仕事と介護の両立、85%が負担と回答!企業支援の実態と従業員が求める支援策

85.5%が介護のために仕事をセーブする必要性を実感、56.5%が介護離職を検討。"あるだけ"の制度を変えるには?

エフアンドエムネット株式会社(本社所在地:大阪府吹田市、代表取締役社長:上枝康弘)は、管理部門向けのビジネスメディア「労務SEARCH(労務サーチ)」にて、介護をしながら働いている人を対象に、仕事と介護の両立に関するアンケート調査をおこないました。

介護しながら働く人が回答!仕事と介護の両立に関するアンケート調査【2025年】

調査背景

 少子高齢化が急速に進む現代において「仕事と介護の両立」は、多くの働く人々にとって喫緊の課題となっています。親や配偶者の介護に直面し、働きながら介護を続けることに困難を感じている人は少なくありません。介護を理由とした離職(介護離職)は、個人のキャリアや経済状況に深刻な影響を与えるだけでなく、企業にとっても貴重な人材の損失となり、社会全体としても大きな課題です。

 このような背景を踏まえ、労務SEARCH編集部では、仕事と介護の両立に関する実態と意識を把握するため、介護をしながら働いている人を対象にアンケート調査を実施しました。本記事では、その調査結果を詳細に分析し、仕事と介護の両立における具体的な悩みや課題、企業に求められる支援策、そして介護離職を防ぐために社会全体で取り組むべきことについて深く考察していきます。

 これからも労務SEARCHでは、管理部門の悩みを解決できるようなアンケート調査を実施し、バックオフィス業務に役に立つ、価値のある情報を発信してまいります。

■■当調査の引用・転載に関するお願い■■

当調査のデータを引用・転載する場合には、必ず「出典:労務SEARCH(https://romsearch.officestation.jp/report/49761)」と表記いただきますようお願いいたします。

主な調査結果

・85%以上が仕事と介護の両立に「負担を感じる」

・85%以上が介護のために仕事をセーブする必要性を実感

・半数以上が介護離職を考えたことがある

・介護に関する社内制度を利用しづらい理由の第1位は「周囲に迷惑をかけると感じるから」

・最も企業に求める仕事と介護の両立支援策は「テレワーク」と「介護休暇の充実」

・従業員が求める介護支援に関する情報提供方法は「上司や人事担当者からの直接の説明」

・9割以上が40歳前後で仕事と介護の両立に関する情報を「知っていたらよかった」

●85%以上が仕事と介護の両立に「負担を感じる」

Q. 現在、仕事と介護の両立はどの程度負担に感じますか?

 まず、仕事と介護の両立についてどの程度負担を感じているかを聞いてみたところ「やや負担を感じる」が53.6%、「非常に負担を感じる」が31.9%と、あわせて85.5%もの人が何らかの負担を感じていることが明らかになりました。

 「あまり負担を感じない」(13.0%)、「全く負担を感じない」(1.5%)という回答は少数にとどまり、仕事と介護の両立がいかに多くの人にとって大きなプレッシャーとなっているかがうかがえます。

最も深刻な悩みは「介護による心身の負担が大きい」

 次に、仕事と介護を両立するうえでの具体的な悩みについて、最も負担に感じることを一つ選んでもらったところ、第1位は「介護による心身の負担が大きい」で43.5%、第2位は「仕事と介護の時間配分が難しい」で30.4%、第3位は「介護による経済的な負担が大きい」で10.1%という結果になりました。

 介護は、身体的な介助だけでなく、認知症の方への対応や精神的なサポートなど、精神的な負担も非常に大きいものです。終わりが見えない介護生活のなかで、疲労やストレスが蓄積し、介護者自身の心身の健康が損なわれてしまうケースもあるでしょう。

Q. 介護と仕事を両立する上で、どのような悩みがありますか?最も負担に感じることを一つお選びください。

●85%以上が介護のために仕事をセーブする必要性を実感

Q. 介護のために仕事をセーブする必要を感じたことがありますか?

 次に、介護が仕事・働き方にどのような影響を与えたのかを調査してみました。


 介護のために仕事をセーブする必要を感じたことがありますか?という問いには、介護と仕事の両立の困難さを示すように、85.5%もの人が「ある」と回答しました。

 残業を減らす、責任の重い仕事を避ける、出張を断るなど、何らかの形で仕事に制限を設けざるを得ない状況に置かれている人が大多数であることがわかります。

●半数以上が介護離職を考えたことがある

 さらに深刻なのは、介護を理由に仕事を辞めることを考えたことはありますか?という質問に対し、56.5%と半数以上の人が「ある」と回答している点です。

 これは、介護離職が決して他人事ではなく、多くの当事者が直面する現実的な選択肢となっていることを示しているでしょう。仕事を続ける意思があっても、両立の負担や困難さから、離職という選択肢が頭をよぎる状況がいかに多いかがうかがえます。

Q. 介護を理由に仕事を辞めることを考えたことはありますか?

仕事と介護の両立が本当に困難になったら、どのような選択をする?

