国内初、先天性中枢性低換気症候群に対する横隔膜ペーシング治療の症例報告
横隔膜ペーシング治療(NeuRx)の症例報告が「PEDIATRICS INTERNATIONAL」に掲載
国内初となる横隔膜ペースメーカー【NeuRx】の植込みをされた先天性中枢性低換気症候群(CCHS)の患者様の症例報告が、日本小児科学会発行の学会誌「PEDIATRICS INTERNATIONAL」に掲載されました。
国内におけるCCHSに対する本治療の論文発表は、本発表が国内初となります。
国内におけるCCHSに対する本治療の論文発表は、本発表が国内初となります。
【掲載概要】
掲載誌:PEDIATRICS INTERNATIONAL
論文タイトル:Diaphragm pacing for congenital central hypoventilation syndrome: A novel case of pacing implanted into the diaphragm
筆頭著者:東京女子医科大学東医療センター(現 東京女子医科大学附属足立医療センター) 新生児科 山田 洋輔 医師
掲載URL:https://doi.org/10.1111/ped.14915
【発表概要】
・重度のCCHSでは、睡眠時だけではなく覚醒時にも低換気が起こることが知られており、肺性心や肺高血圧の進行を抑制するために、機械的陽圧換気(人工呼吸器)が必要となる。人工呼吸器は本体だけではなく付属品も必要となり、外出時や日中屋内での活動時の管理が容易ではない。
・横隔膜ペーシングは、CCHSに対する呼吸療法の一つである。人工呼吸器よりも小さく持ち運びが便利なため、覚醒時の換気が容易となる。横隔膜に植込むタイプ(DP-ID)と、横隔神経に植込むタイプ(DP-IP)があり、本発表は、DP-IDを使用した国内初の症例報告である。
・今回の患者様は、術後19日で12時間のDP-ID連続使用が可能となった。DP-ID使用前と比較すると、覚醒時の動脈血酸素飽和度(SpO2)と経皮二酸化炭素分圧(TcPco2)が改善され、肺高血圧も改善された。今後は、ペーシング時間を延長し、夜間の人工呼吸器の離脱を試みる。
・DP-IPは、術後にペーシングを開始するまでに数週間、機器の設定やペーシング時間を調整する(コンディショニング)までに数カ月を要す。また、腹部に大きな外部アンテナを2枚貼り付ける必要がある。一方、DP-IDは、数週間以内にコンディショニングが完了し、小さな体外式の刺激発生器1台で管理ができる。
・今回の症例は、DP-IDが、覚醒時低換気の改善だけではなく、生活の質を向上させ、CCHS患者の新たな選択肢になる可能性を示唆している。
■先天性中枢性低換気症候群(CCHS)
呼吸中枢の先天的な障害により、主に睡眠時に、重症例では覚醒時にも低換気を認める疾患である。呼吸中枢の化学性調節異常があり、高CO2血症や低O2血症に対する換気応答が障害され、呼吸苦のない重篤な低換気が生じると考えられている。現在、呼吸中枢に対する有効な治療はなく、生涯にわたる人工呼吸管理が必要である。疫学上、約1/10-20万の頻度で出生すると想定されており、国内で約150例程となっている。診断においては、遺伝子学的診断でPHOX2B遺伝子変異(自律神経系の分化発達に関与)を確認することで確定診断される。東京女子医科大学附属足立医療センターは、国内随一の臨床経験があり、CCHS呼吸ドッグという呼吸状態を包括的に評価し呼吸管理を決定するプログラムを行っている。
東京女子医科大学附属足立医療センター「CCHS呼吸ドッグ」
https://twmu-mce.jp/mce/NICU/CCHS_DOCK.pdf
現在国内で横隔膜ペーシング治療への使用において、承認を受けている製品は唯一NeuRxのみとなっております。本品は「横隔神経の電気刺激により横隔膜の収縮が可能な、人工呼吸器に依存する(1)脊髄損傷、(2)中枢性低換気症候群」の患者様が適用の対象となります。横隔膜に植込まれた電極に電気刺激が送られて、横隔膜が収縮することで呼吸補助を行います。電極の植込み手術は、腹腔鏡下にて2時間程度の所要時間で、比較的低侵襲に行うことが可能です。電極は横隔膜に左右2本ずつ植込まれ、体外式のペースメーカーにより電気信号が送られます。
術後にコンディショニングと呼ばれる横隔膜ペーシングの設定調整や使用時間を徐々に延長することで、在宅での管理が可能となります。本品を使用している間は、人工呼吸器を一時的に離脱することが可能となり、患者様のQOLが大幅に改善されることが期待されます。
体外式のペースメーカーは、小型で携帯性に優れており(重さ:約250g、サイズ:8cm×13.7cm×3.4cm)、外出も容易となります。駆動には市販の単2サイズのアルカリ乾電池やリチウム乾電池が用いられることから、生命維持装置として課題の一つである災害時の電源確保といった点においても容易に対応が可能です。NeuRxは、モータ等の駆動がないことから、これまで人工呼吸器の音が気になっていたような場面でも周囲を気にすることなく使用することができます。また、介護者様にとっても吸引回数が減るなど、人工呼吸器と比較してケアの負担軽減が期待される機器であります。
今回、NeuRxは国内で初めて横隔膜ペーシング治療用の医療機器として薬事承認を取得し、保険収載されたことで、これまで人工呼吸器に頼らざるを得なかった脊髄損傷や中枢性低換気症候群の患者様の呼吸管理において、経済的負担も最小限に抑えながら、新たな治療の選択肢を提供することが可能となりました。
【会社概要】
