高齢者施設の利用者の外出頻度はどう変化したか 感染予防から外出自粛を求める現場の苦悩も表面化

コロナ禍における高齢者施設(養護老人ホーム及び軽費老人ホーム・ケアハウ)の利用者の外出等に関する調査結果を公表


全国の養護老人ホームや軽費老人ホーム・ケアハウスをはじめとする高齢者介護施設・事業所が加盟する公益社団法人全国老人福祉施設協議会(東京都千代田区)は、養護老人ホームと軽費老人ホーム・ケアハウスの会員施設を対象に実施した「新型コロナウィルス感染症の感染防止に係る利用者の外出等に関する調査」の結果を公表した。本調査は、高齢者施設の中でも比較的、利用者の外出機会が多くある養護老人ホーム及び軽費老人ホーム・ケアハウスにおいて、緊急事態宣言下や宣言解除後における利用者の外出状況、施設での対策や困りごとなど、本年4月から8月におけるの利用者の外出等に関する状況を把握するために実施。利用者の外出頻度は全国的な感染状況に反比例する形で増減していた実態や、感染予防のために利用者へ外出自粛を求める現場の苦悩、衛生用品の不足、価格の高騰、発生時の職員確保や具体的な対応策等について不安を抱いている現状が明らかとなった。
  • 1.養護老人ホームについて
 養護老人ホームは、現在置かれている環境では生活が難しく、経済的にも問題がある65歳以上の高齢者が市区町村長の措置によって入所できる施設。特別養護老人ホームは施設と利用者の契約によるが、養護老人ホームへの入所については市区町村長の決定が必要となる。

 

 

 

 

 

 

 

全国老施協「高齢者の生活を守る養護老人ホーム~地域福祉のフロントランナー~」p2より全国老施協「高齢者の生活を守る養護老人ホーム~地域福祉のフロントランナー~」p2より


 養護老人ホームには、例えば子どもから暴力経済的虐待を受けている高齢者、精神障害を持つ高齢者等が入所している。

 

全国老施協「高齢者の生活を守る養護老人ホーム~地域福祉のフロントランナー~」p3より全国老施協「高齢者の生活を守る養護老人ホーム~地域福祉のフロントランナー~」p3より

全国老施協「高齢者の生活を守る養護老人ホーム~地域福祉のフロントランナー~」p3より全国老施協「高齢者の生活を守る養護老人ホーム~地域福祉のフロントランナー~」p3より





















◆「高齢者の生活を守る養護老人ホーム~地域福祉のフロントランナー~」は下記URLより参照。
https://www.roushikyo.or.jp/?p=we-page-menu-1-2&category=19325&key=19358&type=contents&subkey=303138

 

  • 2.軽費老人ホーム・ケアハウスについて

 軽費老人ホーム・ケアハウスは、60歳以上で、自立して生活することに不安がある身寄りのない人や、家族による援助を受けることが困難な人などが入居できる施設で、無料又は低額な料金で入所することができ、食事の提供その他日常生活上必要な便宜を供与することを目的としている。

全国老施協「自立した、尊厳ある生活を支える軽費老人ホーム・ケアハウス」p2より全国老施協「自立した、尊厳ある生活を支える軽費老人ホーム・ケアハウス」p2より

全国老施協「高齢者の生活を守る養護老人ホーム~地域福祉のフロントランナー~」p3より全国老施協「高齢者の生活を守る養護老人ホーム~地域福祉のフロントランナー~」p3より






















 軽費老人ホーム・ケアハウスには、自立した生活を送れる高齢者のほか、そうした生活に不安がある身寄りない高齢者や、家族による援助を受けることが困難な高齢者などが入居している。

全国老施協「自立した、尊厳ある生活を支える軽費老人ホーム・ケアハウス」p4より全国老施協「自立した、尊厳ある生活を支える軽費老人ホーム・ケアハウス」p4より

◆「自立した、尊厳ある生活を支える軽費老人ホーム・ケアハウス」は下記URLより参照。
https://www.roushikyo.or.jp/?p=we-page-menu-1-2&category=19325&key=19358&type=contents&subkey=303246

 
  • 3.調査結果の主なポイント
 養護老人ホームや軽費老人ホーム・ケアハウスでは、利用者のご希望に沿って外出いただけるよう支援することは当然であるものの、感染リスクの高さを踏まえれば、施設とともに利用者の方々に感染予防についてご理解いただく必要がある。
 その中で、緊急事態宣言下や宣言解除後における利用者の外出状況、施設での対策や困りごとなど、本年4月から8月における養護老人ホーム及び軽費老人ホーム・ケアハウスの利用者の外出等に関する主な調査結果は次のとおり。

