ情報等の開示に関する基準策定やその活用の動きが急速に進んでいる状況等を踏まえ、1年ごとに制度の見直しをすることを明記してください

3.人的資本に加えて知的財産情報も優先開示事項に


投資家への情報伝達手段として重要な役割を果たす任意開示は、知的財産情報の開示において、求められる内容や目的が時代とともに変化しています。米国では、市場価値に占める無形資産の割合が増加しているのに対して、日本では依然として有形資産への投資が高い比率を占めています。他方、日本の企業には質の高い知的財産の蓄積があり、知的財産への投資を促進し、投資家をはじめとしたステークホルダーへの情報開示や建設的な対話(エンゲージメント)を進めることで、企業価値が高まると考えます。そこで、企業が中長期的な企業価値を創造する持続可能なビジネスモデルを構築し、企業と投資家との間の相互理解と対話(エンゲージメント)を促進させることで、新たな知的財産の獲得に向けた投資について資本市場からの理解やサポートが得られ、金融市場からの資金調達力が強化されることで、さらなる知的財産への積極的な投資につなげるといった好循環を促すべきです。具体的には、経営戦略で知的財産への投資や知的財産の活用を強化している企業は、構築した「価値創造ストーリー」と知的財産の位置づけに関する定性的・定量的な説明や、知的財産の知見を有する役員の存在を役員の「スキルマトリックス」内で開示するべきです。これを実現するために、以下の事項を明記してください。

(1)「企業が保有する知的財産の価値化が、どのような時間軸(短期・中期・長期)でサステナブルな価値創造に貢献していくかという『価値創造ストーリー』と知的財産の位置づけに関する定性的・定量的な説明」についても開示項目として明記してください

(2)「企業が『価値創造ストーリー』を構築・実行する上でのガバナンス構築に関する定性的・定量的な説明」についても開示項目として明記してください

(3)上記開示の際に用いられるべき定量的な指標については、業種、事業形態、ビジネスモデルなどによって異なるため、企業は、業種、事業形態、ビジネスモデルに即して検討した上で、用いる指標を抽出することができる点を明確にしてください

(4)人的資本との関連で、役員の「スキルマトリックス」に知的財産の項目を設定することが望ましい点を明確にしてください

4.多様性に関する開示のさらなる強化を


有価証券報告書の歴史を振り返ると、男女別給与が開示項目とされていました。しかし、「単体情報」から「連結情報」に転換する中で、「単体情報」を可能な範囲で簡素化する観点から、1999年に廃止されています。こうした歴史に鑑みると、男女別給与(男女間賃金差)に関しては企業規模に関わらず開示するべきです。さらに、従来は規定されていない多様性に関する情報についても開示するべきです。これを実現するために、以下の事項を明記してください。

(1)企業規模に関わらず、男女別給与に有意差が認められる場合には、「男女間賃金差」に関する説明責任が生じる点を明確にしてください

(2)有意な男女間賃金差が認められる場合、「男女間賃金差を埋めるための施策等の取り組み」についても開示項目として明記してください

(3)「企業に所属する障害者割合」についても開示項目として明記してください

(4)同一賃金同一労働法に基づいて、「労働契約別の従業員の給与(最低、平均、最高、分散)」及び「労働契約別の従業員の受けられる福利厚生の差」についても開示項目として明記してください

(5)「平均残業時間」についても開示項目として明記してください

(6)「育児及び介護有給の取得率」についても開示項目として明記してください

(7)「健康診断及び追加検査の受診率」及び「直接雇用外の従業員に対する健康管理等の取り組み」についても開示項目として明記してください

5.コーポレートガバナンスに関する開示のさらなる強化を


今回、取締役会、指名委員会等設置会社における指名委員会及び報酬委員会並びに企業統治に関し提出会社が任意に設置する委員会(指名委員会等設置会社における指名委員会又は報酬委員会に相当する任意の委員会を含む。)の活動状況(開催頻度、具体的な検討内容、個々の取締役又は委員の出席状況等)を記載させる規定が提案されています(「企業内容等の開示に関する内閣府令(案)」第二号様式(記載上の注意)(54)i)。①「取締役、各委員会の活動情報についての明記」、②「内部監査の実効性に関する取り組みについての明記」については、既に「改訂コーポレートガバナンス・コード」(2021年)に明記されていることから、今回はより強い拘束力を有する内閣府令への昇格を目指す提案であると評価できます。そのうえで、「改訂コーポレートガバナンス・コード」(2021年)に明記されていないコーポレートガバナンスに関する情報についても開示するべきです。これらを明確にするために、以下の事項を明記してください。

(1)「役員報酬や最高給与額」及び「給料の中央値」についても開示項目として明記してください

(2)「内部監査部門から取締役会や監査役会に対して行ったレポーティング数」及び「企業が定義した当該レポーティングの重要度」についても開示項目として明記してください

6.サステナビリティ情報等の開示基準やフレームワーク間の整合性を高めるために「ビルディングブロックアプローチ」の導入を


今回、サステナビリティ情報等の開示における「重要性(マテリアリティ)」の考え方を含めた改訂が検討されています(「記述情報の開示に関する原則(案)」参照)。そこで、サステナビリティ情報等の開示基準やフレームワーク間の整合性を高めるために、①時間の経過とともに企業価値に影響を与え、財務諸表にも取り込まれるものであると考える「ダイナミックマテリアリティ」の理解を前提としたうえで、②投資家を対象とする企業価値に焦点を当てたサステナビリティ報告基準のベースラインをサステナビリティ基準設定主体が提供し、その上に各国が政策の優先順位に基づいて、より広範な要求事項や特定の開示の要求事項を追加するアプローチである「ビルディングブロックアプローチ」の方法を採用するべきです。そのために、以下の事項を明記してください。

