《「訪日ムスリム旅行者のトイレ利用調査」結果公表》訪日ムスリム旅行者の82%が温水洗浄便座を「あれば必ず使う」と回答
~温水洗浄便座はムスリムの生活習慣のニーズに対応~
TOTO株式会社(本社:福岡県北九州市、社長:喜多村 円)は、このたび“訪日ムスリム旅行者”にターゲットを絞った「訪日ムスリム旅行者のトイレ利用調査」を実施しましたので、調査結果をお知らせ致します。
2010年時点でのイスラム教徒(ムスリム)の人口は世界人口の23%を占める16億人[※1]と、キリスト教の21.7億人[※1]に次ぐ規模であり、割合・人数ともに他の宗教に比べ大きな伸びが予想されています。ムスリムの旅行市場規模(国内・海外)は2015年時点で世界市場の11.2%(1510億ドル)[※1]を占めると推測されており、2021年には2430億ドル[※1]に拡大すると予想されています。
また、イスラム教には生活全般についての規範[※2]があるため、受入環境の整備を進めることも大切です。訪日ムスリム旅行者が増える中、ハラル食などが注目されていますが、「豚肉やアルコールを口にしてはならない」規範と同じように、「排泄後は排泄部位を水で洗わなければならない」という規範があります。
本調査では、日本ではまだ広く知られていないムスリムのトイレ利用の実態と、ムスリム対応ニーズが増加している観光地など、受け入れ側での水まわりにおけるムスリム配慮の方向性を探ります。
- 主な調査結果
ムスリムは排泄後に排泄部位を水で洗う規範があり、イスラム教圏の国では多くの人がトイレ個室内のハンドシャワーを使って洗っています。旅行中でも洗うことを我慢する人はおらず教義が厳格に守られており、その代用として温水洗浄便座が使用されているようです。
■95%が「温水洗浄便座の利用経験あり」、内82%が「あれば必ず使う」と回答
訪日ムスリム旅行者の内、95%が温水洗浄便座を利用したことがあり、82%が「あれば必ず使う」、13%が「たまに使う」と回答。認知度に至ってはほぼ全員(99%)でした。
■訪日中「今後好んで使いたい公共トイレ」と「今後二度と使いたくない公共トイレ」の
共通理由は、“清潔性”と“温水洗浄便座付き洋式トイレの有無”
訪日ムスリム旅行者が「今後好んで使いたい公共トイレ」として宿泊施設や公共交通機関が上位に入りました。その理由は“清潔性”と“温水洗浄便座付き洋式トイレ”でした。また、「今後二度と使いたくない公共トイレ」の理由も同じであることがわかりました。
■排泄後は99%が手洗いを実施。内89%は手洗い時に必ず石けんを使用する。
訪日ムスリム旅行者の99%は排泄後に必ず手洗いをしていることがわかりました。その内89%は石けんを使用して公共トイレの洗面台で手洗いを行っています。
[※1]首相官邸webサイト「政策会議」観光戦略実行推進タスクフォース「訪日ムスリム旅行者対応のためのアクション・プラン」(平成30年5月)より抜粋。
[※2]イスラム教には冠婚葬祭の教えや食事・礼拝の決まり等、生活全般についての規範があります。
- 調査概要
実施時期 2019年3月・8月
対象者条件 観光・出張目的で来日した訪日外国人(日本在住でない)
調査方法 都内観光地にて街頭対面アンケート調査
調査人数 138名(男性57名、女性81名)
出身国 19の国と地域(マレーシア、インドネシア、シンガポール、アラブ首長国連邦、トルコ、ブルネイ、クウェートなど。)
- Q1:自国では排泄のあと排泄部位をどうやってきれいにするのがあなたにとって一般的ですか?
あてはまるものをすべてお選びください。(複数回答)
イスラム教には排泄後に排泄部位を水で洗わなければいけないという規範があります。ムスリムは自国ではトイレ個室内に設置されているハンドシャワーを使って洗う習慣があり、約7割の人がハンドシャワーを使用しています。
- Q2:あなたは温水洗浄便座を使ったことがありますか?
訪日ムスリム旅行者の中で温水洗浄便座を「あれば必ず使う」と答えた方が82%にのぼり、「たまに使う」と答えた方も含めると95%が使ったことがあるという結果でした。
認知度に至っては99%とほぼ全員が温水洗浄便座を認知しており、ムスリムにとって温水洗浄便座が大きな意味を持つことがうかがえる結果となりました。
- Q3:日本の公共トイレでは排泄のあと排泄部位をどうやってきれいにしていますか?
