海洋プラスチック汚染の主原因である廃漁網の繊維リサイクル事業へ参入
1.背景
世界では毎年60万トン以上の廃漁網や漁具が、正しく処理されずに海に流出することで、海洋プラスチック汚染の主要因となっています。これは、近年注目されているレジ袋などの使い捨てプラスチックと同様に生態系に深刻な問題をもたらしますが、社会的にはあまり認知されていないのが現状です。廃漁網は質の高いナイロン製の単一素材であることから、再生ナイロン資源として有力である一方で、国内では産業廃棄物として処理されることが一般的であり、大規模かつ持続的に回収からリサイクルまで行えるプロセスはまだ確立されていません。このような中、豊田通商は、繊維・ファッション領域のサーキュラーエコノミー推進プロジェクト「PATCHWORKS™」※の取り組みを推進してきました。この一環として、南米を中心に地域社会に貢献する方法で廃漁網の回収・選別を行い、世界唯一の廃漁網100%再生ナイロン素材ブランド「NetPlus(ネットプラス)」を保有・運営し、豊田通商が出資しているブレオ社(BUREO,INC.:米国)と共に、廃漁網リサイクル事業へ参入しました。
2.取り組みの概要
豊田通商は、ブレオ社が主に南米で行っている廃漁網回収スキームを他の地域・国にも広げるため、日本では現地
企業や漁業関係者と協働し、2023年7月から千葉県外房エリアにて廃漁網のテスト回収を開始しました。回収された漁網はブレオ社のノウハウにより、厳格なトレーサビリティ管理のもと国内で洗浄・選別後、海外でリサイクルされ、質の高い「NetPlus」ブランドの100%再生ナイロン素材に生まれ変わります。今後は、ブレオ社との協業を通じて、廃漁網の回収・選別拠点を国内外で広げ、「NetPlus」を安定供給できる調達体制を構築していきます。また、「NetPlus」を将来的にはアパレルメーカー向けに加え、産業資材向けなどの高品位な繊維原料としての販売拡大を目指します。同時に、廃漁網回収事業を通じて得られた収益の一部を地域社会へ還元する地域創生プログラムの開発運営も、ブレオ社と共に、各地のパートナーと協業しながら進めていきます。
豊田通商は、繊維・ファッション領域のサーキュラーエコノミー推進プロジェクト「PATCHWORKS™」の取り組みを通じて、廃棄される全ての衣料品が、再び衣料品として生まれ変わる機会と未来を創っていきます。
※PATCHWORKS™:
豊田通商が2023年4月1日より開始した、繊維・ファッション領域で、パートナーと共にサーキュラーエコノミーシステム構築に取り組む共創型のビジネスプロジェクト。
日本での回収作業 回収された漁網
リサイクル作業の様子 NetPlus製の生地・衣服
ブレオ社概要
会社名 | Bureo Inc. |
所在地 | Ventura, California, USA |
設立 | 2013年 |
代表者名 | David M. Stover(CEO)、Kevin Ahearn(CTO)、Ben Kneppers(COO) |
株主 | 創業者3名、Tin Shed Ventures、豊田通商、Sustainable Ocean Fund、 Ocean 14 Capital、 Conservation International Ventures |
事業内容 | 廃棄漁網回収・加工・販売、NetPlusブランド事業、地域創生プログラム運営、など |
<当社のこれまでの取り組み>
2023年3月28日
繊維・ファッション領域のサーキュラーエコノミー推進プロジェクト「PATCHWORKS™」本格始動
“https://www.toyota-tsusho.com/press/detail/230328_006211.html”
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