内外・半外部に交流を生み出す「Hirooka Terrace」が竣工・開業
「産官学金」による、これからの地域の協創拠点の創出へ

北國銀行を傘下に持つ株式会社CCIグループ(石川県金沢市、代表取締役社長:杖村 修司)と株式会社三菱地所設計(東京都千代⽥区、代表取締役社⻑:谷澤 淳一)は、北陸エリアにおける新たな交流・協創・革新を生み出す拠点「Hirooka Terrace(ヒロオカ テラス)」(石川県金沢市)が2025年7月末に竣工し、9月8日に開業を迎えましたことをお知らせいたします。
「地域から世界をよりよいものにする。」「未来を構想し、挑戦・創造する『ビジョナリーリージョン』を実現する」べく、10月1日に社名変更を行ったCCIグループ(旧称:北國フィナンシャルホールディングス)が計画を推進、三菱地所設計による設計監理のもと竣工した本施設は、CCIグループの拠点である「北國銀行本店ビル」(2014年竣工、設計:三菱地所設計)に隣接しています。
本施設は、両棟で連携を図りながら、金融機関をハブとして地元企業・官公庁・教育研究機関をつなぎあわせる場として機能し、地域づくりの取り組みに加え、首都圏や海外への展開・情報発信を強化する拠点となります。
本リリースでは、この新たな施設の全容をご紹介いたします。
■ これからの地域社会が求める《プロトタイプ建築》を示す「Hirooka Terrace」
今日、人びとが集まり、つながる場として、オフィス/オフィスビルに求められる役割は大きな変化を迎えています。Hirooka Terraceでは、働く場所の開放性と流動性を高め、協創拠点として、多様な利用者が交差し、新たな革新を生み出すワークプレイスの構築を目指すとともに、これを内部にとどめず、外部の自然を感じられる環境として実現することが新たな可能性になると考えました。
金沢の気候と呼応し、内外・半外部の共用空間を積極的に取り入れた、本地域で初となる各種の取り組みを紹介します。


① テナント〈共用〉のテラスで、内外に交流・協創の場を展開
Hirooka Terraceでは、一般的なオフィスビルに見られる「広い専有部と狭い共用部」「内部廊下からアクセスする共用部」という構成を抜本的に見直し、「大らかな共用部」を「建物の内部と外部に」つくり出すことで、交流・協創の場づくりというテーマを建物全体に表出させています。
オフィス北面(けやき大通り側)に配置されたテラスは、水平方向に加えて階段や吹き抜けを介して上下方向にも連続。テナントごとの専有区画とせず、全テナントが自由に活用できる大らかな共用空間です。一般的なオフィスビルでは、テナント同士の出会いや交流は内部廊下でのみ生じることとなりますが、本建物では、この半外部のテラスによって窓の外側の空間も「表」とし、建物内外で賑わいを生み出す構成としています。


② 「北國銀行本店ビル」との接続で新たな価値・協創の場を生み出す
金融機関の本店は、外部に対して「閉じた」設えとされることが一般的ですが、本建物では隣接する「北國銀行本店ビル」(2014年竣工、設計監理:三菱地所設計)の3、4階とブリッジで接続し、「北國銀行本店ビル」の食堂やホールなどの諸機能を共有できる構成としています。
これにより、CCIグループとテナントの垣根を越えた往来が生まれ、地域との交流が一層広がることが期待されます。同時に、必要な機能を共有することで、合理的な建築計画が可能になり、内外・半外部の共用部=テラスなどの交流空間を実現することができました。



③ 「産官学+『金』」連携プラットフォームの拠点として
こうした大らかな交流・協創の場に加えて、本建物の13階には、テナントだけでなく、地域の大学・高校を取り込んだ「産官学金ラボ」を設け、金融機関と企業・官公庁・教育研究機関の積極的な連携を強化します。
金沢駅至近に立地する高いメリットを活かして、多様な人びとの距離感を解消し、共同研究の相談や技術セミナー、採用や起業サポートのほか、社会人が再び大学と接点を持つことで、PBL(Project Based Learning、課題解決型学習:学習者自らが課題を発見・解決する教育手法)や実務連携教育、インターンシップ、リスキリングなど、幅広いマッチングと人材循環を促進する、新たな地域の拠点として機能します。

