介護保険居宅サービスの最新データと業界動向の解説
~「介護保険居宅サービスデータ〔全国版〕」2022年度上半期号を用いて~
高齢者住宅・施設のデータベースとコンサルティングを提供する株式会社タムラプランニングアンドオペレーティング(東京都千代田区、代表取締役:田村 明孝)では、この度TPデータ・サービス「介護保険居宅サービスデータ〔全国版〕」2022年度上半期号を発行しました。
このデータは、全国・全17種類・約18.4万ヶ所の介護保険居宅サービスの事業所を収録し、介護保険居宅サービスの業界動向をワンストップで把握できるデータになっています。
本リリースでは、この2022年度上半期号のデータを元に、最新の介護保険居宅サービスのデータを分析したトピックスをご紹介します。
■トピックス
1.オペレーターの事業所数ランキング
2.主要サービスの開設数/受給者数の推移
3.コロナ禍で伸びた/落ち込んだサービス
※本資料に掲載の情報・図表の無断転載を禁じます。
- 1.オペレーターの事業所数ランキング
まず当社で取り扱う介護保険居宅サービス(全国・全17種類)について、サービスを運営する事業主体ごとに事業所数をとりまとめたランキングが次表のようになります。(オペレーターに関連するグループ会社やフランチャイズ展開については、当社独自の基準においてグルーピング処理)
《事業所数ランキング》
ランキング1位は前回(2021年7月時点)から引き続き「(株)ニチイ学館」となり、圧倒的な事業所数で2位以下を大きく引き離しています。
3位の「セントケア グループ」は、2021年10月に(株)福祉の里(愛知県北名古屋市)を買収して前回より59ヶ所増と、上位10社の中では最も事業所数を増やしています。
18位の「グッドタイム・アライアンス グループ」((株)創生事業団等)は、2021年10月の(株)アーバンアーキテックを傘下に持つアーバンホールディングス(茨城県ひたちなか市)の買収に伴い、前回から102ヶ所増で初の20位内にランクインしました。
- 2.主要サービスの開設数/受給者数の推移
主要4サービスの事業所数の年次推移を見ると、最も顕著であるのが訪問看護並びに居宅介護支援となり、訪問看護は右肩上がりで増加が続き、2018年1月10,026ヶ所から2022年7月には14,254ヶ所と約4千ヶ所増となっています。
これに対して居宅介護支援は減少が続き、2018年1月の41,366ヶ所から2022年7月には38,530ヶ所と約3千ヶ所減と両極端な推移となっています。
近年では在宅ケアにおける医療ニーズの高まりを受けて、営利法人による訪問看護への参入が目立っている一方で、居宅介護支援はケアマネジャーの受験資格の変更による受験者の減少や、ケアプラン業務にICT等を導入して省人数へシフトしていく等の影響により、事業所数の減少が続いています。
《主要4サービスの事業所数(年次推移)》
各サービスの受給者数は増加傾向にあるが、デイサービスではコロナ禍の影響で減少
一方で主要4サービスの受給者数の年次推移を見ると、居宅介護支援、訪問介護、訪問看護が増加しているのに対して、デイサービスは横ばいから徐々に減少傾向となっています。これは、定員18名以下の小規模デイサービスの受給者数が減少していることに加えて、近年、デイサービス全体がコロナ禍の影響を強く受けていると推測されます。
前項で触れた通り、事業所数が減少傾向にある居宅介護支援ですが、全国的には高齢者/要介護者数の増加しているため、受給者数は微増で推移しています。そのため近年では、ケアマネジャー1人当たりのケアプラン件数は上昇傾向となっています。
《主要4サービスの受給者数(年次推移)》
出所:受給者数/厚生労働省「介護給付費実態調査」
- 3.コロナ禍で伸びた/落ち込んだサービス
下記グラフでは、厚生労働省が所管する新型コロナの感染者数データに対する、各サービス別の事業所数並びに受給者数の増加率(2020年1月を基準とする)との関連性を表しています。(当社T・Pデータ、厚生労働省「介護給付費実態調査」、厚生労働省「新規陽性者数の推移(日別)」を組み合わせて作成。2020年1月の感染者数は1/16~1/31の集計)
《訪問介護の各指標データ(月次推移)》
《訪問看護の各指標データ(月次推移)》
訪問介護並びに訪問看護は、感染者数の増加に対して一時的に減少が見られるものの、基本的に事業所数並びに受給者数は増加傾向となっており、コロナ禍においてもニーズの高いサービスであると言えます。
特に訪問看護は、コロナ前の2020年1月時点と比べると、2022年1月~4月の受給者数は概ね15%~19%の増加となっており、同サービスへの高いニーズが窺える結果となっています。
感染者数の増減に影響を受けやすいデイサービス、回復の兆しが見られないショートステイ
《デイサービスの各指標データ(月次推移)》
《ショートステイの各指標データ(月次推移)》
一方でデイサービスとショートステイは、前述の訪問系2サービスに比べて、コロナ禍の影響を強く受けている傾向が見られ、デイサービスは感染者数の増加によって、受給者数が大きく減少している傾向が繰り返し見られます。
ショートステイは特養に併設されているケースが多く、コロナ禍の影響をより受けやすい形態となっていることから、受給者数は2020年1月時点を概ね10%~15%下回っている状態が続き、未だ回復の兆しが見えていない状況にあります。
デイサービス、ショートステイ共に、事業所数は微増ながら増加しているため、受給者数の減少に伴って稼働率の低下が引き起こす採算性の悪化が懸念されます。
- 今回活用したデータの紹介
この他に付帯するホームページサービスは、高齢者住宅・施設の公募情報、M&A、業界ニュース等の最新情報を適時掲載して、迅速な情報提供を行っています。
- TPデータ・サービス
- 次回のセミナーや勉強会
・自治体別 高齢者住宅・施設等の需給予測データセミナー(10月18日)
https://www.tamurakikaku.co.jp/dataservice/tpseminar.html
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザーログイン既に登録済みの方はこちら
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像