(1)サステナビリティ情報等の開示における「重要性(マテリアリティ)」については、時間の経過とともに企業価値に影響を与え、財務諸表にも取り込まれるものであると考える「ダイナミックマテリアリティ」の理解を前提とすることが望ましい点を明確にしてください

(2)上記理解を前提として、サステナビリティ情報等の開示における「重要性(マテリアリティ)」については、投資家を対象とする企業価値に焦点を当てたサステナビリティ報告基準のベースラインをサステナビリティ基準設定主体が提供し、その上に各国が政策の優先順位に基づいて、より広範な要求事項や特定の開示の要求事項を追加するアプローチである「ビルディングブロックアプローチ」を採用することが望ましい点を明確にしてください

7.見送りとなった議論の継続と新たな議論の開始を


今回見送りとなった論点について、議論を加速させる必要があります。第一に、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に関する規定の提案が見送りとなりました。その理由として、①金融商品取引法が求める法定開示ではなく、証券取引所が独自に求める適時開示(タイムリー・ディスクロージャー)により、既にTCFDに沿った情報開示が実質施行されている点、②日本サステナビリティ基準委員会(SSBJ)における議論が並走している点等が挙げられます。第二に、「重要な契約」の開示に関する規定の提案が見送りとなりました。この点に関しては、①新たに企業と株主間の株主保有株式の処分や買増し等に関する合意については、契約の概要や合意の目的等を記載することや、②ローンと社債に付される財務上の特約(コベナンツ)についても、融資借入契約または社債等の概要、財務上の特約の概要(トリガー基準、抵触時の効果、担保の内容等)を有価証券報告書に記載すること等が求められます。第三に、「新しい資本主義」の根底にある「サステナビリティ」に関する共通理解を確立させるためには、①経済学、経営学、データサイエンス等による実証研究に加えて、②哲学、倫理学、さらには、サステナビリティ学等による理論研究を両輪とした骨太な包括的議論を行うべきです。特に、経済がグローバル化したことで、企業の活動が人権に与える影響は大きくなった状況に鑑みると、これまで既存学問では真正面から論点とされる機会が少なかった「『資本主義』と『民主主義』の相互関係」等に関する理論研究を避けて通ることはできないと考えます。これらを実現するために、以下の議論の継続と開始をお願いいたします。

(1)SSBJにおける議論等を踏まえたうえで、TCFDに関する議論の継続をお願いいたします

(2)新たに企業と株主間の株主保有株式の処分や買増し等に関する合意や、ローンと社債に付される財務上の特約(コベナンツ)に関する議論等を踏まえたうえで、「重要な契約」の開示に関する議論の継続をお願いいたします

(3)環境権や文化権をはじめとした「新しい人権」、表現の自由や知る権利、財産権、国際協調主義、公共の福祉に関する議論等を踏まえたうえで、日本国憲法をはじめとした各法令との整合性に関する議論の継続をお願いいたします

(4)「新しい資本主義」の根底にある「サステナビリティ」に関する共通理解を確立させるために、①経済学、経営学、データサイエンス等による実証研究に加えて、②哲学、倫理学、さらには、サステナビリティ学等による理論研究を両輪とした本格的な議論の開始をお願いいたします

以上
 
  • 代表者メッセージ

株式会社Scrumy・CEO(最高経営責任者)
笹埜 健斗 / Kento Sasano


日本のサステナビリティ学者・実業家。高校時代に生死の境を彷徨い、哲学に目覚める。哲学オリンピック金メダリスト、京都大学法学部、東京大学大学院情報学環・学際情報学府を経て、合計5社の外部取締役や顧問を歴任。2021年4月に株式会社Scrumyを設立、2022年4月に一般社団法人サステイナビリティ協会を設立。現在、世界最大のESGプラットフォームの構築を目指し、サステナビリティ学の先進的な研究・事業を行う。

Scrumyは、「サステナビリティ」に関する日本独自の立場を確立し、グローバルスタンダードとして通用する「Japanモデル」を発信することを目指します。近江商人の「三方よし」精神や日本を代表する大企業の創業理念などの歴史を振り返り、今後も、「日本こそがサステナブルテック(SDGs・ESG経営サービス)の先駆者たり得、既存のリソースを有効に活用できるはずだ」という認識を日本から世界へ発信してまいります。
 
  • Scrumyについて

Scrumyは、GaaSサービスとしてのガバナンス)を提供するゼブラ企業として、資本主義のSXを推進しています。Society 5.0の基盤となる、サステナブルマネジメント&ファイナンスを実現するための「ESGプラットフォーム」を提供しています。これからも、新しいガバナンスモデルの考え方を柔軟に取り込み続け、「新しい資本主義」の社会実装を目指し、「企業」「政府」「市民・コミュニティ」の懸け橋となるべく、さらなる共創文化を創造してまいります。

 
  • 会社概要
会社名 :株式会社Scrumy / Scrumy Inc.

所在地 :東京都中央区銀座一丁目22番11号2階

代表者 :代表取締役CEO 笹埜 健斗

設立日 :2021年4月1日

資本金 :47,499,750円(資本準備金を含む)

事業概要: サステナブルテック事業 

会社HP:https://www.scrumy.co.jp/
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