【レポート】産地を育てる共創型プロジェクトが拡大、ものづくり関係人口の創出や製造業への経済効果が顕著に「クラフトフェア ツギノテ」

〜2日間で6,827人が来場、3年目にしてビジネスマッチングや若手人材流入が加速〜

ツギノテ実行委員会

富山県高岡市にて、ものづくりに関係する人々の出逢いをつなぎ、ものづくりを未来へとつなぐ活動を実践するツギノテ実行委員会は、2025年10月18日(土)・19日(日)の2日間、高岡駅直結の立体駐車場を会場とした「クラフトフェアツギノテ」を開催しました。3年目となる今年、来場者数は6,827人となり、特に子どもを連れた家族でものづくりに触れる姿が多くみられました。ツギノテ実行委員会は、職人も企業も行政も、みんなが“登場人物”となり「つくる人が、社会をデザインする未来」を高岡市から目指しています。

【レポート】産地を育てる共創型プロジェクトが拡大、ものづくり関係人口の創出や製造業への経済効果が顕著に「クラフトフェア ツギノテ」

“工場を一箇所に集める”新発想で来場者は右肩上がり。地域に新産業・新人材を生むクラフトフェア ツギノテ

「クラフトフェア ツギノテ」は3年目となる今年、初年度比1.8倍の来場者数を記録しました。20年以上続く高岡伝統産業青年会の工場見学ツアー“高岡クラフツーリズモ”を土台に、2023年にスタートした本イベントは、工場に“来てもらう”のではなく、高岡駅前の立体駐車場に“工場そのものを集める”という新しい形のものづくり体験を実現しています。

職人が道具や機械を持ち込み、工場を再現した1坪のブースで実演することで、子どもには小さな工場探検を、同業者には技術交流や商談の機会を提供しています。いまや全国で60を超えるといわれるオープンファクトリーが抱える「巡れる工房数の限界」や「来場の偏り」といった課題に対する解決策として機能し、実際に新商品開発や移住者の増加など、地域に新たな産業的・社会的価値を生み出すプラットフォームへと成長しています。

ツギノテ2025 実績ハイライト

「クラフトフェア ツギノテ」は、子どもたちが自然に“ものづくり”へ触れられる学びの場と、地域製造業の新たなつながりを創出する産業ハブとして、年々存在感を高めています。3年目となる今年は、その成長がデータとしても明確に示される結果となりました。

本年は、以下の5点が特に顕著な成果として表れました。

1. 未来を担う子どもたちの来場が増加

2日間で6,827名が来場し、最も多かった年代は30〜50代。特に子どもを連れたファミリー層の来場が多く、子どもたちが普段は接点のない職人やものづくりの仕事を身近に感じる機会が広がりました。

2. ものづくり関係者・ビジネス視察者の増加

来場者の3割が製造業・デザイナーなどのものづくり関係者に加え、2割(約1,385名)がビジネス視察・情報収集目的で来場。視察目的の来場者は昨年度比2.8倍と大きく増加し、地域製造業への注目度が一段と高まっています。実際に、販路開拓や協業の可能性については、出展した製造企業のうち71%が具体的な商談などの「仕事の話ができた」と回答し、イベントが新たなビジネスを生み出す実践的な場として機能していることが示されています。

3.出展した製造企業・職人にとっての学び・気づきの機会

84%の製造企業・職人が「新しい気づきがあった」と回答。展示準備や他社との交流を通じて生まれた発見が、今後の製品開発やプロジェクト創出につながる可能性が高く、地域製造業にとって学びと連携が加速する場となっていることが伺えます。

4. ツギノテを中心とした“ものづくり関係人口”の創出

2025年は、クラフト作家、フード企業、製造業を含む115社(個人事業者含む)が出展。さらに、高岡伝統産業青年会をはじめとした地元団体や企業が運営を支援し、外部との協働が加速しました。

2024年4月に立ち上げたツギノテ実行委員会には、県内外から若手人材が参加。ツギノテをきっかけに移住・長期滞在して運営に関わった20代が今年だけで3名増加しました。また、ツギノテが運営する「ゼロ門」では、今年地域プロデューサーを目指す13名が新たに誕生。イベントを中心とした「関係人口の可視化と拡大」が着実に進んでいます。

5. ものづくりへの経済効果

会場やツギノテに出展する事業者の店舗で利用できる専用商品券「ツギペイ」により、来場者の購買意欲が向上。ツギペイ販売金額は380万円超に達し、ツギノテ関連消費として地域製造業の収益向上に貢献しました。出展者・来場者双方から「購買が後押しされる」「新規顧客との接点が生まれた」との声が多く寄せられています。

<実績サマリー>

3年目の開催となった今年、ツギノテは協業の実現、新商品の開発、若手人材の参画、地域経済の活性化など、多面的な成果を生み出すイベントへと進化しました。昨年の出会いを機にコラボレーションを開始した企業が増え、今年の場で新商品を発表する企業も登場するなど、ツギノテが“成果発表の場”として定着しつつあることは大きな前進です。

