戦時中の食糧増産が始まり。70年間学内の畑に自生していたキクイモを発見。菓子3種に学生が加工、レシピを考案。
自由学園最高学部(大学部) 東京都東久留米市
キクイモに含まれる100%植物由来の食物繊維イヌリンは、糖質の吸収を抑えて血糖値の急上昇を防ぐ効果があると、近年注目されています。
自由学園最高学部食グループはこの点にも着目し、この歴史あるキクイモを活用して、くせがなくおいしくて健康にもよい菓子を作ろうと研究・試作を重ねて、キクイモ入りのパウンドケーキ、クッキー、ミルクアイスを開発しました。
クッキーは、学園の地元東久留米特産の柳久保小麦のふすま(ブラン)も加えて、よりヘルシーに仕上げています。
自由学園は1921年の創立当初から生徒が自分たちで昼食作りをするなど、「食の学び」を大事にしてきました。
現在も幼稚園から最高学部(大学部)までの各部が畑を持っており、生徒が育てて収穫した作物は、各部の台所で作られている手作りの食事に使われています。
■自由学園で自生するキクイモは、70年前の戦時中、食糧増産のために生徒が栽培したのが始まり
キクイモ(菊芋)はキク科ヒマワリ属の多年草です。戦時中の昭和16年に自由学園で食糧増産計画が立てられた折に、手間がかからず育つ利点があるとして学内数か所で生徒により栽培が始められました。その後キクイモは自生するようになり、以来70年にわたって毎年自然に畑の敷地内に芽を出し花を咲かせてきましたが、食用にする塊茎の処理は料理の際に手間がかかり、独特の風味も影響したのか、食材としてはほとんど使用されずにきていました。
自由学園最高学部食グループでは、この歴史あるキクイモを再び食用に活用できないかと考えました。調べていく中でキクイモには100%植物由来の食物繊維イヌリンが多く含まれており、糖質の吸収を抑えて血糖値の急激な上昇を防ぐ効能が健康によいと近年注目されていることを知り、さらに研究を進めて今回の菓子3種のレシピを完成させました。
■昭和16年(1941年)の自由学園食糧増産計画一覧図
下の食糧増産計画一覧図は、『学園新聞』(第131号 昭和16年2月28日発行)に掲載されたものです。
戦時中で食糧が不足している中、上級生がリーダーとなり、男子部・女子部(中等科・高等科)の生徒がキャンパス内に畑を作り野菜を栽培しました。
キクイモは数か所で栽培されており、その後一部が自生するようになりました。
現在は畑の敷地面積は減り、図面左上のあたりのみとなっています。様々な野菜を計画的に栽培していますが、キクイモについては特に世話をしておらず、完全に自生している状態です。
(最高学部は戦後創設されたので、昭和16年の計画に参加していません。)
■最高学部食グループによるキクイモを使った菓子の研究・開発
健康によいキクイモを、おいしくいただける菓子を作りたいと、収穫から始めて研究に取り組みました。
■完成したキクイモの菓子3種
いずれもキクイモ独特の風味が気にならず、どなたでもおいしく召し上がっていただけることを目標に、試作を重ねてレシピを完成させました。
■パウンドケーキ(キクイモとキクイモの葉入り)
■クッキー3種(キクイモの葉と、地元特産の柳久保小麦のふすま入り)
・プレーン
・ショウガ入り
・ユズ入り(ユズは学園産)
■キクイモ入りミルクアイス
試作を重ね、最終的には以前より自由学園と交流のあるイタリアン・ジェラート店「ダ・ルチアーノ」にご相談し、八王子の工房に伺って、ご一緒に制作して商品化することが出来ました。
ラベル中央のイラストも学生がデザインしました。
ダ・ルチアーノ https://www.da-luciano.com/
完成したこれらの菓子類はティーセットにして、2月25日(木)に自由学園しののめ茶寮のカフェで行った食グループが企画・調理・運営を行う「学生カフェ」でお出しし、ご好評をいただきました。
キクイモ入りアイスミルクは、中等科以上の在校生に食グループの学生が報告して味わってもらいました。
■2月25日(木)開催の「学生カフェ」の様子
学園HPでの下記ブログをご覧ください。学生による食材の紹介記事にもリンクが貼ってあります。
https://www.jiyu.ac.jp/blog/news/75589
■自由学園最高学部食グループについて
食グループは、最高学部1・2年生のカリキュラム「生活経営研究実習」の6グループの一つで、今年度は7名のメンバーが参加しています。指導は講師および自由学園食糧部職員が担当しています。
最高学部は自由学園男子部・女子部の高等科を修了した者のみが進学可能な大学部です。自由学園は「生活即教育」を掲げており、学びは教室での学習にとどまらず、日々の生活すべてが学びの場であると考えています。
食に関しては、全員が高等科までに学校や寮で生徒全員分の食事作りや食事後の片づけ、畑での野菜の栽培などを経験しており、バランスの良い手作りの食事や、自然の素材・味を大事にすること、食材の背景を知ること等、日々の食を大事にする上での基本的な考えを、経験を通して身につけています。
食グループでは、さらに1歩進めて、学校全体の食事のための保存食としてジャム、ジュース、ミンスミート、福神漬け、梅干しなどの生産をするほか、テーマを決めて研究し、自分たちで新しいレシピを作ることをしています。
それらの研究の仕上げとして、年に2回ほど、企画、調理、運営をすべて自分たちで行う「学生カフェ」を自由学園しののめ茶寮のカフェで開いています。
今年度は、1年生は学園産キクイモの活用を、2年生は昨年から続けてきた学園産のビーツおよび学園周辺地域特産の柳久保小麦の特徴にマッチする料理や菓子の研究を進めてきました。
■学校法人自由学園 https://www.jiyu.ac.jp
1921年、日本で最初の女性新聞記者羽仁もと子とその夫でジャーナリストの羽仁吉一が創立。
2021年4月に創立100周年を迎える。
設置校:幼児生活団幼稚園 初等部(小学校) 男子部・女子部(中等科・高等科) 最高学部(大学部)
■本プレスリリースに関する連絡先
自由学園広報本部
〒203-8521東京都東久留米市学園町1-8-15
E-mail kh@jiyu.ac.jp
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