三宅町と株式会社PREVENTの連携協定事業結果報告
レセプト・健康診断データを基に、生活習慣病の重症化リスクを見える化
奈良県三宅町(町長:森田浩司、以下、三宅町)と株式会社PREVENT(所在地:名古屋市東区、代表取締役:萩原 悠太、以下、PREVENT)は2020年11月17日に連携協定を結び、国民健康保険加入者のレセプトデータ・健康診断データ等をもとに、三宅町における今後の健康推進施策に活かすため生活習慣病の重症化リスク見える化を実施しました。本事業では今回約500名のレセプトデータ・健康診断データに基づく解析結果を三宅町に納品いたしました。以下事業における調査結果をご報告いたします。
■ 本事業開始時プレスリリース
本事業開始の背景等、詳細については以下プレスリリースをご参照ください。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000036875.html
■ 本実証実験の内容
PREVENTが持つレセプト※1・健康診断データなどの医療データ解析ノウハウをもとに、現在の生活習慣病の管理状況から、5年後にどれだけ重症化する可能性があるかのリスク分析をし、将来予測を行います。見える化されたデータに基づき三宅町とともに生活習慣病の重症化予防のための施策検討を行い、三宅町民の健康推進の更なる充実に貢献していきます。
■ 実証実験における解析結果
今回、解析対象としたのは、三宅町の国民健康保険加入者のうち2020年度特定健診を受診されていた方々です。年齢の分布については下図で示す通り65歳以上の人数が約70%と高い割合を占めておりました。
解析対象の方々のうち、約半数が現在生活習慣病で通院をされており、さらにその半数が目標管理基準※2を満たしていない数値管理不良の方々であることがわかりました。
また、PREVENTが開発した重症化予測モデル※3をもとに、生活習慣病の重症化に至るリスクの分析を行った結果、「5年以内の重症化リスクが約20%以上」である高リスク者が、生活習慣病治療中の方々の半数を占める結果となりました。
※1レセプトデータ:保険診療を行った医療機関が、患者一人一人の診療報酬(医療費)を、審査支払機関を経由して保険者に請求を行う際の明細書およびそのデータのこと
※2目標管理基準:各疾患毎に以下ガイドラインに基づく数値基準を採用している。
高血圧:高血圧治療ガイドライン
脂質異常症:動脈硬化性疾患予防ガイドライン
糖尿病:糖尿病治療ガイドライン
※3重症化予測モデル:年齢や性別、血圧、コレステロールなど7項目から、脳梗塞や心筋梗塞などの血管病の発症危険度等を予測するモデル。こちらのモデルをもとに、5年以内に脳血管疾患・虚血性心疾患の新規発症および高血圧・脂質異常症・糖尿病の新規治療が発生する確率を算出できる。株式会社PREVENTによる開発。
■ 結果の解釈
PREVENTがこれまでデータ解析を行ってきた社会保険(企業の健康保険組合)の加入者の分析結果と比べ、生活習慣病既往者に占める「5年以内の重症化リスクが約20%を超えるハイリスク者」の割合が高い結果となりました。市町村国民健康保険においては65歳以上の方が多く加入されているため解析対象者の年齢分布が大きく異なることが影響していると考えられます。(重症化予測モデルにおいて「年齢」は、リスク判定に対する寄与する因子の一つ)。その一方で、65歳未満の方であってもハイリスクの判定が出ている方もいらっしゃるため、働き盛り世代を含む若年層においても、生活習慣病の重症化を予防することは重要であると考えられます。
また、ハイリスク判定された方の中には、HbA1cだけを見ると、わずかな管理不良状態であるものの、その他複数の生活習慣病因子の管理が不良であることから、ハイリスク判定がなされている方もおられます。こちらは、1つの因子だけではなく、複数の因子をもとにリスク評価を行うことによって、真にリスクの高い方々をもれなく抽出することが出来ていると言えます。
これらのリスクを保持している方々の生活習慣を改善することで、リスクを低減し将来医療費の適正化にも資すると考えられます。
※三宅町の担当者コメント
企業の健康保険組合といった社会保険と比較して、国保加入者に占めるハイリスク者の割合が多いということが良く分かり、改めて重症化予防等のハイリスクアプローチをより積極的に進めていく必要があるということを認識できました。本解析結果をデータヘルス計画の策定はもちろん、根拠に基づく政策立案へも活用し施策提案に繋げていきたいと思います。
■ 今後の展開
本実証実験にて行った解析の結果を踏まえ、三宅町とPREVENTとで連携を図りながら、データに基づいた効率的な行政運営重症化予防につながる施策づくりの検討を進めていきます。行政としてもこうしたデータ分析を実施し、EBPM※4(証拠に基づく政策立案)を行うことによる住民の福利向上に効果的かつ効率的な施策実施へとつながることが期待されます。具体的な取り組みとしては、重症化リスクが低い人向け、高い人向けといったターゲット毎の施策を検討し、地域のクリニックの医師やケアマネジャーをはじめとした、地域で町民の健康推進に取り組んでいる方々とも共創を図りながら、多くの町民の幸せで健やかな暮らしを目指し活動してまいります。
なお、本取組みは内閣府が運営する「オープンラボ」において先行事例としても掲載され、国からも注目いただいている事例となっております。(https://www.miraikosou20-openlabo.go.jp/labo_zirei/)
今後は、三宅町での取り組みを皮切りに、健康増進や生活習慣病の重症化対策に力を入れていきたい自治体へ積極的にアプローチを行い、健康施策づくりのパートナーとして活動を広げてまいります。