あてはまるものをすべてお選びください。 (複数回答)
来日した際にはハンドシャワーの代用品として80%が温水洗浄便座を使用している実態が判明しました。また、温水洗浄便座が無い場合の為に「ペットボトル」を持ち歩く人など、ハンドシャワーの代用を各々の方法で実践していることがわかりました。一方、「洗うことを我慢する」人は0%でした。
[※3]「ウォシュレット」はTOTO株式会社の登録商標です
- Q4:訪日中使用した公共トイレの中で今後好んで使いたいトイレはどこですか?
また、今後二度と使いたくないトイレはどこですか?(単一回答)
- Q5:Q4でそれぞれ「今後好んで使いたい公共トイレ」と「今後二度と使いたくない公共トイレ」を
選んだ理由としてあてはまるものをすべてお選びください。(複数回答)
訪日ムスリム旅行者が訪日中に使ったことのある公共トイレの内「今後好んで使いたいトイレ」の1位は、宿泊施設(53%)で、2位は空港、鉄道駅、バスターミナルなどの公共交通機関(24%)でした。一方で「今後二度と使いたくないトイレ」の1位は公共交通機関(35%)で、2位は公園(15%)でした。公共交通機関については「今後好んで使いたいトイレ」「今後二度と使いたくないトイレ」の意見が二極化する結果となりました。
好まれる理由としては「清潔が保たれているから(67%)」「たいてい温水洗浄便座付洋式トイレがあるから(43%)」が挙げられ、使いたくない理由としては「清潔が保たれていないから(41%)」「温水洗浄便座がなかったから(29%)」が挙げられました。“清潔性”と“温水洗浄便座付き洋式トイレの有無”が「今後好んで使いたい公共トイレ」と「今後二度と使いたくない公共トイレ」、両方の共通の理由となっていることがわかります。
- Q6:公共トイレでの排泄後は洗面台で手を洗いますか?
- Q7:公共トイレの洗面台で手を洗うときに石けんを使いますか?
- Q8:日本には手洗いの水栓や石けんは自動式のものがあります。あなたが使いたいのはどちらですか?
訪日ムスリム旅行者は公共トイレでの排泄後、99%が手洗いを必ず行っていることがわかりました。(「絶対洗う(99%)」「ときどき洗う(1%)」「洗わない(0%)」)
日本人はトイレ後の手洗いで手を洗わない人が15.4%いるという調査[※4]もあることから、本調査ではほぼ全員が手洗いを行っていることを踏まえると、ムスリムの手洗いニーズの高さがうかがえます。
また、手洗い時の石けん使用については「必ず使う(89%)」「ときどき使う(11%)」という結果でそのうち「自動式のタイプを好む(63%)」人が多いことがわかりました。公共トイレの洗面台に自動水栓やソープディスペンサーを望んでいる訪日ムスリム旅行者の割合は比較的高いと言えます。
[※4]消費者庁「消費者の手洗い等に関する実態調査」(2015年)より。
- Q9: 「日本のトイレで困っていることを教えてください」(自由回答)
- 「すべてのトイレに温水洗浄便座がほしい。」 (インドネシア・女性)
- 「温水洗浄便座がないトイレがあり困る。」 (マレーシア・女性)
- 「冷たい水が嫌。すべてのトイレに温水洗浄便座がついてるわけではない。」(シンガポール・女性)
- 「温水洗浄便座がほしい。」(マレーシア・女性/インドネシア・女性)
- 「滞在二日目だが用を足すのにいちいちホテルに戻っている。水を使ってしっかりと洗いたいのに、その施設が見つからない。」(クウェート・女性)
- 「お尻を洗うお水がトイレ内にあると良い。洗面台まで何回か汲みに行かないとならない。」(インドネシア・女性)
- 「ハンドシャワーがあったら便利だと思った。」(インドネシア・女性)
- 「和式トイレが嫌だ。」(ブルネイ・女性)
<おわりに>
訪日ムスリム旅行者のトイレ利用実態を探るべく実施した本調査によって、日本ではまだ広く知られていないムスリムのトイレ習慣が明らかになりました。さらなる訪日外国人の増加に伴い、だれもが気持ち良く過ごしていただくためにも、トイレの環境整備は訪日外国人を受け入れる上での課題のひとつです。TOTOは誰にとっても使いやすいトイレで「おもてなし」ができるよう、きれいなトイレの普及に努めていきます。
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