カーボンニュートラル実現の鍵を握る【リチウムイオン電池】 性能を向上させる新規カーボン素材が、プレシリーズAセカンドクローズで5.8億円を調達
~プレシリーズA全体で調達した「8.3億円」を活用して、製造体制の構築に力を入れる~
電池の進化を加速させる革新的カーボン新素材「グラフェンメソスポンジ(GMS)」の開発・製造販売を行う株式会社3DC(本社:宮城県仙台市、代表取締役CEO:黒田 拓馬 代表取締役CSO:西原 洋知、以下「3DC」)は、2024年3月~5月にかけて、三菱UFJキャピタル株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:小島 拓朗)、ANRI株式会社(本社:東京都港区、代表パートナー:佐俣 アンリ)、高砂工業株式会社(本社:岐阜県土岐市、代表取締役社長:鈴木 達也)などを引受先とする第三者割当増資により、プレシリーズAセカンドクローズにおいて5.8億円の資金調達を実施しました。これにより、プレシリーズA全体での調達額は8.3億円となりました。また、3DCの累計調達額は、各種助成金などを合わせて14.8億円に到達しました。
今回調達した資金により、GMSを活用したリチウムイオン電池向け導電助剤「導電助剤用GMS」の製造体制の構築を進め、既存リチウムイオン電池の性能(※)向上を目指します。
(※)本プレスリリース内では、「高容量・高出力・長寿命」を指す
■引受先一覧(敬称略、順不同)
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三菱UFJキャピタル株式会社(三菱UFJキャピタル9号投資事業有限責任組合)
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ANRI株式会社(ANRI-GREEN1号投資事業有限責任組合)
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高砂工業株式会社
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ソニーイノベーションファンド
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株式会社ケイエスピー(NextG投資事業有限責任組合)
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CBC株式会社
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株式会社Akatsuki Ventures(Dawn Capital1号投資事業有限責任組合)
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SMBCベンチャーキャピタル株式会社(SMBCベンチャーキャピタル7号投資事業有限責任組合)
■資金調達の背景
持続可能な社会の実現に向けて、カーボンニュートラルの領域に多くの注目が集まっています。カーボンニュートラルを実現するための手段のひとつに「社会の電動化」があり、電動化の鍵として期待されているのが「リチウムイオン電池」です。リチウムイオン電池は、他の二次電池よりも小型かつ長寿命にできることから、EVの普及や再生可能エネルギーの導入拡大において重要な役割を果たすと考えられています。しかし、カーボンニュートラルを真に実現するには、リチウムイオン電池の性能をさらに向上させる必要があるとされています。
リチウムイオン電池が発明されて以来、その性能(1回の充電でためられる電気の量など)を向上させるためにさまざまな研究が行われてきました。しかし、「ある性能を向上させようとすると別の性能が低下する」というジレンマが存在するため、研究は一筋縄ではいきませんでした。このトレードオフ解消に貢献できると考えられているのが、3DCが開発するGMSです。
リチウムイオン電池では、電極の導電性を上げるため、活物質の近くに「導電助剤」と呼ばれる材料を配置する必要があります。3DCは創業以来、GMSを使用したリチウムイオン電池向け導電助剤「導電助剤用GMS」の研究開発を進めてきました。その結果、導電助剤用GMSの開発に見込みがついたため、その本格的な製造体制を構築すべく、今回新たに資金調達を実施しました。
■今後の展開
導電助剤用GMSを量産してリチウムイオン電池の電極に組み込めば、従来のトレードオフ問題を解消し、その性能を大幅に向上させられることがデータで示されております。3DCは導電助剤用GMSによってリチウムイオン電池の能力を根本から底上げし、カーボンニュートラルの実現に大きく貢献する電池を生み出します。