※4 EBPM(Evidence-based Policy Making、エビデンスに基づく政策立案):我が国の 経済社会構造が急速に変化する中、限られた資源を有効に活用し、国民により信頼される行 政を展開することを目指すための取組である。(総務省から引用)
■プロジェクト成果について
森田町長コメント
今回PREVENT社にて実施した解析結果を受け、町民の現在の健康状態から将来のリスクを分析することにより、健康寿命の延伸にもつながる施策づくりを行うための基礎データとしての活用が可能になりました。これから町として、生活習慣病の重症化を防ぐことによる将来医療費の抑制を目指すための施策を打てるようになるので、今回の事業の結果が、町民が健康でより豊かな生活を今後もたらすための更なる一歩になるであろうと確信しています。
■ 本事業を取り組む意義
○保健事業におけるデータ活用の必要性
平成25年6月、政府では規制改革や民間投資を促す成長戦略「日本再興戦略」、経済財政運営の指針「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」、健康・医療分野における成長戦略「健康・医療戦略」を決定するとともに、保健情報の分析や分析結果に基づく保健事業の促進について健康・医療分野における主な施策として示されました。国の政策においてもデータを活用した効率的・効果的な保健事業の展開が求められ、PDCAサイクルを意識した保健事業の展開の重要性や、データ分析に基づき、地域住民の健康課題を明確化し、効率的・効果的な保健指導を実施し、その評価を行うことにより、次の事業展開に繋げていく必要がございます。
○データヘルス計画に基づく施策展開
政府が金融政策、財政政策に続く「第3の矢」として発表した「日本再興戦略」では、「国民の健康寿命の延伸」を重要な柱として掲げた際、健康寿命の延伸に関する問題点の一つとして、「保険者は、健康管理や予防の必要性を認識しつつも、個人に対する動機付けの方策を十分に講じていない」ことが指摘されました。この課題を解決するために、「予防・健康管理の推進に関する新たな仕組みづくり」として、「全ての健康保険組合に対し、レセプト等のデータ分析、それに基づく加入者の健康保持増進のための事業計画として「データヘルス計画」の作成・公表・事業実施、評価等の取組を求めるとともに、市町村国保が同様の取組を行うことを推進する」ことが掲げられ、また、個人の健康保持増進に対して、保険者、企業、自治体等がそれぞれの立場から一定の役割を果たすべき事が謳われるようになりました。
また昨今は、EBPMを行うことの意義が強く謳われており、全国の自治体においてもデータ活用に基づく住民の福利向上のための施策立案は、ますます重要性を増しております。
■ 自治体と会社基本データ
奈良県三宅町
所在地:奈良県磯城郡三宅町大字伴堂689番地
URL:https://www.town.miyake.lg.jp/
町長:森田浩司
【施策取り組みについて】
平成30年度からの三宅町総合計画において、「みんないきいき『支えあう」まち~福祉~」を目指しておりました。総合計画の中で、「住民の健康意識の啓発を図り、各種健診の受診を促し、生活習慣病の予防に取り組む」と定めておりました。また具体的な計画として、平成27年3月に三宅町国民健康保険保健事業実施計画(データヘルス計画)平成29年8月には計画について評価・検証を行い、その結果を踏まえ、第2期三宅町国民健康保険保健事業実施計画(データヘルス計画)を新たに策定しました。それに伴い、三宅町国民健康保険被保険者の医療費分析を行い、それに基づく生活習慣病予防教育を行い、また、特定健診開始後は受診率向上に努め、必要と認められる者に対し生活習慣病予防教育や重症化予防教育を行ってきました。
株式会社PREVENT
所在地:〒461-0004 愛知県名古屋市東区葵一丁目26番12号
IKKO新栄ビル9F
代表者:萩原悠太
事業内容:医療データ解析、生活習慣病の重症化予防支援事業等
ウェブサイト:https://prevent.co.jp/
【個人情報の取り扱いについて】
PREVENTでは、個人情報を扱う上での第三者認証(JAPHICマーク※5、ISO/IEC 27001※6、ISO/IEC 27017※7)を取得しており、厳格なルールのもと適切にデータを取り扱っております。
なお、本事業においては、PREVENTが利用するデータは、氏名・住所・電話番号等、記載内容によって個人が特定できる情報については削除を行い、PREVENT側では個人が特定できない形式を取りました。よって、最終的には三宅町側で分析結果の個人への紐づけが出来るため、町としてはどの個人がどのような状態になっているかを把握することが可能となります。本事業においては、健康施策の検討に活用することが重要であると考えているため、町側でのみ解析データと個人を突合できる形式の処理を行いました。
※5 JAPHICマーク:経済産業省大臣認定の個人情報保護団体より受けた認証
※6 ISO/IEC 27001:情報セキュリティに関する認証。情報の機密性・完全性・可用性の3つをバランスよくマネジメントし、情報を有効活用するための組織の枠組みを示している。
※7 ISO/IEC27017:クラウドサービスセキュリティに関する認証。情報セキュリティ全般に関するマネジメントシステム規格であるISO/IEC 27001の取り組みを強化し、クラウドサービスにも対応した情報セキュリティ管理体制を構築している。
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザーログイン既に登録済みの方はこちら
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像
- 種類
- 調査レポート
- ビジネスカテゴリ
- 政治・官公庁・地方自治体フィットネス・ヘルスケア
- ダウンロード