日本発「Water OS」、シンガポールで科学的検証へ
Shelltas、Temasek PolytechnicのAquaculture Innovation Centre(AIC)と水環境評価およびバナメイエビ飼育試験を計画
株式会社Shelltas(本社:東京都、代表取締役:徳田浩一)は、未利用海洋資源を活用して開発した独自のマリンカルシウム素材「SeaFect®」を中核とする水環境設計技術「Water OS」について、シンガポールのTemasek Polytechnic(テマセク・ポリテクニック)に設置されたAquaculture Innovation Centre(AIC)と、科学的検証に向けた協議および契約手続きを進めています。
今回の取り組みは、Temasek Polytechnicが産業界と連携しながら、応用研究、新技術の検証、そして養殖分野における実用的かつ産業ニーズに即したソリューションの開発を推進する方針にも沿うものです。
科学的検証は2段階で実施する予定です。第1段階では、SeaFect®が水環境に与える影響を評価し、第2段階ではバナメイエビ(Litopenaeus vannamei)を用いた飼育試験を行う計画です。
Shelltasは、これまで日本国内で長期的に観察してきたWater OSの現象を、国際的な研究環境のもとで科学的に検証する新たなフェーズへ進めます。

未利用海洋資源から「Water OS」へ
Shelltasは、これまで十分に活用されてこなかった海洋資源に着目し、それらを新たな機能性素材へと転換するための研究開発を進めてきました。
その中核となるのが、Shelltas独自のマリンカルシウム素材「SeaFect®」です。
ShelltasはSeaFect®を単なるカルシウム素材として捉えるのではなく、ミネラル環境、微生物群集、窒素循環などを含めた水環境全体を設計するという、より広いコンセプトへ発展させてきました。
この考え方を「Water OS」と呼んでいます。
コンピューターのOSがさまざまなアプリケーションが機能するための基盤となるように、Shelltasは将来的にWater OSを、養殖システム、センサー、AI、飼育技術など、さまざまな技術を支える基盤インフラへと発展させることを目指しています。
まず「水」から考える
世界の養殖分野では、AI、IoT、画像解析技術、自動給餌システム、各種センサーなど、さまざまな技術革新が進んでいます。
しかし、水生生物の生命を支える最も根本的な環境は「水」です。
養殖環境では、給餌や生物の代謝に伴い、アンモニア、有機物、微生物活動などの生物学的負荷が継続的に発生します。従来の水処理では、こうした物質を除去する、殺菌する、あるいは水そのものを交換するといった対応が一般的です。
Water OSは、これとは異なるアプローチを取ります。
問題が発生してから対処するのではなく、ミネラル条件、微生物環境、生物学的プロセスを含め、水環境そのものがより安定した状態を維持できるよう設計することを目指します。
Shelltasはこれまで、日本国内の淡水・海水の閉鎖環境において長期的な観察を行ってきました。今回、その現象を科学的に評価する段階へ進みます。
Temasek Polytechnic AICと予定する2つの検証
1.SeaFect®を用いた水環境評価
第1段階では、SeaFect®を水に添加した際に、水環境がどのように変化するかを評価する予定です。
SeaFect®の粉末および液体について、複数の条件で評価を行います。
評価項目としては、pH、アルカリ度、塩分、アンモニア、亜硝酸、硝酸、カルシウム、マグネシウム、微生物環境などを予定しています。
これにより、Shelltasが日本国内でこれまで観察してきたWater OSに関連する現象について、定量的なデータの取得を目指します。
2.バナメイエビ飼育試験
第2段階では、第1段階の水環境評価結果を踏まえ、バナメイエビ(Litopenaeus vannamei)を用いた飼育試験を行う予定です。
水質だけでなく、生存率、成長、摂餌、脱皮などの生物学的指標も評価する計画です。
Shelltasでは、水質の化学的評価だけでは十分ではないと考えています。
実際にその水環境の中で水生生物が生存し、成長できるかを確認することは、Water OSを実際の養殖現場へ応用していくうえで重要な検証となります。
なぜシンガポールなのか
シンガポールは、研究開発環境、技術力、国際的なネットワークを有し、養殖分野のイノベーションや産業連携を進める基盤があります。
Temasek Polytechnicは、産業界との応用研究や共同プロジェクトを通じて、新たな技術をさまざまな養殖環境で実用化できるか評価し、より持続可能な養殖の普及や地域の食料安全保障への貢献を目指しています。
Temasek PolytechnicのAquaculture Innovation Centre(AIC)は、応用研究、技術開発、製品評価、産業連携を通じて養殖産業を支援しています。
