田中貴金属工業 スクリーン印刷向けの「低温焼成ナノ銀ペースト」を開発
30µm以下の微細な配線印刷を実現 ディスプレイデバイス、次世代自動車向けガラスヒーターなど電子デバイスの透過性向上やさらなるフレキシブル化に期待
本製品は、プリンテッドエレクトロニクス(※2)分野において主流な工法であるスクリーン印刷において、配線の微細化や、従来よりも優れた曲げ耐性を有する配線を実現するものです。これにより、曲げ耐性が期待されるスマートフォンやウェアラブルデバイス等のフレキシブルデバイスへの適用や、電気自動車等の普及に伴いさらなる需要増が予想されるガラスヒーターなどの透過性の向上が期待できます。
<本製品の特長>
- 30µm以下の微細印刷に適したペースト
通常、スクリーン印刷では50µm程度の線幅が印刷限界とされていますが、本ペーストに適した印刷機とスクリーン版を組み合わせることで、細線印刷が難しいとされるガラスをはじめ、PETフィルム(※3)やグリーンシート(※4)などその他基材にも微細配線(30µm以下)で直接印刷が可能です。これにより、次世代自動車向けガラスヒーター、5G向け透明アンテナなど、透過性が求められる電子デバイスの高性能化と生産性の向上に寄与します。
- 印刷配線の屈曲耐性
PETフィルム等の折り曲げられる有機基材に印刷した配線(印刷線幅100µm)は、折り曲げ半径0.5mmの屈曲試験において、10万回の折り曲げでも断線しないことが実証されており、フレキシブル化と同時に耐久性が求められるスマートフォンやウェアラブルデバイスなど、フレキシブルデバイスのへの適用が期待できます。
- 10µΩcm以下の低抵抗値
また、加熱温度90℃付近で焼結した配線において、抵抗値10µΩcmを下回るなど、低温焼結タイプのナノ銀ペーストの中でも希少な低抵抗化を実現しています。
- スクリーン印刷用に最適化させたナノ銀ペースト
本製品は、プリンテッドエレクトロニクスにおいて、最も一般的な工法であるスクリーン印刷用に適したナノ・サブミクロンサイズの銀粒子を用いた印刷用ペーストです。スクリーン印刷用に最適化するため、粒子径のコントロール、溶媒の選定、高分子化合物などの添加によりスクリーン印刷性能を高め、さらに折り曲げに強い配線用のペースト開発に成功しました。汎用的なプロセスであるスクリーン印刷を用いた微細配線の採用により、生産性の向上が期待されます。
本製品は前述の利点により、電気自動車等の普及によるニーズが高まると予測されるガラスの曇りを防ぐための微細配線によるヒーティング技術、ヘルスケア関連のウェアラブルデバイス、景観を損ねない5G向け透明アンテナなど、IoT社会実現に向けた、様々な電子デバイスへの寄与が期待できます。
本製品のサンプル提供はすでに開始しており、2022年内の量産開始を目指しています。
(※1)スクリーン印刷:
プリント配線板や電子部品、フラットパネルディスプレイ、自動車メーターなどの製造工程などに用いられる、エレクトロニクス分野では必須の印刷工法。
(※2)プリンテッドエレクトロニクス:
機能性インクと各種印刷技術を用いてガラスや高分子製の基板上電子デバイスを製造する技術。有機ELディスプレイ、ウェアラブルデバイス、センサー、デジタルサイネージ、電子ペーパーへの活用など、IoT社会を実現する基盤技術として期待されている。
(※3)PETフィルム:
ポリエチレンテレフタレート樹脂。耐熱性や強度に優れた高分子フィルムであり、液晶テレビなどの表面保護やノートPCなどのバックライト用反射フィルム、ウェアラブルデバイスの基材として使用される。
(※4)グリーンシート:
回路基板として用いるセラミックス基板で、柔軟性のある未焼成状態のシートを指す。
■田中貴金属グループについて
田中貴金属グループは1885年(明治18年)の創業以来、貴金属を中心とした事業領域で幅広い活動を展開してきました。国内ではトップクラスの貴金属取扱量を誇り、長年に渡って、産業用貴金属製品の製造・販売ならびに、宝飾品や資産としての貴金属商品を提供しています。貴金属に携わる専門家集団として、国内外のグループ各社が製造、販売そして技術開発において連携・協力し、製品とサービスを提供しています。
2020 年度(2021 年 3 月期)の連結売上高は1兆4,256億円、5,193人の従業員を擁しています。
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