光技術と磁性技術を組合せた新たな光医療技術の実現へ
―JSR株式会社とイルミメディカル株式会社が共同研究契約を締結―
JSR株式会社(東京都港区 代表取締役CEO 兼 社長 Eric Johnson、以下「JSR」)とイルミメディカル株式会社(愛知県名古屋市守山区 代表取締役社長 CEO 塚本 俊彦、以下、「イルミメディカル」)は、JSRが創製した抗体-ナノ磁性粒子複合体※1とイルミメディカルが開発した血管内光照射技術 ET-BLIT®※2の組み合わせによる新たな治療、診断技術の確立を目指し、共同研究契約を締結したことをお知らせします。
本契約に基づき、両者は抗体-ナノ磁性粒子複合体を活用した革新的光診断・光治療技術の確立、及び早期の臨床応用の実現に向けた共同での研究を実施して参ります。 また、イルミメディカルは当共同研究で創出される成果物を将来的に事業会社にライセンスする権利も保有いたします。
JSRは創薬支援などのライフサイエンス領域を重視している会社であり、体外診断薬、バイオプロセス材料に代表される粒子複合体技術を活かしたモノづくりを行ってきました。このコア技術をさらにナノサイズに展開し、抗体-ナノ磁性粒子複合体の研究を進め、抗体-ナノ磁性粒子複合体が腫瘍細胞に発現する抗原特異的に結合し腫瘍に集積すること、そして集積した部位への光照射により、光温熱作用※3・フェロトーシス※4等により、顕著な抗腫瘍効果を有することを見出してきました。
イルミメディカルではET-BLIT®(血管内から血管外組織を光照射するプラットフォーム技術)の開発を推進しており、各種動物実験などで血管内光照射の有効性確認を行うことやET-BLITプラットフォームの技術深化に向けて多数の事業会社・アカデミアとの共同研究・共同開発を行っています。ET-BLIT®では人の全身を走行する血管を使って腫瘍など治療対象となる患部近くまでデバイスをデリバリーし光照射することができるため、体内深部組織にも非侵襲的に光治療ができるようになる等、光治療用薬剤のポテンシャルを最大化できる技術として期待されており、光治療の市場の拡大にも繋がるものと考えています。
今回、両者の間で抗体-ナノ磁性粒子複合体とET-BLIT®を組み合わせることにより、抗体-ナノ磁性粒子複合体のポテンシャルを最大化できると考え、本共同研究に着手することといたしました。
※1 抗体-ナノ磁性粒子複合体:抗体とナノ磁性粒子を化学的に固定化した複合体。
※2 ET-BLIT®: カテーテル等を用いて心筋梗塞や脳梗塞を非侵襲的に治療する血 管内治療を応用した血管内光照射技術。Endovascular Therapy- based Light Illumination Technologyの略。
※3 光温熱作用: がん細胞は正常細胞に比べ熱に弱い性質を持ちます。がん細胞に集積させた抗体-ナノ磁性粒子複合体に光を当てることで、この複合体が熱を持ち、がん細胞を死滅させる効果が期待できます。これを光温熱作用と呼びます。
※4 フェロトーシス: 細胞膜のリン脂質の過酸化により引き起こされる細胞死。既存の抗がん剤に耐性を持つがんはフェロトーシスの感受性が高いとも言われており、近年、新たながん治療戦略として期待されています。
<ご参考>
JSR株式会社
JSR株式会社は、半導体材料を含むデジタルソリューション事業とライフサイエンス事業を中心に技術力を強みとしてグローバルに事業を展開しながら、世界の先端産業に価値を提供するためのイノベーションを推進し、社会の課題に応える次世代事業の探索も推進しています。
https://www.jsrlifesciences.com/ja/
イルミメディカル株式会社
イルミメディカル株式会社は、血管内光照射システム・血管内光照射デバイスを開発する2023年2月に設立された名古屋大学発のスタートアップです。現在、ET-BLIT®の技術基盤の確立と深化を進めながら、多数の開発パイプラインを保有しています。がん治療にとどまらず、アルツハイマー病などの神経系疾患や再生医療領域への応用も視野に入れて活動を行っています。2024年3月にシードラウンドの資金調達を完了した他、2024年9月には週刊東洋経済「すごいベンチャー100」2024年版にも選出されています。
【本件の連絡先】
JSR株式会社 広報部 北村/王(03-6218-3517)Email: jsr_koho@jsr.co.jp
イルミメディカル株式会社 お問い合わせ先 Emai: info@illumimedical.co
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