集中治療室にいる赤ちゃんと24時間いつでも会える
~ 杏林大学医学部付属病院でオンライン面会システムを開始 ~
杏林大学医学部付属病院(東京都三鷹市)では、新生児集中治療室(NICU)にいる赤ちゃんとご家族が24時間オンラインで面会できるシステムを2025年2月8日に全面的に開始しました。
NICUは、36週未満の早産や先天性疾患などの理由で、出生時から入院管理が必要となる赤ちゃんを預かる集中治療室です。出産直後に入院となるため、お母さまをはじめご家族は不安な状態で過ごすことが多くなります。そこで、当院ではそうした気持ちを少しでも和らげようと、24時間オンラインで面会できるシステムを導入しました。そのコンセプトは、「赤ちゃんと家族をつなぐアプリでNICUのバリアフリー化を目指す」です。このシステムでは保育器に取り付けたカメラから24時間365日、いつでも中継動画をご家族がスマートホンなどのアプリで自由に見ることができます。システムの導入に中心的に取り組んでいるのが小児科 小澤悠里助教です。
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― 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う面会制限で深まった危機感
小澤医師:赤ちゃんがNICUに入ると、長期間家族と離れ離れになります。その結果、母親となった実感が湧かず、小さく弱く産まれたことで自分を責めるなど、母親は常に強い不安にさらされています。それは父親や家族も同様です。さらに新型コロナウイルス感染症が拡大し、面会制限が数年間続いたことでこの状況がより深刻になったことが、オンライン面会を導入する大きなきっかけとなりました。
私自身2児の母です。寝ても覚めても赤ちゃんが傍にいることで母親としての実感が湧き、母乳が分泌され、眠くても、産後の体調が戻らなくても頑張ることができました。周産期は一生に数回しかない、かけがえのない時期ですが、赤ちゃんと触れ合えないご家族を思うと胸が苦しくなります。その後、感染症は落ち着き、当院のNICUは24時間の面会を再開しましたが、産後の体調が優れない母親が毎日病院に通うことは大変です。加えて、保育器の中にいる小さな赤ちゃんを触ることは怖いと感じるご両親もいます。赤ちゃんはかけがえのない愛おしい存在のはずなのに、物理的、精神的にも遠い存在に感じてしまうことが多々あります。不安で眠れず、赤ちゃんのいない夜間の搾乳はどれだけ辛いものか。それを少しでも解決したいと思い、2023年に24時間オンライン面会のトライアル研究を行いました。
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― トライアルで実感した母親や家族への好影響
24時間ご両親の携帯端末アプリから赤ちゃんの様子を観察することができるシステムを2023年の1年間試してみました。導入前は、いつでも見られることで、かえってご両親の不安や医療者のストレスが増えることへの懸念がありました。
しかし、見守りシステムを利用したご両親の不安度は、1ヶ月後には一般的な状態にまで下がり、1回の搾乳量が増えるなどの好影響が見られました。利用したご両親全員から、このシステムがとても有効で、NICUに必要だという回答が寄せられました。また、医師や看護師の大多数もこのシステムが好ましいという意見でした。医療現場をオープンにすることで、医療従事者とご家族との信頼関係が深まる結果になったと考えています。
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こうしたメリットが得られたことから、システムの本格導入が決定しました。機材はエレコム株式会社(本社:大阪市)の協力をいただき、高性能の小型カメラ10台の運用が2025年1月から開始しました。
― 今後の展望について
このシステムによって、多くのご家族の不安が軽減されることでスムーズな育児に繋がり、赤ちゃんの発達にも良い影響が出ることを期待しています。将来的には、保育器内にマイクを設置し、赤ちゃんの声やご両親の声を双方に届けることができれば、さらに素晴らしいものになると思っています。
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【 杏林大学医学部付属病院 】
東京都三鷹市新川6-20-2
電話 0422-47-5511(代表番号)
病床数1,055床
うち、新生児集中治療室(NICU)15床
特定機能病院、高度救命救急センターに認定、
特にハイリスクな母体・胎児・新生児の管理を行うスーパー総合周産期母子医療センター(都内6施設)に認定
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