三菱商事株式会社×SAMURAI ARCHITECTSにて画像生成AI×因果分析を活用した顧客調査プロジェクトを実施、データ・ドリブンなインドネシア都市開発を目指す

潜在顧客の意思決定要因を定量化し、データ・ドリブンなモデルハウス設計及び販売マーケティングを実現

株式会社SAMURAI ARCHITECTS

2025年12月18日 10時02分

◼️ 背景

Hiera（BSD City, Indonesia）は、ジャカルタ郊外のBSD Cityにおいて、インドネシア初となる公共交通指向型開発(Transit Oriented Development)をコンセプトに、住宅・商業施設・学校・病院・公園・交通結節点などの都市機能を組み合わせた、100ha超のスマートシティ開発を推進するプロジェクトです。戸建住宅の販売にあたり、潜在的な顧客の意思決定要因および求めるライフスタイルを定量的に調査し、その結果を商品設計に反映することで、より顧客の嗜好を捉えた住宅の開発を目指しています。

【参考資料】

（出典：日本経済新聞電子版 2025年12月17日「インドネシア人の内装の好み、生成AIで可視化　三菱商事が住宅開発に生かす」／URL：https://www.nikkei.com/article/DGXZQOJC071EU0X01C25A2000000/?n_cid=dsapp_share_ios）

◼️ PoCに関して

本PoCは、インドネシア・BSD CityにてMCが手掛ける「Hiera」において、住民・来訪者の潜在的な意思決定要因を”画像生成AI体験”から定量的に調査し”顧客分析”をすることで、より顧客の嗜好を捉えた住宅の開発に活かすことを目的とするものです。

① 顧客体験

A. 画像生成AI体験

参加者はスタッフとの対話を通じ、理想のインテリア／住まい方を画像生成AIで可視化。

画像生成AIを活用することで選択肢に縛られない自由な表現が可能で、好み・価値観・生活動線のヒントが自然言語と画像の両面で得られます。

B. ライフスタイルブックの作成

AI体験と簡易アンケート診断を組み合わせ、参加者ごとにパーソナライズされたライフスタイルブックを生成・配布。可視化された“欲しい暮らし”は、本人の納得感や意思形成を助けると同時に、設計側の解像度を高めます。

② 顧客分析

顧客分析は、アンケート収集データをもとに、生成画像メタ、対話・プロンプト、設問回答統合、顧客のタイプを分類するクラスタリング分析と因果分析を用いて行います。今回、「Hieraの戸建住宅に興味がある」顧客が、どんな要素（テイスト、素材、配色、レイアウト、生活導線、価格・面積感など）に対して興味を示したのかを因果構造として可視化します。これにより顧客の嗜好に対し新たな仮説を立てることが可能となり、今後の住宅開発の一助を担うことを目指します。なおデータ分析は、クウジット株式会社が技術協力し、クウジットが提供する因果情報分析ツール「CALC」を用いています。＊1 CALCは株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所(ソニーCSL)が開発した技術で、株式会社電通総研、ソニーCSL、クウジットの3社による業務提携に基づき提供されています。＊2 CALCはソニーグループ株式会社の登録商標です。

データの活用と期待できる効果：

モデルハウス設計：
- 内外装のテイスト、マテリアル、ゾーニングなどの顧客の選好トレンドを定量把握し、次期開発予定の戸建住宅の仕様に活用できます。
販売マーケティング：
- 潜在顧客の選考トレンドを踏まえた販売マーケティングを行い、顧客への訴求力強化に活用できます。

<< 従来調査との違い >>

体験性の付与：

従来の設問回答にとどまらず、画像生成AI体験というエンターテインメント性を組み込むことで、楽しみながら主体的に参加できる調査体験に設計しています。

自由入力の活用：

選択式やテキスト欄に限定されない、能動的・自由度の高いユーザー生成インプット（生成画像・プロンプト・対話履歴）を解析対象に含め、枠にとらわれない発想をデータ化しています。

参加インセンティブの明確化：

体験の成果として、理想イメージを可視化した「ライフスタイルブック」を個別に提供し、参加意欲・完了率の向上を図るとともに、本人にとっての価値還元を実現できるように設計しています。

