建築学生 VS 有名建築家の熱いバトル!「木の家設計グランプリ2019」受賞者決定!

日本の伝統、木造住宅の技術を絶やさないためにーー地方の工務店が立ち上がり、今年で開催6回目を迎えた。

建築を学ぶ現役学生が参加する「木の家設計グランプリ」が、9月21日(土)京都造形芸術大学にて開催。6回目となった今年は、全国から326組が応募。日本建築界をリードする5名の審査員により、優秀作品が選ばれた。

 

【建築を志す学生と、日本を代表する建築家との熱いバトル】

「木の家設計グランプリ」は、全国の学生を対象に開催される『木造住宅』限定の設計コンテスト。今年で6回目を迎える今回は、全国から326組の応募があり、当日は早朝から、学生が準備に集まった。

 

【時流にそったテーマで、学生が設計】

 その年の審査委員長がテーマを決め、学生がそのテーマに沿った模型や設計プランを作成する。一次審査では会場に作品が並べられ、そこから上位10組が選出。その後の公開プレゼンテーションで、金賞、銀賞、銅賞、U20(20才以下の学生)賞、審査員長特別賞、ほか各賞が決定する。参加は個人でもグループでも応募可。

今年の課題テーマは「小さな家。少ない家」。今年の審査委員長は、建築家 堀部 安嗣(ほりべ やすし)氏が務めた。

写真一番手前が審査委員長 堀部安嗣氏写真一番手前が審査委員長 堀部安嗣氏

 

堀部氏は、神奈川県横浜市出身。堀部安嗣建築設計事務所で建築家として活動しながら、京都造形芸術大学大学院教授を務める。2016年には「竹林寺納骨堂」で日本建築学会賞を受賞し、常に注目される建築家だ。

 

 審査員は他にも、竹原義二氏(無有建築工房 )、松岡拓公雄氏(アーキテクトシップ)、横内敏人氏(横内敏人建築設計事務所)、堀 啓二氏(株式会社 山本堀アーキテクツ)と建築業界では名の知れた顔ぶれ。学生に木造住宅の魅力を知ってもらい、日本の住環境をより良くしたいという思いで集まった。

写真左から、松岡拓公雄、竹原義二、堀部安嗣、堀啓二、横内敏人(敬称略)写真左から、松岡拓公雄、竹原義二、堀部安嗣、堀啓二、横内敏人(敬称略)

【建築家の声を直接聞くことができる審査】


一次審査では、学生が自分の作品の前に立ち審査員を待つ。審査員は会場をくまなく回り、学生と直接対話のなか審査が行われた。審査員は学生に質問したり、その場でもアドバイスを行う。参加した学生は「憧れの建築家に自分の作品を見てもらえて興奮した」と話す。

 

一次審査で、学生に講評する審査員一次審査で、学生に講評する審査員

一次審査で選ばれた10作品が、最終プレゼンテーションに臨む。一組につき持ち時間5分。その際の審査員と学生とのやりとりが毎年見ものだ。学生と審査員が互いにヒートアップする場面もあり、会場を沸かせる。会場には学生のほか、建築関係者以外に一般観覧者も訪れる。

 

一般的に、審査は非公開で行われることが多いが、このコンペは目の前で審査が進むのが大きな特徴。自分の作品へ票が入ったり抜かれたりするのを、学生は固唾をのんで見守る。

どのような理由でどの作品が選ばれたのか、ダイレクトに見聞きできることが、参加した学生にとっては大きなメリットとも言えるだろう。

2019年度 最優秀となる金賞、そして20才以下に贈られるアンダー20賞のダブル受賞を果たしたのは、中池琳矢さん(鹿児島工学院専門学校1年生)。タイトル『茶畑にかけられた大きな屋根の小さな住宅〜大きな屋根が紬ぐ暮らし〜』という作品。


「10選にも選ばれると思っておらず、とても感謝しています。憧れの建築家に審査して頂くのはとても緊張しましたが、作品の思いを伝えることができ良い経験になりました。来年のコンペや将来の就職活動に生かしたいです」。と喜びを語った。

ダブル受賞に輝いた中池さん(左)。高校で建築を学び、専門学校1年目。院生をおさえての受賞となったダブル受賞に輝いた中池さん(左)。高校で建築を学び、専門学校1年目。院生をおさえての受賞となった

