内閣府認定事業「ドクターによる出前セミナー」開催レポート

子どものこころ専門医 山口有紗先生による 傷ついた子どものこころへの向き合い方と支援に関するセミナー

 小児医学・医療・保健の発展のため、小児医学研究者への研究助成や小児医学を志す医学生への奨学金給付を行う公益財団法人川野小児医学奨学財団(所在地:埼玉県川越市、理事長:川野幸夫/株式会社ヤオコー代表取締役会長)は、「ドクターによる出前セミナー」事業として、2023年7 月5 日に埼玉県朝霞エリアの養護教諭の研修会にて、「子どもの傷つきとともにあること-トラウマに気づき、声と力に光を当てる-」を実施いたしました。当日は約70名の養護教諭が参加され、学びの多い時間となりました。

  • 子どものこころの問題について

 昨今、子どもの心の問題の深刻化が懸念されています。虐待や家庭不和、いじめなど要因や背景はさまざまですが、不登校や自傷行為などいろいろなかたちで子どもたちはSOSを出しています。国立成育医療研究センターコロナ×こども本部によれば、10人に1人が自分を傷つけた経験があるといわれており、まさに子どもの心のケアは喫緊の課題といえます。

 子どもたちの心を支えるためには、子どもが日常的に通う学校、特に“養護教諭の役割”は大きいといえます。今回のセミナーは、実際に小中学校に勤務する養護教諭から「どのようにケアすればよいのか学びたい」というお声を多数いただき実施したものです。


  • セミナー実施内容

●実施日:2023年7月5日(水)

●テーマ:子どもの傷つきとともにあること-トラウマに気づき、声と力に光を当てる-


●講師プロフィール:子どもの虐待防止センター  山口有紗先生

高校を中退し大学入学資格検定に合格後、立命館大学国際関係学部を卒業、

山口大学医学部に編入し、医師免許取得。東京大学医学部附属病院小児科、

国立成育医療研究センターこころの診療部などを経て、現在は子どもの虐待

防止センターに所属し、地域の児童相談所や一時保護所での相談業務などを

行なっている。国立成育医療研究センターこころの診療部臨床研究員、こども

家庭庁有識者会議構成委員。ジョンズホプキンス大学公衆衛生学修士。


●講演の内容(一部)

なぜ子ども時代が大切か

乳児期の脳は1秒間で200万個のシナプスがつながるように、子どもの脳の発達は目覚ましいものがあります。そのような大切な時期のトラウマや逆境的体験は、神経発達や遺伝子の発現をはじめ、発達にさまざまな影響を及ぼし、その影響は大人になっても続きます。だからこそ、子ども時代につらい体験が予防され、癒され、ポジティブな体験を増やすことが必要なのです。


アタッチメント・トラウマ・発達の視点

困った子、手のかかる子、何をしてあげればよいか分からない子を、アタッチメント・トラウマ・発達の視点でみると、その子どもの行動の背景にあるものが見えてくることがあります。例えばトラウマ体験をした子どもは、自分の心身の安全を守るために、攻撃性が強くなったり、感情を出さなくなるなど困った行動が出てくることもあります。学校においては、養護教諭の皆さんが、子どもの行動の通訳となりえます。子どもの行動をアタッチメント・トラウマ・発達の視点から説明できるようになることで、子どもの本当の願いが見えやすくなったり、養護教諭のみなさんにとっても、受け取りや関わりがしやすくなるかもしれません。


子どもの力に注目する

レジリエンスとは「とてもつらいことがあっても、自分の内外のリソースを周囲と協力しながら利用して、自分の良い状態を保つ力」のことをいいます。個人が逆境を跳ね返す力ではありません。つまり、私たち大人ひとりひとりが、子どもにとってのレジリエンスになりえるのです。そのために、予測のできる生活リズムをつくったり、子どもの話を聴いて一緒に考えたりすることが大切です。


●養護教諭の声

保健室来室時における子どもとの会話や、その時の自分の対応について改めて考えさせられました。特に頻回来室の児童には、つい先入観を持って話してしまうことがあるので反省です。言葉だけが「声」ではない、とあったように、子どもたちを見つめ、その子が発する些細なサインに気づくことができるよう、日々精進していきたいです。


 当事業は、2019年度に財団設立30周年を記念し、内閣府の認定を受けてスタートしました。学校や保育園などで、日々、児童生徒のケガや病気のケアを行う養護教諭や看護師の方々が開催する研修会に対して、当財団が仲介役となり、小児科医を中心とした専門家を講師として派遣しています。講師料は当財団で負担するため、参加者は無償で受講できます。


●実績

・開催件数

2022年度 12件 / 2021年度 12件 / 2020年度  4件 / 2019年度  1件


・これまでの講師およびテーマ(一部)

遠見才希子 先生 筑波大学大学院社会精神保健学分野・産婦人科医 

「保育園ではじめる性教育」(2021年10月実施)


田中恭子 先生 国立成育医療研究センターこころの診療部 児童・思春期リエゾン診療科 診療部長 

「新型コロナウイルスと子どものストレスについて」(2022年2月実施)


渡邉英明先生 自治医科大学とちぎ子ども医療センター小児整形外科 学内教授

「養護教諭に知ってもらいたい保健室でのけがの処置」(2022年7月実施)

※講師の所属先および役職は実施日時点のもの


<財団概要>

  財団名: 公益財団法人川野小児医学奨学財団

  所在地: 〒350-1124 埼玉県川越市新宿町1-10-1

  理事長: 川野 幸夫(株式会社ヤオコー 代表取締役会長)

  事務局長: 川野 紘子

  設立: 1989年12月25日

  行政庁: 内閣府

  URL: https://kawanozaidan.or.jp/

  TEL: 049-247-1717

  Mail: info@kawanozaidan.or.jp

  事業内容: 研究助成/奨学金給付/小児医学川野賞/医学会助成

        小児医療施設支援/ドクターによる出前セミナー

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会社概要

URL
https://kawanozaidan.or.jp/
業種
財団法人・社団法人・宗教法人
本社所在地
埼玉県川越市新宿町 1-10-1
電話番号
049-247-1717
代表者名
川野幸夫
上場
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資本金
-
設立
1989年12月