◼️ 役割分担

MC：本プロジェクト全体の推進、BSD Cityにおける都市サービスの導入/展開の検討を行います。 PT Sinar Mitbana Mas（以下、SMM）：Hiera開発主体として、現地でのアンケート運営・個人情報管理、体験結果の配布を行います。 SA：画像生成AI×因果分析「CALC」を用いた新アンケート手法の設計・実装・分析をリードし、レポートを作成します。

各社のコメント

■ 株式会社SAMURAI ARCHITECTS 取締役CSO 髙山慶太朗

インドネシアの都市開発というスケールの大きな挑戦に、主担当として関われることを大変光栄に思うと共に三菱商事様、 SMM様をはじめ関係各位のご協力に心より感謝申し上げます。今回の取り組みは、当社の強みである空間デザインと画像生成AI、そして因果分析ツール「CALC」を掛け合わせ、従来は捉えにくかった潜在インサイトを“体験”から丁寧に可視化する非常に革新的な試みとなっております。本取り組みを通じて得られた知見をモデルハウス設計や販売マーケティングに迅速に還元、20年スパンで進むHieraのまちづくりに貢献することが出来る様、努めてまいりたいと思います。

■ 三菱商事株式会社都市開発本部アジア都市開発部部長大辻俊博

本PoCは、顧客参加型の生成AI体験を調査プロセスに組み込み、より踏み込んで顧客の生活スタイルやデザインに関する嗜好を抽出し、可視化する取り組みです。

これからもSAMURAI ARCHITECTS様と連携しながら、急速に進歩するAI/IT技術を活用した先進的で付加価値の高い開発の形を模索してまいります。

■ PT Sinar Mitbana Mas　President Director 小林大介

今回のPoCでは、Hieraの戸建住宅の潜在顧客に対して生成AIで理想の暮らしを可視化する体験を提供し、その反応や選好データがモデルルームづくり、住宅開発に有効かを検証します。SAMURAI ARCHITECTS様の技術を活用することで、潜在顧客の嗜好を定量的に分析し、可視化できることを期待しております。

各社概要

◼️ 株式会社SAMURAI ARCHITECTS

株式会社SAMURAI ARCHITECTSは、「Create a Better Place with Technology」というビジョンを掲げ、建築・建設・空間デザイン領域の課題に対し、生成AIをはじめとする最先端テクノロジーを用いたソリューションを提供するスタートアップ企業です。

生成A Iを用いて空間デザイン領域にて発生しているディスコミュニケーションを解決するリアルタイムビジュアルコミュニケーションツール「Rendery」の提供をはじめ、不動産向けホームステージングAIサービス「knock knock AI」の提供、建設・建築、不動産領域を牽引するクライアント企業様、各種大学機関との協業・研究開発など、さまざまな取り組みを通じて本領域におけるDXを推進しています。

◼️ 三菱商事株式会社

三菱商事株式会社は、世界中に広がる連結対象会社と協働しながらビジネスを展開している総合商社です。地球環境エネルギー、マテリアルソリューション、金属資源、社会インフラ、モビリティ、食品産業、S.L.C.、電力ソリューションの8グループ体制で、複数の産業を事業領域として、貿易のみならず、都市開発や生産・製造など幅広いビジネスを展開しています。

◼️ PT Sinar Mitbana Mas

PT Sinar Mitbana Mas は、Mitbana（Mitsubishi Corporation × Surbana Jurong）とSinar Mas Landによる合弁デベロッパーです。インドネシアにおいて、ジャカルタ首都圏の BSD City にて大規模タウンシップ開発「Hiera」を推進。地域の文化・暮らしに根差したプランニングと、長期的な街づくりの視点から、持続可能で魅力ある都市空間の実現を目指しています。

■（技術協力）クウジット株式会社

2007年7月に、ソニーコンピュータサイエンス研究所のメンバーが中心となり、「空」と「実」をつなぐ技術で社会に貢献することを理念に設立されました。因果情報分析技術「CALC」を核にした要因分析や、潜在的な課題抽出、未来予測などのAI機械学習・データ解析ソリューションの提供、および、これまで培ってきた人流計測や笑顔計測などの実世界センシング技術を組み合わせた CPS（Cyber Physical System）アプリケーション開発を提供しています。

共創事業サイト： https://team-koozyt.com/