日本産婦人科医会と共同で「在宅・遠隔胎児モニタリング」の広域実証研究開始
産婦人科領域における遠隔医療の確立、ならびに産婦人科医師の働き方改革、診療科・地域偏在による地域医療の崩壊防止を目指して
日本発のIoT胎児モニターを開発・販売するメロディ・インターナショナル株式会社(⾹川県⾼松市:代表取締役尾形優⼦)は、公益社団法人 日本産婦人科医会(東京都新宿区:会長 木下勝之)と共同で、産婦人科の「在宅・遠隔胎児モニタリング」の実証研究を、埼玉医科大学病院を主幹研究機関して全国13の医療機関で開始しました。
【背景】
産婦人科を専攻する医師の減少に伴い、産婦人科医師の地域偏在の解消がますます困難になっています。そして、医師の働き方改革が求められる中、各地域における公立病院の統廃合は避けられない時代がやってくると思われます。それに伴って、妊産婦の通院距離や通院時間は長くなり、すでに大きな不便と通院コスト増が社会問題となっています。
遠隔診療の有効性を実証することは、医療従事者にとっては遠隔地への出張を減らすことなどによる就労環境の改善につながり、産婦人科医師不足の地域の妊産婦の安全をキープするためには不可欠です。
現在、新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、臨時的措置としていわゆるオンライン診療が初診から解禁され、中医協(中央社会保険医療協議会)により、診療報酬が策定され、厚生労働省による事務連絡がなされました*1。しかしながら、産婦人科領域における定期的な妊婦健診では、診断装置などを使った検査が組み合わされており、テレビ会議やスマートフォンなどを使ったビデオ診療だけでは健診、診断は難しいという事情がありました。
そこで、市販の血圧計やメロディ・インターナショナル株式会社が開発・販売する持ち運び可能でネットワークを介してデータを送信可能な「分娩監視装置iCTG」を活用して、医療機関内のモニタリングシステムと連携することで、在宅や遠隔でも胎児の健康状態をモニターし、その有効性と安全性を実証する事となりました。
【目的】
主な目的として以下の項目が上げられます。
a) 産婦人科領域における遠隔医療、オンライン診療の構築
b) 医療従事者の勤務環境改善、働き方改革サポート
c) 診療科偏在・地域偏在による地域医療の崩壊防止のための地域連携構築
d) より安全・安心な妊産婦の管理
e) 産科診療ガイドラインへのオンライン妊婦健診・診療の掲載
f) オンライン妊婦健診・診療を診療報酬上の評価対象とすること
遠隔での妊婦健診は、これまで離島・へき地など産婦人科医が極端に少なく、妊産婦の通院の負担が大きい地域で、課題先進的取り組みとして実施されてきました。それらを大都市圏やその郊外、地方都市でも同じように有効である事を実証いたします。それにより、上記目標を達成して、広く全国の産婦人科医、妊産婦の負担軽減と安心・安全な出産を将来にわたって維持していかなければなりません。
【実施内容】
「遠隔胎児心拍数陣痛図を用いた在宅リアルタイム胎児サポートシステム確立に向けた予備的研究」
胎児心拍数陣痛図(CTG)は、現在胎児の様子を非侵襲で知ることが出来る数少ない検査手法です。胎児は低酸素状態などに伴い、心拍パターンの異常を生じることが知られており、産科医療においては、医療施設でのCTGによる胎児心拍と子宮収縮のモニタリングが、胎児の健康状態を評価する極めて有用な手段として汎用されています。妊娠25週以降の妊婦健診の際に一般にはノンストレステスト(NST)として、胎児の心拍数とお母さんのお腹の張りを図ります。
実際には、妊産婦の合意の上で、外来や病棟内にて医師・助産師の指導のもとに「分娩監視装置iCTG」の使用方法を習得して、帰宅後に自身により胎児心拍・子宮収縮に関するデータを計測します。これらのデータを、院内にいる医師がネットワークに接続されたタブレットなどで確認して、通常院内にて計測したものと同じデータが得られるか、また異常の早期発見に繋がるかなどを定量的に実証します。
実証研究は、埼玉医科大学病院産科・婦人科(亀井良政教授)を主幹研究機関として、東京大学付属病院など全国13の共同研究医療機関で実施されます。研究期間は2025年3月まで段階を経て研究を進めていくことを想定しています。実施にあたっては、患者の同意、セキュリティ対策、個人情報保護に関しては十分な対策を施した上で行われます。
本実証研究と併せて、同医療機器を使った、妊産婦救急搬送時のリアルタイム胎児モニタリング実証も予定されています。現在は、病院間搬送や救急搬送中に母体のバイタルは取得可能ですが、胎児のバイタルは取得できておらず、搬送先に到着後の検査となっている現状があります。また、日本産婦人科医会として、携帯型血圧計を使ったHDP(妊娠高血圧症候群)の早期抽出を目的とした家庭での血圧の標準値の確立のための実証研究も実施されます。
日本産婦人科医会は以上の取り組みに留まらず、対面診療を原則としつつ、ICTを効率的に活用することにより、医師の働き方改革および患者の安心・安全の向上に繋がる試みを継続的に実施していく予定です。
【実施主体】
公益社団法人 日本産婦人科医会、「遠隔医療プロジェクト委員会」(平田善康常務理事)
https://www.jaog.or.jp/
【共同実施】
メロディ・インターナショナル株式会社
https://melody.international/
【共同研究医療機関】
他、47都道府県の各産婦人科医会とも協働して進めて行く予定。
※1「事務連絡 令和2年4月10日(厚⽣労働省)」
https://www.mhlw.go.jp/content/000620995.pdf
【メロディ・インターナショナル株式会社のサービスについて】
▶IoT型胎児モニター「分娩監視装置iCTG」
国内初のIoT型胎児モニター「分娩監視装置iCTG」は、胎児の⼼拍数と妊婦さんのお腹の張りを、病院や⾃宅などで測ることが出来るデバイスです。妊婦さんのお腹にセンサーをあて計測すると、Bluetooth接続でスマートフォンやタブレット のアプリケーション内に結果が表⽰され、医師が診断に活⽤することが出来ます。
2018年5⽉にクラス2医療機器の認証を取得した医科向けの医療機器で、医師により診断に使⽤することが可能です。
▶「高松市の医療機器メーカーが妊婦の遠隔診療装置を開発(NHK高松放送局,2020年4月15日)」リンク参照
https://www3.nhk.or.jp/lnews/takamatsu/20200415/8030006512.html
▶周産期遠隔医療プラットフォーム「Melody i」
「Melody i」は、妊婦さんが計測した結果を医師に送信でき、遠隔で医師から受診推奨などアドバイスを得ることができるコミュニケーションプラットフォームです。妊婦さんと医師との連携(DtoP)だけでなく、医療機関から医療機関(DtoD)のデータ連携も⾏うことも可能となっています。
これらの「分娩監視装置iCTG」&「Melodyi」の活⽤により、遠隔で胎児の健康状態をモニター出来て、分娩のタイミングなどを予測することが可能となり、国内外の妊婦さんがより安⼼・安全に出産できる環境を提供できます。
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