ものづくりの魅力を次世代へ、そして地域産業の未来へ──。ツギノテは、未来へ続く“次の手”をともに育むプラットフォームとして進化を続けています。

当日の様子

2025年度 ツギノテ実行委員会の新しい取り組み ― 4つのプロジェクト

1. 富山が誇る寿司文化 × 工芸「わたしたちのSUSHI PLATE」

富山が誇る寿司文化 × 工芸「わたしたちのSUSHI PLATE」

富山県内で活躍する24名の職人・作家が参加し、鋳物、漆器、ガラス、木材など素材の持ち味を生かした43種類の回転寿司の皿をモチーフとした工芸皿を制作。「寿司といえば富山」ブランディングプロジェクトと共に、富山が誇る寿司と工芸の2つの文化を掛け合わせた新しい地域プロジェクト。11月11日より氷見回転寿司 粋鮨高岡店にて寿司提供皿として使用がスタート。

2. 高岡龍谷高校と身近なSDGsを企画にする「こども工作広場」

高岡龍谷高校と身近なSDGsを企画にする「こども工作広場」

工場や家庭から出る廃材を使い、子どもが自由に創作できる工作し放題の体験スペースを高校生と共同企画。高校生ならではの視点で廃材を使ったミニゲームも考案し、イベント期間中、順番待ちができるほど子どもたちで大賑わいとなった企画。

3. 子育て世代へ文化体験を届ける「ごちペイ」プロジェクト

子育て世代へ文化体験を届ける「ごちペイ」プロジェクト

経済的に機会が限られる家庭や子育て世代へ、ツギノテに関連した購買・体験で利用できるチケット「ごちペイ」を400部配布。ベビーファーストこどもごちめし高岡プロジェクトとの協業により“文化的体験の格差解消”に取り組む企画。ごちペイを使用した子どもや保護者からは、体験への感謝の声が多く寄せられました。

4. 地域の未来を担う“産地プロデューサー”育成塾「ゼロ門」(2025年7月〜2026年3月)

地域の未来を担う“産地プロデューサー”育成塾「ゼロ門」

作り手だけでなく、販路を見据え企画・商品開発ができる人材を育成。地域から新しいプロデューサー人材の輩出を目指す中長期のプログラム。地元企業から集まった13名が受講中。

今後の展望:ツギノテが目指す「産地を育む実験場」― “E(経験・教育・感動) to B(地元企業)”が生む新しい産業モデル

クラフトフェア ツギノテは、「10年かけて産地を、ものづくりに関わる多様な人々と共に変革していく」というビジョンのもと、毎年の開催を“成果発表の場”として位置づけ、産地の成長を可視化しています。

こうした動きの背景には、ものづくりの価値が「B(企業) to B(企業)」「B(企業) to C(顧客)」、そして“モノからコトへ”と変遷してきた流れがあります。オープンファクトリーの広まりとともに、企業が経験を提供する「B(企業) to E(経験・教育・感動)」という概念が注目されていますが、ツギノテはさらに一歩進み、異分野との協働を通じて作り手自身が学び、成長し、それが産地の進化につながる【E(経験・教育・感動) to B(地元企業)】 を実践しています。つまり、来場者だけでなく出展しているつくり手側もまた、体験を通じて変化し、その変化が産地を動かしていく――。ツギノテは、そんな新しい地域産業モデルを生み出す「実験場」として進化を続けています。

視察や協業について

クラフトフェア ツギノテは、日本有数のものづくりの産地 富山県高岡市から次の時代に繋がるものづくりが生まれることを目指し、この取り組みをより多くの方に知っていただきたいと考えております。ご興味のある方は、ぜひ下記のメールアドレスからお気軽にお問い合わせください。協業や視察など、企画段階でのご相談もお待ちしております。

お問合せ ツギノテ事務局 MAIL:tsuginote.craft@gmail.com

<ツギノテ実行委員会について>

クラフトフェア ツギノテ

〜ものづくりと人を繋ぐ「ツギノテ」〜

ツギノテ実行委員会は「クラフトフェア ツギノテ」を中心とした地域・業種を超えた技術やアイデアの交流の機会を10年、50年先の産地の未来を見据え継続的に創出していく組織です。背景には、昨今のライフスタイルの変化や産業の発達、担い手不足に伴い、全国各地のものづくり産地が多くの課題に直面している現状があります。鋳物や漆器などのように、それぞれの技術に特化した専門の企業が1つのものを協力しながら作り上げる「分業制」をとっている産地が多くありますが、廃業する企業が増えることで、同産地内でものづくりを完結させることが難しくなってきています。だからこそ、地域、業種、素材、文化などさまざまな境界線を超えて共創していく「ものづくり産地の再編」がいま、求められています。ツギノテ実行委員会では、400年続く日本有数の伝統工芸の産地高岡市から、作り手・繋ぎ手・使い手を集め、ものづくりを次の時代へ繋ぐ場や取り組みを興していきます。

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会社概要

ツギノテ実行委員会

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URL
https://tsuginote.jp/
業種
製造業
本社所在地
富山県高岡市白金町5−2
電話番号
-
代表者名
羽田純
上場
未上場
資本金
-
設立
2024年04月