“ヨウ素”の短時間での各種ウイルスへの不活化効果を確認

小林製薬株式会社(本社:大阪市、社長:小林章浩)は、殺菌消毒成分"ヨウ素"に、短時間の作用で複数種のウイルス(インフルエンザウイルス、新型コロナウイルス他)を不活化※する効果があることを確認いたしました。本研究成果は、2021年9月8、9日に開催された「日本防菌防黴学会 第48回年次大会」での発表内容となります。(※試験管内の試験において、細胞への感染性を持つウイルスが99.9%以上減少すること)
【研究の概要】
今回の研究では、第三者試験機関(一般財団法人 日本繊維製品品質技術センター)で行われた in vitro 実験(試験管内の実験)において、ヨウ素、ポビドンヨード(以下PVP-I)、セチルピリジニウム塩化物水和物(以下CPC)、抗炎症成分であるアズレンスルホン酸ナトリウム(以下アズレン)の各水溶液(0.5%)を各種ウイルスに15秒間作用させたところ、ヨウ素水溶液には短時間で様々なウイルスを不活化できることが確認できました(図1)。
また、優れた殺菌消毒効果を有するヨウ素について、抗ウイルス効果の視覚的評価も実施しました。インフルエンザウイルスの場合、ヨウ素がエンベロープを変性させることで、ウイルスの感染性を失わせることが示唆されました。新型コロナウイルスの場合、感染させた宿主細胞におけるタイムラプス撮影と走査電子顕微鏡にて評価したところ、ヨウ素を作用させた場合には、新型コロナウイルスにより宿主細胞は変性せず、通常の生育が認められました(2021年7月2日のニュースリリースでも報告)。
弊社では、以前からヨウ素等殺菌消毒成分に関する基礎研究を続けております。今回の研究は、ウイルスに対する有効性の知見として、感染症対策研究の一助として社会に貢献できるものと考えております。

【ヨウ素とは?】
ヨウ素は殺菌消毒の医薬品として古くから使われてきた元素です。人体に使用でき、かつ強い殺菌力を持つため様々な種類の細菌やウイルスに対応できる成分です。人にとって必須元素ですが、多くとれば良いというわけではなく、過剰摂取した場合には甲状腺機能低下症などを発症するリスクがあります。日本では食生活の中で海藻などから自然にヨウ素の摂取が行われているため、積極的にヨウ素を摂取する必要はありません。


【研究の詳細】
⚫研究方法
各種ウイルスに対して、ヨウ素、ポビドンヨード、セチルピリジニウム塩化物水和物、アズレンスルホン酸ナトリウムそれぞれの0.5%水溶液を15秒間作用させ、その抗ウイルス効果を評価しました。
評価したウイルスはA型インフルエンザウイルス(H3N2)ATCC VR-1679株およびA型インフルエンザウイルス(H1N1)VR-1736株、猫伝染性腹膜炎(ネココロナ)ウイルスATCC VR-2127株、RSウイルスATCC VR-26株、アデノウイルス ATCC VR-5株、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2) JPN/TY/WK-521株です。
インフルエンザウイルス(H3N2)は透過電子顕微鏡にて、新型コロナウイルスは感染させた宿主細胞におけるタイムラプス撮影と走査電子顕微鏡にて、ヨウ素添加による影響を形態学的に評価しました。

⚫試験委託先:一般財団法人 日本繊維製品品質技術センター
⚫研究結果:
1.ヨウ素水溶液では、15秒という短時間の作用で多くのウイルス種に対し99.9%以上の不活化効果が認められました。
2.PVP-I水溶液では、ウイルス種によって効果差はあるものの、概ね99%以上の不活化効果が認められました
3.CPCおよびアズレン水溶液では、不活化効果を示すウイルス種も一部認められましたが、ヨウ素やPVP-Iと比べて効果は低いことがわかりました。
4.ヨウ素添加により、インフルエンザウイルスではエンベロープの形態変化が認められました(図2)。
5.ヨウ素添加により、新型コロナウイルスの宿主細胞で細胞変性効果は認められませんでした(図3、4)。



【用語解説】
●新型コロナウイルス
ニドウイルス目コロナウイルス科コロナウイルス亜科ベータコロナウイルスに分類されるウイルス。コロナウイルス科のウイルスは、表面にエンベロープという膜構造を有しており、このエンベロープ膜を壊すことで不活化できる。
●ヨウ素
元素記号「I」。酸化力により細胞膜などの膜構造を破壊することで殺菌・抗ウイルス作用を示すとされる。
●宿主細胞
ウイルスが感染し、自らを増殖させるための細胞のこと。
●タイムラプス動画
タイムラプスは「時間(time)」「経過(lapse)」という意味で、専門的には低速度撮影や微速度撮影と呼ばれる撮影技法のこと。通常では見えにくい、ゆっくりとした動きを早めて見せることができる。

以上



 
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