Q. 仕事と介護の両立が困難になった場合、どのような選択をする可能性が高いですか?
Q. 介護が原因で働き方を変えたことはありますか?

 なお、仕事と介護の両立がこれ以上困難になった場合、どのような選択をする可能性が高いですか?と聞いてみたところ、第1位は「介護サービスを増やす」と「時短勤務に変更する」でそれぞれ23.2%、第3位は僅差で「仕事を辞める」と「転職を考える」がそれぞれ21.7%となりました。

 また、介護が原因で働き方を変えたことはありますか?という質問では「特に変更していない」といった回答が37.7%と最も多かったものの、約6割の人が何らかの形で働き方を変更した、または「変更したかったができなかった」という結果が出ています。

●介護に関する社内制度を利用しづらい理由の第1位は「周囲に迷惑をかけると感じるから」

 ここからは、企業がおこなう仕事と介護の両立支援の実態、そして介護をしながら働く従業員が本当に求めている支援について調査してみました。

Q. 現在の職場には、介護に関する社内制度がありますか?
Q. 前問で「ある」と回答した方にお聞きします。介護に関する社内制度を利用しやすいと感じますか?

 最初に、現在の職場には介護に関する社内制度がありますか?と聞いてみたところ「ある」と回答したのは47.8%と半数以下にとどまりました。次に、前問で介護に関する社内制度が「ある」と回答した人だけに、その制度を利用しやすいと感じるか聞いてみたところ「ややそう思う」が36.4%、次いで「あまりそう思わない」が33.3%となりました。

 では、職場に介護に関する社内制度があるにもかかわらず、従業員が「利用しづらい」と感じる理由は何なのでしょうか。

Q. 前問で「あまりそう思わない」または「全くそう思わない」と回答した方にお聞きします。介護支援制度を利用しづらいと感じる理由として、あなたの考えに最も近いものを一つお選びください。

 そこで前問で「あまりそう思わない」または「全くそう思わない」と回答した人に対し、介護に関する社内制度を利用しづらいと感じる理由について聞いてみたところ、最も多かった回答は「周囲に迷惑をかけると感じるから」(42.9%)でした。


 第2位は「周囲の理解が得られにくいから」で35.7%、第3位は「制度を利用するとキャリアに影響がありそうだから」で14.3%、第4位は「制度の内容がわかりにくいから」で7.1%と続いています。

これらの結果から、企業は仕事と介護の両立支援制度を設けているだけでは不十分であり、従業員が心理的な負担を感じずに制度を利用できるような、職場の雰囲気づくりや意識改革が必要であることがわかります。

●最も企業に求める仕事と介護の両立支援策は「テレワーク」と「介護休暇の充実」

 次に、仕事と介護の両立を支援するために、企業にどのような支援策を求めるか、最もあってほしいと思うものを一つ選んでもらったところ「テレワーク(在宅勤務)制度」と「介護休暇の充実」がそれぞれ24.6%で同率1位となりました。第3位は「時短勤務制度」で17.4%、第4位は「時間単位の有給休暇取得」で10.1%と続いています。

 この結果から、場所を選ばずに働けるテレワークや、柔軟な休暇制度(介護休暇、時間単位の有給休暇など)に対するニーズが高いことがわかります。介護は突発的な対応が必要になることも多いため、時間や場所に縛られない働き方や、必要なときに必要なだけ休みを取れる制度が、仕事と介護の両立の負担軽減に直結するでしょう。

Q. 仕事と介護の両立を支援するために、企業にどのような支援策を求めますか?最もあってほしいと思うものを一つお選びください。

●従業員が求める介護支援に関する情報提供方法は「上司や人事担当者からの直接の説明」

Q. 介護をしながら働くうえで、会社からの支援や支援に関する情報提供は十分だと感じますか?

 介護をしながら働くうえで、会社からの支援や支援に関する情報提供は十分だと感じますか?という質問には「やや不足している」が39.1%、「まぁまぁ十分だと思う」が30.4%、「不足している」が20.3%、「十分だと思う」が10.2%という結果になりました。

 「やや不足している」と「不足している」をあわせると約6割の人が会社からの情報提供に不満を感じているため、多くの企業はより積極的な情報発信をおこなう必要がありそうです。