会社名 : USCIジャパン株式会社
所在地 : 〒151-0053 東京都渋谷区代々木3-28-6
設立 : 1999年4月
事業内容: 医療機器の輸入・製造・販売
URL : http://www.usci.co.jp/
掲載誌:PEDIATRICS INTERNATIONAL
論文タイトル:Diaphragm pacing for congenital central hypoventilation syndrome: A novel case of pacing implanted into the diaphragm
筆頭著者:東京女子医科大学東医療センター(現 東京女子医科大学附属足立医療センター) 新生児科 山田 洋輔 医師
掲載URL:https://doi.org/10.1111/ped.14915
【発表概要】
・重度のCCHSでは、睡眠時だけではなく覚醒時にも低換気が起こることが知られており、肺性心や肺高血圧の進行を抑制するために、機械的陽圧換気(人工呼吸器)が必要となる。人工呼吸器は本体だけではなく付属品も必要となり、外出時や日中屋内での活動時の管理が容易ではない。
・横隔膜ペーシングは、CCHSに対する呼吸療法の一つである。人工呼吸器よりも小さく持ち運びが便利なため、覚醒時の換気が容易となる。横隔膜に植込むタイプ(DP-ID)と、横隔神経に植込むタイプ(DP-IP)があり、本発表は、DP-IDを使用した国内初の症例報告である。
・今回の患者様は、術後19日で12時間のDP-ID連続使用が可能となった。DP-ID使用前と比較すると、覚醒時の動脈血酸素飽和度(SpO2)と経皮二酸化炭素分圧(TcPco2)が改善され、肺高血圧も改善された。今後は、ペーシング時間を延長し、夜間の人工呼吸器の離脱を試みる。
・DP-IPは、術後にペーシングを開始するまでに数週間、機器の設定やペーシング時間を調整する(コンディショニング)までに数カ月を要す。また、腹部に大きな外部アンテナを2枚貼り付ける必要がある。一方、DP-IDは、数週間以内にコンディショニングが完了し、小さな体外式の刺激発生器1台で管理ができる。
・今回の症例は、DP-IDが、覚醒時低換気の改善だけではなく、生活の質を向上させ、CCHS患者の新たな選択肢になる可能性を示唆している。
■先天性中枢性低換気症候群(CCHS)
呼吸中枢の先天的な障害により、主に睡眠時に、重症例では覚醒時にも低換気を認める疾患である。呼吸中枢の化学性調節異常があり、高CO2血症や低O2血症に対する換気応答が障害され、呼吸苦のない重篤な低換気が生じると考えられている。現在、呼吸中枢に対する有効な治療はなく、生涯にわたる人工呼吸管理が必要である。疫学上、約1/10-20万の頻度で出生すると想定されており、国内で約150例程となっている。診断においては、遺伝子学的診断でPHOX2B遺伝子変異(自律神経系の分化発達に関与)を確認することで確定診断される。東京女子医科大学附属足立医療センターは、国内随一の臨床経験があり、CCHS呼吸ドッグという呼吸状態を包括的に評価し呼吸管理を決定するプログラムを行っている。
東京女子医科大学附属足立医療センター「CCHS呼吸ドッグ」
https://twmu-mce.jp/mce/NICU/CCHS_DOCK.pdf
■横隔膜ペーシングシステム「NeuRx」
現在国内で横隔膜ペーシング治療への使用において、承認を受けている製品は唯一NeuRxのみとなっております。本品は「横隔神経の電気刺激により横隔膜の収縮が可能な、人工呼吸器に依存する(1)脊髄損傷、(2)中枢性低換気症候群」の患者様が適用の対象となります。横隔膜に植込まれた電極に電気刺激が送られて、横隔膜が収縮することで呼吸補助を行います。電極の植込み手術は、腹腔鏡下にて2時間程度の所要時間で、比較的低侵襲に行うことが可能です。電極は横隔膜に左右2本ずつ植込まれ、体外式のペースメーカーにより電気信号が送られます。
術後にコンディショニングと呼ばれる横隔膜ペーシングの設定調整や使用時間を徐々に延長することで、在宅での管理が可能となります。本品を使用している間は、人工呼吸器を一時的に離脱することが可能となり、患者様のQOLが大幅に改善されることが期待されます。
体外式のペースメーカーは、小型で携帯性に優れており(重さ:約250g、サイズ:8cm×13.7cm×3.4cm)、外出も容易となります。駆動には市販の単2サイズのアルカリ乾電池やリチウム乾電池が用いられることから、生命維持装置として課題の一つである災害時の電源確保といった点においても容易に対応が可能です。NeuRxは、モータ等の駆動がないことから、これまで人工呼吸器の音が気になっていたような場面でも周囲を気にすることなく使用することができます。また、介護者様にとっても吸引回数が減るなど、人工呼吸器と比較してケアの負担軽減が期待される機器であります。
今回、NeuRxは国内で初めて横隔膜ペーシング治療用の医療機器として薬事承認を取得し、保険収載されたことで、これまで人工呼吸器に頼らざるを得なかった脊髄損傷や中枢性低換気症候群の患者様の呼吸管理において、経済的負担も最小限に抑えながら、新たな治療の選択肢を提供することが可能となりました。
【会社概要】
会社名 : USCIジャパン株式会社
所在地 : 〒151-0053 東京都渋谷区代々木3-28-6
設立 : 1999年4月
事業内容: 医療機器の輸入・製造・販売
URL : http://www.usci.co.jp/
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