【消費者調査】『マンション売却動機から検証』コロナによる「移住」ニーズは50代、60代以上で顕著に

~中古マンション流通レポート2021年4月vol2~

マンションリサーチ株式会社

コロナ禍では「都心から郊外への移住者が増えた」ということも聞かれます。そこでマンションリサーチ株式会社は、弊社が運営するマンション売却一括査定サービス「マンションナビ」を利用したユーザーのマンション売却理由を調査しました。

調査対象は、マンションナビユーザーの中でも売却予定時期が決まっているユーザー。すなわち、マンションの売却意思が顕在化しているユーザーの売却理由です。

1.転勤/住み替え
2.金銭的な理由
3.資産整理/財産分与


売主の年代別に、マンションを売る代表的な理由である上記3つが2017年~2020年の間でどのように変化したのかを調査し、コロナによる影響を検証します。
※プレスリリース詳細は以下解説をご覧ください。
【解説コラム】:https://t23m-navi.jp/magazine/news/covid19-transmigration/

【結果】
1.転勤/住み替え
2019年から2020年にかけて増加しているのは「50代」と「60代以上」のみ。逆に「~30代」「40代」は減少しています。

2.金銭的な理由
2020年に金銭的な理由によってマンションを売却したいというニーズが増加したのは「60代以上」のみという結果に。逆に、その他の「~30代」「40代」「50代」はコロナ禍で微減となっています。

3.資産整理/財産分与
2019年から2020年にかけての推移をみると「~30代」「40代」はほぼ横ばい。「50代」は大きく減少。それに対して「60代以上」のみが大幅に増加。資産整理や財産分与に伴うマンション売却とは、すなわち相続や離婚などが発生、あるいは将来の相続に備えている状況だと考えられます。

【詳細要約】
1.転勤・住み替えによるマンション売却

コロナ禍では、テレワークやオンライン授業の普及、そして「おうち時間」の長期化などにより住み替えニーズが増えたといわれています。働きながら休暇を楽しむ「ワーケーション」という言葉も、このコロナ禍で広まりました。

グラフ1.コロナ禍で50代・60代以上の住み替えニーズが増加

マンションリサーチ株式会社調べ

ただ転勤・住み替えによるマンション売却ニーズの推移(グラフ1)を見てみると、2019年から2020年にかけて増加しているのは「50代」と「60代以上」のみ。逆に「~30代」「40代」は減少していることがわかります。

グラフ2.東京都では若年層の住み替えニーズの減少傾向が顕著に

マンションリサーチ株式会社調べ

そしてこちらは「東京都」に限定した推移のグラフ(グラフ2)。全国で見られたことが、より顕著に表れています。

・「40代まで」の若年層はコロナ禍で住み替えによるマンション売却ニーズが減少
・「50代」「60代以上」のニーズは高まった
・とくに「40代」の減少幅が10ポイント以上と大きい
・逆に「50代」は10ポイント以上増加


東京都で、働き盛りである30代、40代の方の住み替えニーズが減少したということは、必ずしもテレワーク等の普及によって移住ニーズが高まったわけではないと仮説が立てられます。

 2.金銭的な理由によるマンション売却ニーズ

コロナ禍で、収入が減少してしまった方も少なくありません。とくにコロナの影響が大きい飲食業や交通業、旅行業では、収入減や失業者が多かったものと推測されます。

グラフ3.金銭的理由によるマンション売却ニーズが増加しているのは60代以上のみ


ただ実際の売却ニーズの推移(グラフ3)を見てみると、2020年に金銭的な理由によってマンションを売却したいというニーズが増加したのは「60代以上」のみという結果に。逆に、その他の「~30代」「40代」「50代」はコロナ禍で微減となっています。

60代以上だけが2019年から2020年にかけて1.5倍ほど増加していることに鑑みれば「住宅ローン返済中」「働き盛り」の年代には、2020年の時点でそこまでコロナによる経済的な影響が出ていなかった可能性が考えられます。

 また債務者の中には、各金融機関のコロナ禍での特別対応によって返済方法の変更や猶予などを受けられたことで、マンション売却に至らずに月々の返済負担を軽減できた方も一定数いるものと見られます。

3.資産整理・財産分与によるマンション売却ニーズ

それでは、最後に「資産整理/財産分与」によるマンション売却ニーズの推移を見ていきましょう。

グラフ4.「~30代」「40代」はほぼ横ばい。「50代」は大きく落ちている


2019年から2020年にかけての推移(グラフ4)をみると「~30代」「40代」はほぼ横ばい。「50代」は大きく落ちていることがわかります。

それに対して「60代以上」のみが大幅に増加。資産整理や財産分与に伴うマンション売却とは、すなわち相続や離婚などが発生、あるいは将来の相続に備えている状況だと考えられます。

 ただ、コロナ以前の2017年から60代以上の売却ニーズが上昇傾向にあることをみれば、コロナとの関連性はそう大きくないと考えられるのではないでしょうか。

【総括】コロナ禍で50代以上のマンション売却ニーズが高まっている

 「転勤/住み替え」「金銭的な理由」「資産整理/財産分与」という3つの事由による各年代のマンション売却ニーズの推移をみてきました。

 コロナ禍の2020年は、いずれの事由についても「~30代」「40代」は横這い~減少傾向にあった中「60代以上」は全てで、「50代」は「転勤/住み替え」で大幅に増加していたことがわかりました。

 とくに「40代以下」の住み替えによるマンション売却ニーズが2020年に大きく減少していたというのは、やや想定外の結果ともいえるでしょう。

【マンションリサーチ株式会社サービスURL】
■不動産売却一括査定サービス『マンションナビ』
https://t23m-navi.jp/

■不動産データクラウド
https://fudosan-data.jp/

■分譲マンションデータ販売
https://mansionresearch.co.jp/s/data_sale

【株式会社マンションリサーチについて】
マンションリサーチ株式会社では、 不動産売却一括査定サイトを運営しており、 2011年創業以来「日本全国の中古マンションをほぼ網羅した14万棟のマンションデータ」「9000万件以上の不動産売出事例データ」及び「不動産売却を志向するユーザー属性の分析データ」の収集してまいりました。 当社ではこれらのデータを基に集客支援・業務効率化支援及び不動産関連データ販売等を行っております。

会社名  : マンションリサーチ株式会社
所在地  : 東京都千代田区九段北1丁目2番11号 エイム東京九段ビル3階
設立年月日: 2011年4月
資本金  : 1億円
Web    : https://mansionresearch.co.jp/

筆者プロフィール

福嶋 真司(ふくしましんじ)

マンションリサーチ株式会社

データ事業開発室 

不動産データ分析責任者

FUKUSHIMA RESEARCH INSTITUTE

代表研究員

https://lit.link/fukushimasouken 

早稲田大学理工学部経営システム工学科卒。大手不動産会社にてマーケティング調査を担当後、 

建築設計事務所にて法務・労務を担当。現在はマンションリサーチ株式会社にて不動産市場調査・評価指標の研究・開発等を行う一方で、顧客企業の不動産事業における意思決定等のサポートを行う。
 

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会社概要

マンションリサーチ株式会社

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URL
https://mansionresearch.co.jp/
業種
サービス業
本社所在地
東京都千代田区神田美土代町5−2 第2日成ビル 5階
電話番号
03-5577-2041
代表者名
山田 力
上場
未上場
資本金
1億円
設立
2011年04月