シンガポール発の人事分析ツール「パナリット」がシードラウンドで約3.3億円の資金調達を終え、日本に本社機能を移転中
- パナリットは「人財のための財務諸表」、これからの組織・人事DXに必須
- なぜ日本に本社機能を移転するのか?
- パナリットの成り立ちと今後の展望
- 本ラウンドに参画した投資家からのコメント
■パナリットは「人財のための財務諸表」、これからの組織・人事DXに必須
パナリットは、企業で人材マネジメントに関わるあらゆる人(人事・経営・現場の管理職)が、必要な時に必要なデータにすぐにアクセス可能にすることで、経験や勘だけに頼らないより良い組織の意思決定を実現できるよう、人事分析ツールを開発・提供しています。経営資源のヒト・モノ・カネのうち、カネ領域では財務諸表が同様の役割を果たしていますが、私たちは人事データの処理・可視化・実用化に関わる技術やノウハウを活かし、ヒト領域における「人財のための財務諸表」となることを目指しています。
この「データをもとにより良い意思決定をサポート・効率化する」ツールやフレームワークは、財務領域における財務諸表に限らず、営業領域のSFAやマーケティング領域のCRMなど、人事以外の領域ではすでに浸透し始めています。人事領域ではここ数年で、各種人事業務の効率化を目的とする SaaS が多数誕生しており(※1)、データをデジタルに収集・管理する土台が整い始めたことも後押しとなり、「人事領域でもより良い意思決定を効率化する」ニーズが他領域を追随するように高まっています。
この領域はまだ黎明期ではありますが、弊社は 2020年度には経済産業省後援「HRテクノロジー大賞」で部門優秀賞を、2021年度にはガートナー社の『HCM業界のCool Vendor(注目すべきベンダー)』に選出されています。
※1:HR Techナビ「HR Tech業界カオスマップ」では、2019年10月時点で日本だけで約450種類のサービスを紹介
■なぜ日本に本社機能を移転するのか?
パナリットは現在までに7ヶ国で展開して参りましたが、組織の意思決定における人事データの有効活用に対して、需給ギャップならびに成長余地が最も大きい国は日本であると判断いたしました。
<需要の急拡大>
日本でも特にここ数年で、欧米諸国に追随するように、人事データの有効活用に対する機運が高まっています。
- 人事部門のデジタルリテラシーの向上: 人事業務を効率化するHRテクノロジーツールの浸透が後押し
- リモートワークマネジメントへの適応: 奇しくも新型コロナウイルスの影響から、リモートワークマネジメント体制への急速な適応を余儀なくされた企業において、メンバーの生産性やエンゲージメントの状況把握や可視化が困難に
- 資本市場からの要請: 2020年8月にSEC(米国証券取引委員会)が人的資本の可視化を義務付けると発表したことを踏まえ、日本においても人的資本や指標の整備・可視化に対する関心が増大
<供給側の課題>
人事データの活用を促す体制面では、人材およびインフラ投資の両面で、欧米諸国と日本とで隔たりがあります。
- 欧米企業: ある程度の従業員規模になると、ピープルアナリストと呼ばれるような人事専属のデータチームが組成され、必要なデータ分析インフラへの投資も行った上で、経営や現場と三位一体となって組織・人事課題を解決していく体制が確立
- 日本企業: 人事部門に限らずデータ人材自体がまだ希少である上に、従来のデータ分析基盤に必要な投資を正当化できるような成功事例も少ないため、体制面の強化はあまり進展せず
<日本市場における兆し>
パナリットは Small Start, Quick Win(小さく始め、成果を素早く積み重ねる)をコンセプトとして、従来の手段よりも低価・低負荷・短期間で、人事データ活用に着手できるようになりました。データを使った人事課題の仮説検証を、従来の1ヶ月から 15分に短縮できた事例もあります(※2)。すでに数百名〜数十万名企業の様々な業界で、人事部だけでなく経営層や現場の事業責任者にも活用いただき、当社の売上の大部分を日本の顧客企業が占めるようになりました。そのため今後は、日本企業に向けた開発や導入支援体制を一層強化できるよう、日本に本社機能を移転するとともに、上述のような需給ギャップをいち早く解消できるよう邁進して参ります。
※2:https://panalyt.jp/case/mixi/