■「GMS」とは
GMSは、炭素1原子分の厚みでスポンジのような三次元構造を備えた、まさに「三次元型のグラフェン」素材。最も注目すべきはその柔軟性で、ゴムのように弾性変形することで電池の充放電に伴う激しい構造変化にも容易に対応できます。このような「弾性変形する炭素材料」を開発しているのは、世界でも3DCだけです。また、GMSは柔軟性以外に、その材質や構造に由来する多孔性、導電性、耐食性を併せ持ちます。このように複数の優れた性質を有する革新的な材料であることから、GMSは、リチウムイオン電池における「容量を向上させようとすると別の特性が低下する」トレードオフ問題を解消し得る炭素材料として、全世界から注目されています。
■「導電助剤用GMS」とは
GMSを、リチウムイオン電池の導電助剤向けにアレンジした製品です。3DCが提供する導電助剤用GMSは、良好な導電パスを効率的に形成する独自構造を採用。これにより、カーボンブラックやカーボンナノチューブといった従来の導電助剤よりも少ない添加量で、高電圧・ハイレートの正極や、高エネルギー密度が期待されるシリコン系負極の性能向上に貢献できます。
■投資家からのコメント
<三菱UFJキャピタル株式会社 投資第一本部 投資第一部 副部長 菊池 凱氏>
3DCの資金調達ラウンドに参加できたことを大変喜ばしく思います。3DCはバッテリーの長寿命化や高性能化に貢献する社会的意義の大きいDeep Techスタートアップです。さらに3DCの技術が社会実装されることで、裾野の広いバッテリー産業全体に大きな変革をもたらす可能性を秘めた夢のある材料であると期待しています。
今後とも、MUFGのリソースを最大限活用し、3DCのさらなる事業成長に向けてご支援してまいります。
<ANRI株式会社 Principal 元島 勇太氏>
今回、セカンドクローズという形でたくさんの投資家に参加いただくことができました!電池開発は1社だけでは達成しえない、長大産業です。投資家だけでなく、事業パートナー、研究者の応援団も着々と増えており、本当にこれからが楽しみです。たくさんの人の力を合わせて日本発の技術で世界中に新しい電池を届けていきましょう!
<高砂工業株式会社 代表取締役 鈴木 達也氏>
3DC社のGMSは新奇な3次元構造カーボン材で、既存のカーボン材に無い優れた特徴によりリチウムイオン電池の高性能化や次世代電池のブレークスルーが期待できる革新的な材料です。同社は多くの国内外企業からサンプル提供を求められており、今後の活躍が注目されていくことでしょう。弊社として、世界から注目されGMSが起こすイノベーションに関わる機会を得て嬉しく思います。また、成長していく姿とワクワクしながら感動を届けてくれるものと確信しています!
<ソニーベンチャーズ株式会社 代表取締役社長 波多野 和人氏>
3DC社が開発するカーボン新素材であるGMSは、電池の導電助剤として用いられることで、その性能向上や長寿命化に貢献が期待でき、材料としてのポテンシャルを感じています。
今後バッテリーの需要がさらに高まる中で、同社の一層の発展と成長を支援いたします。
<株式会社ケイエスピー インキュベーションマネージャー 大槻 智洋氏>
川崎市と弊社が実施した支援プログラム『Kawasaki Deep Tech Accelerator』でも高く評価された3DCに、今回株主として参加しました。電気化学的にも機械的にも優れた材料により、蓄電デバイスのサステナビリティを根本から高める同社を、強力に支援してまいります。
<CBC株式会社 執行役員 家田 治郎氏>
古くはゴールドラッシュにおけるツルハシ、直近では生成AIにおけるGPUといったように、3DCの革新的カーボン材料は次世代電池やこれからの産業界に不可欠なキーマテリアルになることを確信しています。
今回の出資を通じて、素材領域における日本のプレゼンスを再び世界に示す機会に参画出来ることを非常に楽しみにしています。3DCの実業パートナーとしてGMSの社会実装に向け、弊社も全力で取り組んで参ります。
<Dawn Capital Senior Associate 柳沢 佳典氏>
電気自動車や家庭用電化製品に幅広く搭載されているリチウムイオン電池は、日常生活を裏で支える必要不可欠なモノです。3DCが開発するGMSは、電池の性能を向上させるだけでなく長寿命化させることも可能な、サステナビリティの面でも優れた電池材料です。日本発でグローバルの大きな産業に貢献するプロダクトであり、それを実現できるチームだと信じております。全力でご支援させていただきます!世界で勝ちましょう!
