日清製粉、日清製粉ウェルナ パスタ向け小麦品種「芽系21001」を農研機構と共同開発
~国産普通系小麦を使った国産パスタの普及に期待~
日清製粉グループの日清製粉株式会社(取締役社長:山田 貴夫)および株式会社日清製粉ウェルナ(取締役社長:岩橋 恭彦)は、農研機構と共同研究「パスタに適する小麦の開発」を実施し、パスタ向けの国産普通系小麦品種「芽系(めけい)21001」を共同開発しました。
「芽系21001」を原料とした小麦粉で製造したパスタは、強い生地感とパスタらしいプリっとした食感を持ち、濃い黄色みを呈するため、国産普通系小麦を使った国産パスタの普及が期待できます。
■ 「芽系21001」開発の背景と経緯
海外で生産される「デュラム小麦」は、製粉するとパスタに適した濃い黄色の小麦粉となるため、パスタ用小麦として活用されます。しかし、デュラム小麦は、収穫期に雨が多い日本国内では安定的に生産することが困難でした。
そこで、日清製粉および日清製粉ウェルナは、農研機構と共同研究を実施し、穂発芽(※1)耐性と赤かび病(※2)抵抗性を備え、かつ、デュラム小麦並みの食感と濃い黄色みを持つパスタ適性の高い小麦の開発を進めました。
■ 新品種「芽系21001」の特徴
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通常の小麦よりも黄色みが濃い「キタノカオリ」の特徴をさらに高めた小麦系統である「芽系16063」と、通常アミロース型で生地が強い「勝系154号」を交配し開発しました(図1)。
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穂発芽耐性と赤かび抵抗性を備え、デュラム小麦に近いパスタの食感と濃い黄色みを持つ普通系小麦品種です。農研機構北海道農業研究センターでの生産力検定試験の結果、パン用小麦品種「ゆめちから」並みの収穫量が期待でき、また、「ゆめちから」よりも穂発芽耐性に優れ、赤かび病に対しても同等の抵抗性を示しました(表1)。
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日清製粉および日清製粉ウェルナにおける加工適性評価試験の結果、「芽系21001」を原料とした小麦粉で製造したパスタは、強い生地感とパスタらしいプリっとした食感を持ち、濃い黄色み(図2、3)を呈し、デュラム小麦で作られた乾燥パスタに近い品質であることが確認されました。

表1.「芽系21001」の穂発芽耐性および赤かび抵抗性



図2.「ゆめちから」および「芽系21001」で作成した乾燥パスタ

■ 今後の予定
今後は、日本で本格的なパスタ向け小麦を生産するために、まず試作栽培と国産パスタの製品化を進めていきます。
<用語解説>
※1:穂発芽
小麦の成熟期に雨に当たると、穂の状態で種子が発芽する現象で、小麦粉品質の低下を招きます。
表1における発芽率は、成熟期および成熟期1週間後(晩刈り) に収穫した穂を低温、加湿状態にし、発芽した割合(%)を示したものです。穂発芽検定は、収穫した穂を加湿状態にし、発芽した程度を、0(発芽なし)、1(難) ~ 5(易)に従って穂発芽性を示したものです。これら両数値から穂発芽のしやすさを判定します。
※2:赤かび病
小麦の成熟期に発生する病害で、産生されたカビ毒が基準値を超えると、食用として利用できなくなります。
表1における赤かび病抵抗性は、小麦に長期間定期的に散水を行い、赤かび病の発生程度を、0(感染なし)、1(僅かな感染)~ 5(ほぼ全て感染)に従って、赤かび病への罹りやすさを示したものです。赤かび病耐性が強いと、低い数値を示します。
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