AIによる薬歴原案生成の特許を取得しました
―会話データと処方内容の組み合わせによる高精度な薬歴原案生成技術を権利化―

株式会社ロジロジ(本社:茨城県つくば市、代表取締役:山口洋介)は、2024年1月10日出願した医療文章の作成を支援するための情報処理システムに関する特許を取得致しました。本特許は、医療従事者・患者との会話データと医療データ(新旧処方の医薬品データを含む)を、AIに入力して医療文章を出力する技術に関するものです。
本特許では、薬局における服薬指導データにNSIPS®等から取得した処方データを加えることで、ChatGPTやGeminiのような大規模言語モデルから医薬品名などを高精度に認識した薬歴の原案生成への応用を想定しています。
AIを活用した薬歴原案の生成に関連する技術は、業界内でも早期に出願した本特許をベースにして、複数の分割出願による特許ポートフォリオを構築していくことを目指しています。
特許の概要
本特許は、生成AIが薬歴を作成する際に、薬剤師と患者の会話データと処方データを構造的に組み込むための基本技術です。特に、単一の処方だけでなく「新医薬品データ(今回の処方)」と「旧医薬品データ(過去の処方)」を時系列でAIに対比・解析させる点が最大の独自性であり、これにより処方変更の経緯を踏まえた文脈理解を実現します。
【特許情報】
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特許番号 :特許第7627976号
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特許登録日:2025年1月30日
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発明の名称:情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
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出願日 :2024年1月10日
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特許権者 :株式会社ロジロジ
技術的ポイント

「新旧処方」の比較による文脈理解
本技術では「前回から薬がどう変わったか(追加・削除・変更)」という時系列の変化をAIに与えます。例えば「ベニジピンからベラパミルへの変更」といった具体的な変遷をAIが理解することで、服薬指導での変更理由や副作用の確認の背景を踏まえた上で、間違いのない薬歴(SOAP)生成を支援します。
処方データを活用した「精度向上プロンプト」
音声認識だけでは誤変換されやすい医薬品名について、連携された正確な処方データを参照させる独自の「精度向上プロンプト」技術を実装しました。AIが音声データと処方データを比較することで医薬品名などの誤りを自動的に補正し、正確な記録を作成します。
高品質なSOAP文章の生成
取得したデータを生成AIモデルに構造化して入力することで、SOAP形式(主観的情報、客観的情報、評価、計画)など、医療現場で規定された形式の文書を自動生成し、専門性の高い高品質なアウトプットを実現します。
開発者のコメント
株式会社ロジロジ 代表取締役 山口洋介
「薬局業界において、生成AI活用の先駆けとして取り組んできた当社の基盤技術が、特許として認められたことを大変光栄に思います。この特許の原点にあるのは『薬局においてAIの活用が一般的になったとき、薬剤師にとって本質的な価値を生み出すのは、AIに与える指示と背景情報(プロンプトとコンテキスト)である』という未来観です。その実現のために最重要視したのが、今回権利化された新旧処方データの対比という技術です。
また、私たちは知財戦略を継続的にサービスを提供するための基盤であると捉えています。遵法意識の高い薬局業界において、薬剤師の皆様に安心してサービスをご利用いただくためには、技術の権利保護が不可欠です。このため、単一の技術に対して複数の特許を組み合わせたポートフォリオを構築することで、サービス提供体制を盤石にしてまいります。」
今後の展開
当社は、今回取得した特許を皮切りに、薬局業務における生成AI活用領域において、多層的な知財ポートフォリオの構築を加速させております。具体的には、本特許以外にも薬歴原案生成の精度向上に関する技術や、医薬品・薬局業務の知識の活用に関する技術など、計5件を既に出願済みです(特願2025-008108、特願2025-230632、特願2025-234710、特願2025-33332、特願2025-148573)。
これらの技術群を複合的に組み合わせることで、単なる機能の先行にとどまらない、薬剤師の思考プロセスに寄り添い支援する独自の価値創造につなげてまいります。将来的には、クロスライセンス等による技術提供も視野に、自社プロダクトの普及のみならず、薬局業界全体における生成AI活用のデファクトスタンダード確立にも挑戦していく所存です。
※NSIPS(エヌシップス)は公益社団法人日本薬剤師会の登録商標です。
会社概要
会社名:株式会社ロジロジ
本店所在地:茨城県つくば市
代表者:代表取締役 山口洋介
事業内容:薬局向けAIエージェントの開発
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