<SMBCベンチャーキャピタル株式会社 投資営業第四部長 安田 純也氏、投資営業第四部 部長代理 馬籠 勇人氏>
サステナブルな社会の実現に向けて電化が進んでいく中で、電池を進化させる優れたカーボン素材が求められています。そうした中で、3DC社のGMSは従来のものとは異なるユニークな特性を持つカーボン素材で、電池のアップデートを加速させていく大きなポテンシャルを有しています。将来的に世界中の人々の生活を支えるインフラとして広がっていくことを期待しております。SMBCグループとしてこの挑戦をできる限り支援してまいりたいと思います。
■3DC代表取締役CEO 黒田 拓馬 コメント
リチウムイオン電池およびその材料事業は、これまで世界中でさまざまなスタートアップにより挑戦されてきたものの、事業を成立させた企業はごく限られています。これは非常に難しいチャレンジです。しかしながら、日本から未来の世界に価値を提供するに当たって、これほど重要な財産が眠っている市場もなかなかないと思っています。高難易度だが重要なこの事業に対して、これだけの投資家の皆さまにご支援いただき、挑戦できることを大変光栄に思っています。素晴らしいチーム、素晴らしい投資家、素晴らしいステークホルダーの皆さまとともに、必ず世界に価値を届ける事業をつくってまいります!
■3DCについて
3DCは、カーボンニュートラルを実現する上で必須となるリチウムイオン電池や次世代電池、キャパシタ、燃料電池といった蓄電・発電デバイスの電極に使用するカーボン新素材「グラフェンメソスポンジ(GMS)」を開発する東北大学発のベンチャー企業です。
3DCは現在、2026年以降の本格的な市場参入に向け、国内外の電池・電池材料・キャパシタ・自動車メーカーなどと協力してGMSの導入実証を進めているところです。リチウムイオン電池向けを始めとして既存の製品よりも優位なデータを出せており、電池メーカーなどから積極的な引き合いをいただいております。
2024年1月にはプレシリーズA 1stクローズとして2.5億円の資金調達を実施しました。また、2024年2月にはリチウムイオン電池の性能の向上に寄与する「導電助剤用GMS」の出荷を開始し、現在はその製造体制の構築に向けて精力的に準備を進めているところです。
3DCは現在、東北大学のほかに、横浜国立大学、大阪大学、甲南大学とも共同研究を進めています。今後は共同研究先をさらに増やし、大学の最先端技術を活用してGMSの有効性を実証していきます。
将来的には、電気エネルギーを蓄積・使用するあらゆる場面でGMSが活躍する、環境と人にやさしい未来社会を実現したいと考えています。
■ともにチャレンジする仲間を募集中!
3DCは、カーボンニュートラルの実現に向けてチャレンジする仲間を募集しております。
特に、「電池応用研究」「材料分析」「技術営業」「事業開発」を担当できる方を歓迎いたします。
少しでもご興味のある方は、以下からお気軽にお問い合わせください。
採用フォーム:https://www.3dc.co.jp/recruit/
メール:info@3dc.co.jp
LinkedIn:https://www.linkedin.com/company/3dc-inc
Facebook:https://www.facebook.com/3dcinc
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<3DC会社概要>
企業名:株式会社3DC
本社所在地:宮城県仙台市青葉区片平2-1-1 国立大学法人東北大学
産学連携先端材料研究開発センター
代表者名:黒田 拓馬・西原洋知
設立:2022年2月
事業概要:炭素材料の開発および販売
<本件に対するお問い合わせ>
GMSや弊社との共同研究開発にご興味のある方は、以下からお気軽にご連絡ください。
問い合わせフォーム:https://www.3dc.co.jp/contact/
メールアドレス:info@3dc.co.jp
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