資源効率の向上、生産性の向上、環境負荷を管理しながら持続可能な養殖を実現するための新たなソリューションの開発・評価にも取り組んでいます。
Shelltasは、日本国外への研究・事業展開を進めており、シンガポールを重要な海外拠点の一つとして位置づけています。
日本国内だけで成立する技術ではなく、異なる水質、魚種、養殖環境でも機能するWater OSへと発展させるため、海外環境での評価を進めていきます。
また、シンガポールのように水そのものが戦略的に重要な資源である地域においては、限られた水資源を効率的に活用することが、将来の食料生産や養殖においてますます重要になると考えています。
「水を交換する」から「水環境を設計する」へ
Shelltasが目指しているのは、大量の水交換や化学処理に依存し続ける養殖システムではありません。
不要な水交換や化学的介入への依存を減らしながら、生物が安定して生きられる水環境そのものを設計することを目指しています。
気候変動、水温上昇、疾病、水資源の制約、エネルギーコストなど、世界の養殖・水産業を取り巻く課題はますます複雑になっています。
Shelltasは、それぞれの問題に個別に対処するだけではなく、それらの根底にある最も重要な要素の一つである「水」そのものにアプローチします。
SeaFect®の研究から始まった取り組みは、現在、「水環境を設計するプラットフォーム」であるWater OSへと発展しつつあります。Shelltasは、日本発のこの技術を、将来的に世界の水と食料生産を支えるインフラへと発展させることを目指しています。
AICとの科学的検証は、その実現に向けた重要な一歩です。
株式会社Shelltas 代表取締役 徳田浩一 コメント
「世界の環境は急速に変化しています。水産・養殖の現場で働く方々からも、現在の環境のままでは長く持続できないのではないかという深刻な声を耳にする機会が増えています。
水は、人間だけでなく、すべての生物にとって欠かすことのできない環境です。
AICとともに、これまで私たちが水環境の中で観察してきた変化を科学的に理解し、頻繁な水交換や化学処理への依存を減らすことができる仕組みへと発展させていきたいと考えています。
最終的には、この技術を、世界中の養殖事業者をはじめ、水に関する課題を抱えるさまざまな人々の役に立つものにしていきたいと考えています。」
Temasek Polytechnic Aquaculture Innovation Centre(AIC)Head Dr Diana Chan コメント
「強靭で持続可能な養殖産業を構築することは、シンガポールの食料供給および食料安全保障にとって重要です。
そのためには、水のような重要資源を管理するための革新的な方法を探求していく必要があります。
Temasek Polytechnicでは、産業界のパートナーと緊密に連携し、応用研究を通じて、生産性を高め、持続可能な養殖を支援する実用的なソリューションの開発に取り組んでいます。
Shelltasとの今回の共同研究を通じて、シンガポールおよび周辺地域における革新的な養殖ソリューションの発展に貢献する、有益な知見が得られることを期待しています。」
会社概要
株式会社Shelltas
株式会社Shelltasは、北海道産ホタテ貝殻を原料とする海洋性カルシウム素材「SeaFect®」を中核に、農業・水産・衛生分野で製品・システム開発を行う企業です。
SeaFect®の研究・開発・製造・販売に加え、同素材を基盤とする水質管理システム「Water OS®」の開発や、現場ごとの水・土・生育環境に応じた実証・技術設計を通じて、自然由来素材を活用した技術の社会実装を国内外で進めています。
代表取締役:徳田 浩一
設立:2023年1月
所在地:〒143-0024 東京都大田区中央1-16-8 シャンボール大森1F
事業内容:海洋性カルシウム素材の研究・開発・製造・販売、農業・水産・衛生分野における製品・システム開発
公式サイト:https://shelltas.com/
Temasek Polytechnic Aquaculture Innovation Centre(AIC)
Temasek Polytechnic(テマセク・ポリテクニック)に設置された、養殖分野の応用研究・技術開発拠点です。シンガポール政府機関のEnterprise Singapore(企業庁)の支援を受けて設立され、シンガポールの養殖産業の生産性向上を、研究開発や産業連携を通じて支援しています。
設立:2019年7月
所在地:21 Tampines Ave 1, Singapore 529757
事業内容:養殖分野の応用研究、技術開発、製品評価、産業連携
公式サイト:https://www.tp.edu.sg/aic
【お問い合わせ】
株式会社Shelltas
担当:大宮 | omiya@shelltas.com
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