第18回 シヤチハタ・ニュープロダクト・デザイン・コンペティション これとあれ、こことあそこ、わたしとあなた。これまでにない、『つながるしるし』をテーマにしたアイデアが国内外から大集結!
応募作品歴代最多1,681作品より、受賞作品9点が決定!中村勇吾氏、原研哉氏、深澤直人氏、三澤遥氏、大西麻貴氏の豪華審査員を迎えて開催!
一般社団法人未来ものづくり振興会(所在地:愛知県名古屋市 代表理事:舟橋正剛)は、新しいプロダクトのデザインを募る「18th SHACHIHATA New Product Design Competition (シヤチハタ・ニュープロダクト・デザイン・コンペティション)」において2025年10月10日(金)に表彰式を行い、受賞作品9点を発表しました。
今年で18回目を迎える本コンペでは、歴代最多となる1681件の提案が寄せられました。中村勇吾氏、原研哉氏、深澤直人氏、三澤遥氏の4名の審査員、ゲスト審査員として建築家の大西麻貴氏および特別審査員 舟橋正剛の計6名によって厳正な審査を実施し、9点を受賞作品として決定しました。
今回のテーマは「つながるしるし」です。これとあれ、こことあそこ、わたしとあなた。思いがけないタッチポイントが新たな創造の原点となることに注目し、これまでにない「つながり」を生み出す「しるし」の作品を募集しました。回を重ねるごとに「しるし」が持つ可能性は広がり続けていますが、今回は「誰かと一緒に」使いたくなる、「つながり」によって可視化された温かみのある価値に気づかされる提案が多く集まったコンペとなりました。
受賞作品一覧
グランプリ 1作品(賞金300万円)
「ライン印」 (品田聡)
準グランプリ 2作品(賞金50万円)
「hitohira」 (畠中正太郎)「どすこい!シート」 (千勝美南、中嶋琴子)
審査員賞 5作品(賞金20万円)
中村賞「気配灯」(北島鮎、鹿島理佳子)
原賞「苗字かるた」 (マシモモモコ)
深澤賞 「Pum!」(濱口真里)
三澤賞 「ハンコドリ」 (徳山洋)
大西賞 「笛印鑑」 (松村佳宙)
特別審査員賞 1作品(賞金20万円)
「YA.JIRUSHI→」 (松尾清晴)

第18回シヤチハタ・ニュープロダクト・デザイン・コンペティションについて
今年で18回目を迎えるシヤチハタ・ニュープロダクト・デザイン・コンペティション(SNDC)には、過去最多となる1,681件の提案が寄せられました。今回のテーマは「つながるしるし」です。つながりが溢れる現代において、あらためて「つながり」とは何かを考え抜いた多様な提案が集まり、審査も盛り上がるものとなりました。毎回新しい形のしるしが登場するSNDCですが、今回も「しるし」の概念を押し広げるような力のこもったアイデアに数多く出会うことができました。さらにここ数年、一次審査通過後に提出いただくモックアップの表現力が増し、今回の審査でも身体的な心地よさや驚きをともなう、リアリティのある作品に注目が集まりました。伸びやかな視点でテーマを見つめ、誰も想像しなかった新しいしるしの形をご提案くださった方々に、こころよりお礼申し上げます。
審査員 コメント

中村勇吾 Yugo Nakamura
インターフェースデザイナー/tha ltd. 代表
ウェブサイトや映像のアートディレクション、デザイン、プログラミングの分野で横断/縦断的に活動を続けている。主な仕事に、ユニクロの一連のウェブディレクション、KDDIスマートフォン端末「INFOBAR」の UIデザイン、 NHK Eテレ「デザインあ」のディレクションなど。
~審査コメント~
今回特に感じたのは、モックアップのレベルがどんどん上がってきているということです。ハンコなら押せるし、アプリケーションならある程度動くといったふうに、しっかり使えるモックアップで力の入ったアピールをする人が増えたように感じます。一次審査でふわっと通った作品が実物を触ってみるとすごく魅力的に感じられたり、逆に面白いと思っていた作品の印象が落ちたりということもありました。でも全部にきらりと光るアイデアがあり、これは候補から外したくないと感じる作品の多い、レベルの高い年だったと思います。