なお日本への本社機能移転は、選択と集中のためであり、日本国外市場からの完全撤退を意味するものではありません。人事におけるデータ分析業務の効率化や、先進的な分析アプローチの実装ニーズは海外でも十分存在するため、事業・財務・組織基盤が整い次第、国外にも積極展開を視野に入れています。
■パナリットの成り立ちと今後の展望
パナリットは2017年に、ダニエル J ウェストによりシンガポールで創業されました。ウェストは Apple・モルガンスタンレー・UBERなどにおいて、事業の急成長・急転換に伴う様々な組織変革を乗り越える中で、人事データを活用した組織の意思決定を数十年にわたって推進しました。しかし Apple のような先進企業だけでなく、他のどの企業でも当たり前のように人事データの活用が進み、様々な組織課題に対してより良い意思決定を実現できるようになって欲しいという思いから、パナリットの創業に至りました。
2019年より経営に参画し日本拠点を立ち上げた小川は、ウェストと同様に人事データを活用した組織変革をGoogle本社で推進した経験を有し、同様に経営参画したトランは人事以外の領域において、データを活用した事業・組織変革をリクルートやGoogleなどで推進してきました。
「人事 × データ」領域の高い専門性を持つ経営陣に加え、現在では11国籍・15名の多様性を持つメンバーが集まってきています。人事やデータに必ずしも明るくないユーザーでも難なく使いこなせる UI/UX を追求する上で、制度や商慣習の複雑性・個別性に対応したプロダクトづくりを支える「組織の多様性」はパナリットに欠かせない強みだと考えています。今回の資金調達完了を機に、より一層バックグラウンド・スキル・経験の多様化を叶える採用を強化して参ります。
※事業推進、データエンジニア、カスタマービジネスパートナー等の職種を積極採用中です!
(募集要項:https://panalyt.jp/careers/ )
■本ラウンドに参画した投資家からのコメント
本シードラウンドでは、「どんな企業でも簡単に人事データを活用し、人事・経営・現場が三位一体となって、組織のより良い意思決定をサポートする」上で、強力な知見・経験を有する投資家に参画して頂きました。
D4V(Design for Ventures) Principal 太田 明日美
終身雇用から転職の一般化、年功序列から成果主義、そしてオフラインからオンラインなど、働き方が進化するなかで企業の人材マネジメントにも変化が求められています。
HRテックの台頭により人事周りのデータを保有する企業は増えていると感じますが、大切なのは人材マネジメントの向上に繋げやすい形で管理することだと思います。D4Vは、UIデザインやユーザビリティへの拘りを持つパナリット社のプロダクトこそが人事データの有効活用を促進し、日本ひいては世界の人材マネジメントレベルの底上げを加速すると信じています。
D4Vは、パナリット社が経営陣の豊富な人事経験やグローバルネットワークを存分に発揮し、日本企業へのピープルアナリティクスの浸透、そしてスピーディなグローバル展開が可能になるようデザインと経営の両面からサポートしていきたいと思います。
千葉道場ファンド 代表取締役ジェネラルパートナー 千葉 功太郎
複数のHRTechツールの登場により、あらゆる人事指標や施策がデータに落とし込めるようなり、同時に働き方改革やリモートワークが普及した中で、人事データの活用のニーズはより高まっています。
ダニエルさん、小川さんのグローバル企業での人事経験とピープルアナリティクスの知見を存分に生かしたパナリットのプロダクトは「人財の財務諸表」とも言われており、今後様々な企業で導入が進んでいく事を期待しています。千葉道場ファンドとしてもパナリットの日本発グローバルカンパニーとしての大きな挑戦をサポートしていきたいと思います!
Headline Asia Investor 鈴木 広平
これまでHR領域の意思決定は、ファイナンス、マーケティングなどと比べて属人的、定性的にならざるを得ない状況が多かったのではないかと思います。
パナリットのサービスは、HR領域の意思決定におけるバイアスを削減し、多くのビジネスマンが働きやすい環境作りへ大きく貢献するものと期待しております。リモートワークが普及しつつある今だからこそ、より大きなニーズが生まれていくサービスであるとも感じております。
Headlineグループとして、北米・南米・ヨーロッパ・アジアの拠点を通じた海外進出支援など、パナリットの世界へ向けた挑戦をサポートさせて頂きます。
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