萩原建設工業、建設現場の安全性を革新する「重機の後方警戒AI(仮称)」をアーキットと共同開発 — AIによる人・車・重機・カラーコーンの同時検知を実現
「後方事故ゼロ」を目指して——ICタグ不要で、建設現場の死角をAIがリアルタイムに検知・警告。“本当に使える”現場発の次世代安全支援システム、誕生

萩原建設工業株式会社(本社:北海道帯広市、代表取締役社長:萩原 一利、以下「萩原建設工業」)は、アーキット合同会社(以下「アーキット」)と共同で、建設現場における接触事故防止を目的とした「重機の後方警戒AI(仮称)」を開発しました。本システムは、AIが人・車両・重機・カラーコーンを同時に判定する機能を備えた、次世代型の安全支援技術です。
■ 開発の背景
建設現場における接近検知システムの多くは、ICタグを用いた作業員検知や、バックカメラ映像による人の検出にとどまっていました。しかし、ICタグを持たない作業員の検知漏れや、車両・重機間の接触事故が発生する恐れがありました。萩原建設工業は、これらの課題に向き合い、現場の安全性をより実用的かつ包括的に高めるため、アーキットと共同で新たなAIシステムの開発に着手しました。
■ システムの概要と特徴

「重機の後方警戒AI(仮称)」は、死角になる重機の後方と側方に広角カメラを設置し、カメラから得られる映像をAIが解析。死角に入る対象物を自動的に検知・警告するものです。運転席に設置したモニター、重機のパトランプ、外部のモニターで検知を確認できる、運転手自身や重機外にいる人にもリアルタイムで警告がわかるシステムです。
【主な特徴】

広角カメラ映像

運転席モニター

設定項目
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死角をカバー:重機の後方・側方に広角カメラを設置
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AI検知:画像解析により、人・車・重機・カラーコーン等をリアルタイムで認識
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即時警告:検知対象が範囲内に入ると、パトランプで警報を発出
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モニター表示:運転席および外部モニターに検知状況を表示可能
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柔軟な検知設定:検知対象は、設定画面で簡単にカスタマイズ可能
さらに、本システムは独自開発のAIを搭載しており、現場ごとに必要な検知対象を学習させて検知することが可能です。
■ 今後の展開
本システムは現在、NETIS(新技術情報提供システム)への登録申請を予定しており、2025年度中の実運用を目指しています。萩原建設工業は、今後も現場の安全性向上に寄与する技術開発を積極的に推進し、建設業界全体の労働環境改善に貢献してまいります。
開発担当者コメント
萩原建設工業株式会社 技革推進部 デジタル推進課長 髙山 正宏
これまでも現場で現実的に使える安全対策や効率化を考え、アーキット社と一緒に共同開発を進めてきました。その中で今回は「より安全性」にこだわり、ありそうでなかった当システムを新たに開発しました。
従来の重機接近検知システムでは、センサーやICタグを使用するものが主流であり、これらを装着していない場合には検知が行われず、安全確保に課題がありました。特に、ICタグなどを持たずに突然現場に入ってくる方が、不安全な行動をとるリスクが高い傾向にあります。
今回開発したAIシステムは、人だけでなく現場に存在するあらゆる物体を検知できるため、非常に汎用性が高い点が特長です。さらに、AIに継続的に学習させることで、検知対象の拡張が可能であり、今後の進化にも大いに期待しています。
将来的に、自動施工や遠隔施工の技術が進むことで、現場から人が減り、重機同士や重機と車両の接触事故リスクが増す可能性があります。そうした状況においても、本システムは有効なソリューションになると考えています。
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