■ サステイナビリティの推進に取り組む
本建物は、地域とともに歩む建築の実現を目指し、サステイナビリティの推進にも幅広く取り組んでいます。
① 過去最大規模の「MIデッキ」を導入し、石川県産木材を潤沢に利用
本建物では、三菱地所など7社※が設⽴したMEC Industry株式会社(本社:⿅児島県姶良郡湧⽔町)が開発した配筋付型枠製材「MIデッキ」を導入しています。今回の導入は、MIデッキを採用したプロジェクトとして過去最大規模となります(県産材スギ:39.29㎥、南九州産材スギ:95.87㎥)。天井以外にも⽯川県産のヒバ(2、3階外装)やスギ端材(家具やアート)を積極的に用いることで、木質建築普及とカーボンニュートラル推進に加え、能登半島地震で被害を受けた県内木材産業の復興支援にもつなげています。
※MEC Industry株式会社:三菱地所株式会社、株式会社⽵中⼯務店、⼤豊建設株式会社、松尾建設株式会社、南国殖産株式会社、ケンテック株式会社、⼭佐⽊材株式会社が2020年に設⽴した総合⽊材会社。⽊を⽤いた建材の原料仕⼊れ・製造から加⼯・販売までを⼀気通貫で⾏います。三菱地所設計は、三菱地所グループの⼀員として、同社への技術⽀援を積極的に実施しています。


② 延床面積20,000㎡を超える高層オフィスビルで《初》となるNearly ZEB認証の取得
特徴的な外観を生み出す半外部のテラスは、内部への日射の直達を遮蔽し、Low-Eガラスとの組み合わせにより、空調負荷を大幅に削減しました。また、テラスには利用者の手で開閉が可能なジャロジー窓を設置し、風通しの良い空間をつくりながら、事務室の自然換気を促すパッシブデザインを行っています。
こうした建築計画に加えて、地下水を用いた熱源システムをはじめとする高効率設備を導入することで、徹底した省エネ化を図り、建築物省エネ法に基づく第三者認証制度である「BELS」の最高評価(ファイブスター)ならびに「Nearly ZEB」を取得しました。これは、建築物の一次エネルギー消費量を75%以下まで削減した建物に与えられるもので、本建物の高い環境性能を実証するものとなります。

■ 建築概要

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建物名称 |
Hirooka Terrace(ヒロオカ テラス) |
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所在地 |
石川県金沢市広岡2丁目12番6号 |
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用途 |
事務所、自動車車庫、駐輪場 |
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建築主 |
株式会社北國銀行 |
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設計監理 |
株式会社三菱地所設計 |
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施工 |
清水建設株式会社(建築)、米沢電気工事株式会社(電気)、第一電機工業株式会社(電気)、株式会社柿本商会(空調・衛生)、北菱電興株式会社(昇降機) |
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敷地面積 |
7,937.42 ㎡ |
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建築面積 |
2,940.88 ㎡ |
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延床面積 |
21,446.68 ㎡ |
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階数 |
地上13階(塔屋1階) |
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構造形式 |
地下:RC造 地上:S造(一部CFT造) |
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竣工 |
2025年7月 |
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取得認証 |
BELS認証ファイブスター Nearly ZEB |


本建物の工事と並行し、北國フィナンシャルホールディングスからCCIグループへの組織改編に対応する「北國銀行本店ビル」のリノベーションを実施。オープンなオフィス環境を整備し、風通しの良い組織文化を空間として体現しました。2つの建物の接続によって、従来、銀行機能で完結していた本店機能に、地域と連携するコミュニケーション機能が新たに加わり、「次世代版地域総合会社」に相応しい設えが完成しました。
(左撮影:共同航空エージェンシー/小坂隆志、右撮影:SCARAMANGA/辻野実)
■企業プロフィール

建築主:
北國銀行は1943年に設立以来、地域の皆さまに愛される銀行を目指して活動しています。従来型の銀行経営から脱却し、デジタル・ITも駆使したお客さまとのコミュニケーションを進め、コンサルティング会社や投資会社などCCIグループ企業とのコラボレーションにより多様なお客さまのニーズに対応し、新たなイノベーション創出に向けて取り組んでいます。

設計監理:
1890年の創業以来、東京都千代田区丸の内に拠点を構え、都市計画から建築設計、企画・コンサルティング、リノベーション、コンストラクションマネジメントなど、拡張する活動領域に130年を超える技術の蓄積やネットワークで向き合う、日本で最も歴史ある組織設計事務所です。東アジア・東南アジア全般にて、多様な業務を展開しています。
■ 関連施設のご案内

北國銀行本店ビル(竣工:2014年) 設計:三菱地所設計
「Hirooka Terrace」に隣接して建つ北國銀行本店ビル。金沢の歴史や風土を継承し、地域に親しまれる「まちの広間」を目指し、北陸の自然環境を踏まえた採光・換気や井戸水の積極的な利用により熱負荷の低減を図りました。県産のスギを用いたインテリアや輪島塗のベンチ、二俣和紙を用いたサインなど「地産地消」にこだわり、地域の素材を身近に感じられる建物となっています。2016年に、第27回北陸建築文化賞作品賞を受賞しました。「Hirooka Terrace」竣工後も、一体的な利用を可能とするリノベーションが行われています。
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