(1)利用者の外出頻度は感染状況に反比例して増減
 緊急事態宣言下も宣言解除後も、感染者数が増減すると反比例する形で利用者の外出頻度も増減する傾向にある。特に、感染者数が減少すると、利用者へ外出自粛の要請を行う施設も減少し、利用者の外出頻度が増加する傾向にあった。


(2)衛生用品の価格高騰と不足の状況
 マスク着用や手指消毒液など、利用者への感染予防対策は90%以上の施設で実施されていた。他方で、それらの価格の高騰や、手袋、防護服、ガウン等の衛生用品が不足している状況も顕著であった。
 

(3)感染予防の理解に乏しく外出自粛要請が聞き入れられない
 外出に関する困りごととしては、「利用者に基本予防の理解が乏しかったこと」と、「外出自粛の要請を聞き入れてくれなかったこと」が多かった。特に、「軽費老人ホーム・ケアハウス」と「感染者の多い地域の施設」でこの傾向がより表れていた。

 

 

 

 

                    【利用者の外出で困ったこと】                    【利用者の外出で困ったこと】


(4)発生時の職員確保と対応策への不安、ストレスの増加
 新型コロナウィルス感染症発生時の職員確保や具体的対応策に対し、不安を感じている施設が多かった。また、利用者への外出の制限や自粛、家族との面会の制限により、利用者や家族のストレスと不満が高まり、それらが職員のストレスや負担の増加にもつながっていると推測される。

          【自由意見で寄せられた現状や課題等の内容】          【自由意見で寄せられた現状や課題等の内容】

 
  • 4.調査結果に関する参考情報
(1)施設で工夫した取組内容
 利用者への対応や取組において、「必要なことは施設や家族が代行した」が70%以上であったが、その他、定期的に利用者と対話集会を行い、園長や看護師が利用者全員に一律に説明して理解をいただいていることや、家族へ手紙を出して現状のお知らせとお願いを呼びかけるなど、各施設の具体的な取組内容を一覧として報告書で取りまとめている。

 

            【緊急事態宣言以降の利用者への対応・取組】            【緊急事態宣言以降の利用者への対応・取組】


(2)発生後の経過と対応
 新型コロナウィルス感染症が発生した施設から、発生後の経過と対応について情報提供いただいた内容を報告書で取りまとめている。


(3)介護従事者の応援派遣
 新型コロナウィルス感染症が発生した施設等への介護従事者の応援派遣について、全国老施協では各都道府県等の協議状況についてアンケート結果をまとめ、応援派遣の協議や実際に応援派遣を行う際の留意事項について整理している。詳細は下記URLを参照。
https://www.roushikyo.or.jp/?p=we-page-menu-1-2&category=19325&key=21769&type=contents&subkey=344358


(4)相談窓口「JSここメン」(JSこころメンテ)の開設
 新型コロナウィルス感染症の影響による介護従事者のストレス軽減や悩みの解消を目的として、相談窓口「JSここメン」(JSこころメンテ)を開設している。LINEチャット、メール、電話により匿名かつ無料にて相談可能。詳細は下記URLを参照。
https://js-cocomen.com/


(5)「広域感染症災害救援事業」による各種防護用品等の調達
 全国老施協の「広域感染症災害救援事業」の一環として、高齢者介護施設等において新型コロナ感染症が発生した場合に用いる各種防護用品等を調達して、各都道府県(指定都市)老施協・デイ協等に配布している。各種感染防護用品等を個別に調達する場合についても、全国老施協からいくつかの備品の情報を紹介している。詳細は下記URLを参照。
https://www.roushikyo.or.jp/?p=we-page-single-entry&type=contents&spot=326621


 
  • 新型コロナウィルス感染症の感染防止に係る利用者の外出等に関する調査結果
本調査の報告書は下記URLにて掲載。
https://www.roushikyo.or.jp/?p=we-page-menu-1-2&category=19325&key=21768&type=content&subkey=346732

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会社概要

URL
https://www.roushikyo.or.jp/
業種
医療・福祉
本社所在地
東京都千代田区平河町2-7-1 塩崎ビル7階
電話番号
03-5211-7700
代表者名
大山 知子
上場
未上場
資本金
-
設立
2009年04月