原研哉 Kenya Hara
グラフィックデザイナー/日本デザインセンター 代表
デザインを社会に蓄えられた普遍的な知恵ととらえ、コミュニケーションを基軸とした多様なデザイン計画の立案と実践を行っている。無印良品、蔦屋書店、GINZA SIX、JAPAN HOUSE、らくらくスマートフォン、ピエール・エルメのパッケージなど活動の領域は多岐。
一連の活動によって国内外のデザイン賞を多数受賞。著書『デザインのデザイン』(岩波書店刊、サントリー学芸賞)『白』(中央公論新社刊)は多言語に翻訳されている。
~審査コメント~
難しいテーマだったと思いますが、最後に残った10作品くらいに関しては今年もレベルが高かったのではないかと思います。グランプリを決める時、製品として高い完成度でできた作品と、「つながる」や「しるす」ということを哲学的に考えアートのような水準でまとめた作品の二つが残ったのですが、その競い合いが面白かったです。最終的にテーマを棒一本で表現した、非常にシンボリックな作品が選ばれたのですが、シヤチハタの「しるしを押す」という行為を象徴するような、歴代の賞の中でも強い求心力を持つ作品だったのではないかと思います。

深澤直人 Naoto Fukasawa
プロダクトデザイナー/NAOTO FUKASAWA DESIGN 代表
人の想いを可視化する静かで力のあるデザインに定評があり、現在までに世界を代表する70社以上のブランドのデザインやコンサルティングを手がけている。デザインのみならず、その思想や表現などには国や領域を超えて高い評価を得ている。受賞歴多数。多摩美術大学副学長。日本民藝館館長。2022年に一般財団法人THE DESIGN SCIENCE FOUNDATIONを創設。
~審査コメント~
テーマへの意識よりも自分がやりたいことを高い精度で表現することに注力している人が多い印象がありました。特に受賞作品には作者自身の「これだ」という確信のようなものを感じました。また表現が的確で、アイデアと完成形の間に迷いがない点も印象的でした。その分、本コンペが今までに比べて、単なる思いつきではなく深い考えから出た良いアイデアがないと登って来られない場所になってきているとも感じています。毎年良いものが出て来るSNDCですが、今回も難しいテーマのもと、ハイレベルな作品が集まったと思います。

三澤遥 Haruka Misawa
デザイナー/日本デザインセンター 三澤デザイン研究室
2005年に武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科卒業後、デザインオフィスnendoを経て、2009年より日本デザインセンター原デザイン研究所に所属。2014年、三澤デザイン研究室として活動開始。ものごとの奥に潜む原理を観察し、そこから引き出した未知の可能性を視覚化する試みを、実験的なアプローチによって続けている。
~審査コメント~
今回選ばれたのは、朱肉やゴム印など従来のハンコと同じ要素を用いながらも、これまでとは異なる機能や性質、体験を提案した作品たちでした。グランプリの「ライン印」は、一度ではなく、複数回押すことで成立する性質に惹かれました。一本のラインが広げる創造性に魅力を感じます。一次審査には素晴らしい提案がたくさんあったのですが、モックアップの完成度で大きく差がついてしまっている印象がありました。最終審査で一次と違う作品に投票することも多く、最後はモノの力がすごく大事になると改めて実感した審査でもありました。
ゲスト審査員 コメント

大西麻貴 Maki Onishi
建築家/大西麻貴+百田有希/o+h 共同主宰
公共建築から住宅、福祉施設やまちづくりまで、さまざまなプロジェクトに取り組む。主な作品にシェ ルターインクルーシブプレイス コパル(2022年)、熊本地震震災ミュージアム KIOKU(2023年)、Good Job! Center KASHIBA(2016年)。主な受賞に2023年日本建築学会賞 作品賞ほか多数。横浜国立大学大学院 Y-GSA 教授。
~審査コメント~
初めて審査に参加したのですが、使い手の身体的、行動を促すような直感的な面白さと、物そのものの美しさ、意味を読みこんだ時にはっとさせられる驚きという三つが重なって提案の魅力が決まっていくのを感じられてとても面白かったです。シートで見た時と実物に触れた時とで印象が変わるものもあれば、こういう意味があったんだと気づかされるものもあり、しるしというシンプルなプロダクトの中に実現される、つながりの多様さに驚きました。グランプリに選ばれた作品も、つい色んな形で押してみたくなるような人を動かす力を感じる作品でした。
特別審査員 コメント

舟橋正剛 Masayoshi Funahashi
一般社団法人未来ものづくり振興会 代表理事
シヤチハタ株式会社 代表取締役社長
1992年 米国リンチバーグ大学経営大学院修士課程終了。広告代理店勤務を経て1997年 シヤチハタ工業株式会社(現シヤチハタ株式会社)入社。2006年 シヤチハタ株式会社代表取締役社長 就任。
~審査コメント~
この時代におけるさまざまな「つながり」の考え方が集まり、今後の事業展開や商品展開へのヒントをたくさんいただきました。今回はハンコの形をした作品がグランプリとなりましたが、審査ではテーマに対する意味の深さが議論され、意外とハンコ離れというのが進んでいるのではないかと感じます。私はこのコンペティションを、「しるし」にこだわりながら、「ハンコ」から離れた場にしていきたいと考えているのですが、それがだんだん見えてきた印象です。今後も、「しるし」というものには強くこだわっていきたいと考えています。
受賞作品
グランプリ