 そこで今後、会社からどのような方法で介護支援に関する情報を受け取りたいですか?と質問してみたところ「上司や人事担当者からの直接の説明」が34.8%と最も多く、次に「社内ポータルサイトや社内報」(23.2%)、「メールや社内チャットツール」(20.3%)となりました。ちなみに現在は、仕事と介護の両立に関する情報を「インターネット」から得ている人が最も多いようです。

Q. 会社が提供する介護支援に関する情報をどのような方法で受け取りたいですか?最もわかりやすいと思うものを一つお選びください。
Q. 介護が必要になったとき、仕事と介護の両立に関する情報をどこから得ましたか?

●介護に直面した旨を申し出た従業員への個別周知・意向確認が義務化
2025年4月から、介護に直面した旨を申し出た従業員に対して、企業は以下の事項を個別に周知し、制度利用の意向を確認することが義務づけられています。個別周知・意向確認の方法は、面談 、書面交付、FAX、電子メールなどが挙げられていますが、今回のアンケート調査結果を参考にすると、面談が望ましいといえるでしょう。

●9割以上が40歳前後で仕事と介護の両立に関する情報を「知っていたらよかった」

 次に、介護を経験する前の早い段階(40歳前後など)で、仕事と介護の両立に関する情報を知っていたらよかったと感じるか聞いてみたところ「とてもそう思う」が53.6%、「ややそう思う」が37.7%と、実に91.3%もの人が、早期の情報提供の必要性を感じていることがわかりました。


 介護は突然必要になることも多く、いざ直面してから情報収集を始めるのでは、精神的にも時間的にも余裕がない場合があります。早い段階で介護保険制度や会社の支援制度、相談窓口などについて知っておくことで、いざというときに冷静に対応でき、両立に向けた準備を進めやすくなります。

Q. 介護を経験する前の早い段階(40歳前後など)で、仕事と介護の両立に関する情報を知っていたらよかったと感じますか?

●早い段階での情報提供が義務化
2025年4月から、介護に直面する前の従業員(40歳頃)に対し、介護休業や介護両立支援制度などに関する情報提供をおこなうことが義務づけられました。具体的には、従業員が40歳になる日の属する年か、従業員が40歳になった日の翌日から1年間のいずれかに情報提供しなければなりません。

調査結果まとめ

 今回のアンケート調査結果から、仕事と介護の両立はほとんどの人が負担に感じていることが明らかになりました。また、現状、企業の両立支援体制も十分であるとは言えず、介護関連の社内制度がある職場は半数以下にとどまっています。多くの企業では直近の法改正に伴い、雇用環境の整備などを迅速におこなう必要があるでしょう。

 仕事と介護の両立支援として、従業員が最も求めているのは「テレワーク」や「介護休暇の充実」といった柔軟な勤務制度なようです。さらに、利用しやすい介護に関する相談窓口、制度を利用しやすい職場づくりなども求められています。

 仕事と介護の両立は個人の問題ではなく、企業と社会全体で取り組むべき喫緊の課題です。企業は今回のアンケート調査結果を踏まえ、必要な措置を講じ、従業員の仕事と介護の両立をサポートしましょう。「労務SEARCH」ではこれからも、こうしたアンケート調査を通じて、人事・労務管理に関する課題を解決する手助けとなる情報を発信してまいります。

<調査の実施概要>

調査対象

介護をしながら働く男女69名

調査方法

インターネット調査

調査日

2025年2月27日~2025年3月11日

掲載記事

仕事と介護の両立、85%が負担と回答!企業支援の実態と従業員が求める支援策

■労務SEARCHについて

労務SEARCH

労務SEARCHとは、管理部門の日々の業務課題を解決する記事コンテンツや、管理部門のニーズに合ったBtoBマッチングに役立つ資料を提供するビジネスメディアです。会員数は2万人超え、そのうち半数は管理部門の役職者です。またコンテンツの高い専門性から、士業の方々からも支持されています。
サイトURL:https://romsearch.officestation.jp/

■エフアンドエムネット株式会社 概要

会社名

エフアンドエムネット株式会社

代表者

代表取締役社長 上枝 康弘

設立

2000年9月

資本金

5,800万円

事業内容

・SaaSの提供

・ホームページ制作

・業務用システムの企画・開発・運用代行

事業所

大阪・東京

サイト

https://www.fandmnet.com/

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会社概要

URL
https://www.fandmnet.com/
業種
情報通信
本社所在地
大阪府吹田市江坂町 1丁目23番38号 F&Mビル
電話番号
06-6339-9403
代表者名
上枝 康弘
上場
未上場
資本金
5800万円
設立
2000年09月