金賞・アンダー20賞の作品。彼の生まれ故郷の体験をもとにつくられた作品。金賞・アンダー20賞の作品。彼の生まれ故郷の体験をもとにつくられた作品。

 

上位10組に選ばれた学生と審査員上位10組に選ばれた学生と審査員

【主催は地滋賀県の工務店。全国の地方工務店が協賛】

この大会を主催するのは、滋賀県の「株式会社 木の家専門店 谷口工務店」。代表を務める谷口弘和(たにぐち ひろかず)氏は、元・大手ハウスメーカーの大工。現在47才。

主催の谷口弘和氏。22才の時に大手ハウスメーカーの大工を退職し起業。大工職人の内製化に取り組み、大学卒の大工を育てる。主催の谷口弘和氏。22才の時に大手ハウスメーカーの大工を退職し起業。大工職人の内製化に取り組み、大学卒の大工を育てる。

「住宅は、その土地の気候風土に応じてつくるのが理にかなっている。それを実現できるのは地域工務店。日本文化である木造住宅を未来へ残し、若い人材が地域で活躍できる社会をつくたい思いからこの大会を始めた」と語る。

谷口氏の想い共感した工務店や建築企業30社が協賛を申し出た。協賛費用は運営のほか、遠方から来る学生の交通費に充てられる。


グランプリ終了後は、学生や審査員、協賛工務店を交えた食事会が開催。他校の学生同士も食事をしながら、建築や将来の話で盛り上がった。

 

「このような食事会があると、他校の学生と交流しやすいので楽しかった」「工務店の人の話を初めて聞いてイメージが変わった。将来の選択肢として考えたい」と学生たちは話す。


審査委員長の堀部氏は、「現実をしっかり見つめて建築をリアライズする役割が必ずどこかにある。みんなで補完し合い、多くの個性が芽生えて役割を認識して、いい建築をつくっていく仲間になっていく。そういうことを意識してもらえたら嬉しい」。

来年2020年も秋に開催予定。素晴らしい作品に出会えることを期待したい。

 

 

【木の家設計グランプリ2019 受賞者】

 

金賞・アンダー20賞
『茶畑にかけられた大きな屋根の小さな住宅〜大きな屋根が紬ぐ暮らし〜』
中池琳矢[鹿児島工学院専門学校]

銀賞
『ながら暮らしの家 ファストライフとスローライフの横断』
粟田美樹[大阪市立大学大学院]・井上雅也[神戸芸術工科大学大学院]

銅賞
『マキ・マチヤ 小さき住戸「町家」、その第五世代としての提案』
三島みらの[金沢工業大学大学院]

優秀賞
『家纏いの家』
石川雄大・大滝拓人・仲間剣[工学院大学大学院]

『「ウチ」の少ない家』
松島佑宜・伴誠太[金沢工業大学]

『染まる家 -変化量の少ない箱と等価な小さな部屋たち-』
田代大賀[秋田県立大学大学院]

『ツクリ/ツムグ イエ -郊外地域における小さな地域社会圏の提案-』
皆戸中秀典[愛知工業大学]

『かざぐるまの家』
中野雄介・熊本崇人[大阪市立大学大学院]

『うつりぎの家』
畑野晃平・安藤雅人[芝浦工業大学大学院]

『補綴的家』
木下喬介[東京理科大学大学院]

審査員長特別賞
『家纏いの家』
石川雄大・大滝拓人・仲間剣[工学院大学大学院]

 

 

【木の家設計グランプリHP】 http://www.dentoumirai.jp/

 

主催者
【社名】株式会社 木の家専門店 谷口工務店
【所在地】滋賀県蒲生郡竜王町山之上3409
【連絡先】0748-43-1128

【HP】https://taniguchi-koumuten.jp/
【MAIL】ksg@taniguchi-koumuten.jp

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会社概要

URL
https://taniguchi-koumuten.jp/
業種
建設業
本社所在地
滋賀県蒲生郡竜王町山之上3409
電話番号
0748-57-1990
代表者名
谷口弘和
上場
未上場
資本金
900万円
設立
2011年07月