ライン印
品田 聡
Satoshi Shinata
シンプルな一本の短い線が押せるハンコです。線同士をつなげたり、模様のように組み合わせたり、手書きの文字や印刷物に線を添えたりできます。使い方次第でさまざまな表現ができるので、どんどん押して、どんどんつなげたくなる「しるし」の提案です。
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「普通はストロークで描く線を、ハンコとして『押す』というのはありそうでなかった体験です。みんなが見落としていた面白さを最小限の手さばきですくい上げているところにエレガントな良さを感じました」(中村)
「一本の線を押すという行為のシンプルさに名前や印鑑から離れたしるしの象徴性を感じました。黒く平たいプロポーションも綺麗です」(原) 「作者は線が多様な意味を持っていることに気づいている。例えば名前だったらそれ自体に意味があるけれど、線は押し方ひとつで対象をクロスアウトすることもハイライトすることもできる。そういう最小の表現で最大の意味の可能性を示しているところがすごいと思いました」(深澤) 「線でつなぐというのはテーマに対する一番ミニマムな回答で、見えにくいすぐ足元にあるものを拾われた感覚がありました」(三澤) 「実際に押してみたのですが色んな形で押してみたくなるような行動を促すデザインになっていて、今回の賞にふさわしいと思いました」(大西)
準グランプリ

hitohira
畠中 正太郎
Shotaro Hatakenaka
直線と曲線がつながり、連なり、文字は意味を宿す。ゆらゆらと舞う木の葉のように、アクリルの中に浮かぶ無数の線。散らばって見えるその断片も、上から覗けばひとつの名前を描き出します。線をつなぎ、言の葉を紡ぐ。そんな文字の美しさを再認識できるしるしです。
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「印鑑の黒い円柱のイメージを払拭すると同時に、真上から見ようとすることで名前の向きを間違えることなく押すことができるという機能も持たせた、素晴らしいデザインだと思います」(原)
「画数の多い名前と少ない名前では横から見た時の印象が変わるので、押す時はもちろん、物としての佇まいからも名前の量感のようなものが伝わってくる面白い作品だと思いました」(大西)
準グランプリ

どすこい!シート
千勝 美南 中嶋 琴子
Minami Chikatsu Kotoko Nakajima
チーム名:KO-MI
レジャーシートを広げれば、そこは土俵に!友だちと、家族と、たまたま公園にいた誰かと—「はっけよい、のこった!」のかけ声で、思いがけないPLAYが始まるかもしれません。ただの地面がしるしひとつで「人と人が身体を交わしてつながるステージ」になるのです。
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「人に行動を促すためのデザインを、サインデザインのようにパーマネントに刻むものではなく、持ち運べるメディアにしてどこにでも展開できるようにしたところにアイデアとしての可能性があると思います」(中村)
「遊びという要素に目が行ってしまいそうですが、本当にすごいのはしるしを『地面に押した』こと。シヤチハタのコンペとして、その発見に意味を感じました」(深澤)
【審査員賞】
中村賞
気配灯
元気で暮らしているか気になるけれど、毎日連絡を取り合うのはなんだかちがう。そんな人と、うっすらとした気配でつながり合う壁掛けの明かりです。明かりは対になっていて、一方の近くを通ると、もう一方がゆらめきます。離れて暮らす大切な人と、絶妙な距離感でつながるしるしの提案です。
北島鮎 鹿島理佳子
Ayu Kitajima Rikako Kashima
チーム名:鮎鹿
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「絶妙な距離感のあるつながりを、ぼんやりしたイメージだけで表現する手つきが理に適っていると感じました。インテリアとしてもちょうどいい存在感の出し方だと思います。あとモックアップが力作で、ちゃんと動くものを作り込んでいるところに気合いを感じました」(中村)

原賞
苗字かるた
全国にはユニークで興味深い苗字がたくさん!そんな日本の苗字を楽しく学べるカルタです。苗字を知ることは、自分のルーツをたどり、誰かとつながること。背景にある歴史や地名を知るなど、カルタを通して未知の苗字に触れれば、ふだん気に留めない「名前」が少し特別に見えてくるはず。
マシモモモコ
Mashimomomoko
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「裏面のつやつやした黒色や、白と赤のコントラスト、縁にくっついた文字の感じなど、まさにハンコと言いたくなるようなリアリティを上手くグラフィックに持ち込んでいます。しるしをしるしとして機能させるのではなく、ゲーム的なつながりにデザインしているところに着想のよさを感じます」(原)

深澤賞
Pum!
赤ちゃんのほっぺたのように柔らかいしるしです。肌に触れるようにやさしく押すと、手のひらのぬくもりで想いがじんわりと滲みます。送る人への「ありがとう」や「おめでとう」の気持ちを手のひらに込めて伝えることができる、柔らかなふれあいを介したしるしの提案です。
濱口真里
Mari Hamaguchi
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「赤ちゃんの、肌に触れることでつながり合える。手をにぎる、ほっぺに指で触れるといった、身体のつながりは実はすごく濃いもので、そういう直接的な接触につながりを見出してデザインしているところがすごいと思いました。ぺたっとした見た目にも、食べちゃいたいような魅力があります」(深澤)

三澤賞
ハンコドリ
人を表す「顔」のような存在である名前と、古くからヒトの生活のそばにいるトリの愛嬌のある姿を組み合わせることで、ハンコという道具がそばに置いておきたくなる愛玩物や民芸品のような存在に。トリをイメージしたボリュームのあるボディは、押印の際はグリップとしても機能します。
徳山 洋
Hiroshi Tokuyama
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「定位置に収納されているイメージがあるハンコですが、室内を自由に行き来する有様も素敵かもしれないと思いました。土台に傾いたハンコを貫通させて鳥を表現している点や印面が顔になっている点がユニークです。使うほど愛着が湧いていきそうな独特な存在感が忘れられません」(三澤)

大西賞
笛印鑑
印鑑と防災用のホイッスルを組み合わせたしるしです。普段はあなたを証明する印鑑として、いざという時は周囲にあなたの存在を知らせ、助けを呼ぶホイッスルとして機能します。目に見えるところに置いたり、持ち歩いたりすることで日常と安心をつなげ、時には命もつなぐ「しるし」の提案です。
松村 佳宙
Yoshihiro Matsumura
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「防災にまつわる仕事に関わることが多いのですが、災害で家が壊れてしまった後、何とか取り出したいものとして実印を挙げる方が多いんです。そんな大切な存在である印鑑に、災害時に自分の居場所を知らせるのに必要なホイッスルを組み合わせているところに強い意味があると感じました」(大西)

特別審査員賞
YA.JIRUSHI→
重要なことを伝える時、矢印を使った経験は誰にでもあるはず。それはミスを防いだり、強調したり、認識を合わせたりと、誰かへわかりやすく想いを伝えるためです。YA.JIRUSHI→は、そんな矢印の先端をマスキングテープの端に印字することで、人から人へ思いをつなぐためのしるしです。
松尾 清晴
Kiyoharu Matsuo
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「矢印を使ったマーキングが必要な機会はたくさんあります。マスキングテープに自由に矢印を印字できるアイデアは世の中の需要にフィットしますし、我々が持っている技術の応用で作れるものでもあるので、商品としてとても可能性があると思いました」(舟橋)

第18回 シヤチハタ・ニュースプロダクト・デザイン・コンペティション 概要
■応募受付期間:2025年 4月1日(火)~ 5月30日(金) 12:00
■テーマ: 「つながるしるし」
「しるし」が持つ可能性を広げるプロダクトもしくは、仕組みをご提案ください。
なお、応募作品は未発表のオリジナル作品に限ります。
■参加資格:
・個人、グループ及び企業、団体。年齢、性別、職業、国籍不問
(ただし、日本語でのコミュニケーションが可能であること)。
・1次審査を通過した場合、2025年8月29日(金)までに、模型制作が可能であること。
※模型製作費として補助金1万円(税込)をお支払いいたします。
・入賞した場合、2025年10月10日(金)18時(予定)から東京都内で行われる表彰式に参加が可能なこと。
※1人または、1グループで複数作品の応募が可能です。複数作品を応募される場合は、必ず作品応募ごとに、エントリーをお願いします。
■賞:グランプリ1作品(賞金300万円)、準グランプリ2 作品(賞金50万円)、
審査員賞5作品(賞金20万円)、 特別審査員賞1作品(賞金20万円)
※全ての受賞作品が、商品化の対象となります。また、本コンペの公式サイトで公開されます。
■一次審査提出物:プレゼンシート(サイズ:A3、枚数:1枚、形式:PDF、容量:10MB以内)
■審査基準:1.テーマの理解力|2.新規性・革新性|3. 提案の実現性
■応募方法:公式サイト(https://sndc.design)よりご応募ください。
■表彰式:2025年10月10日(金) 18時から
■主催:一般社団法人未来ものづくり振興会
■特別協賛:シヤチハタ株式会社
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