高齢者の4人に1人以上が、年齢を理由とした賃貸住宅への入居拒否を経験。収入による差はなし。【高齢者の住宅難民問題に関する実態調査(2023年)】
入居後は「終の住処にしたい(19.6%)」と思う一方で、26.8%が「築40年以上」の老朽化物件に在住。
■調査背景
現在の日本では、世界で最も高齢化率が高いにも関わらず、孤独死による事故物件化の懸念を中心に高齢者が賃貸を借りにくい状況が続いており、住まいの確保が困難になる可能性が考えられています。
そこで、弊社では2021年に第1回目の「高齢者の住宅難民に関する実態調査」を行いましたが、今回の調査では、前回調査をアップデートした「2023年版」として調査を行い、高齢者の賃貸需要が高まる一方で、引き続き「年齢を理由に住まいを確保しづらい」現状が明らかとなりました。
■調査結果の要約
「65歳を超えて賃貸住宅のお部屋探し経験のある高齢者」は、3人に1人以上(35.7%)。最も多い住み替え理由は「家賃の低い物件に住み替えるため(36.6%)」。
高齢者の4人に1人以上(26.8%)が、”年齢を理由とした賃貸住宅への入居拒否”を経験。そのうち、5回以上断られた経験がある人は11.9%で、収入による差はなし。
賃貸住宅への入居までで不満を感じた点は、1位「そもそも候補となる物件情報が少なかった(20.2%)」、2位「通常よりも経済的負担(初期費用など)が大きかった(10.2%)」、3位「条件に合わない物件を紹介された(7.0%)」。
賃貸住宅に入居してから不安に感じている点は、1位「住宅設備の老朽化による災害(21.8%)」、3位「孤独死の恐れ(14.0%)」、3位「物件の建て壊しによる立ち退き(11.2%)」。
高齢者の4人に1人以上(26.8%)が「築40年以上」の賃貸住宅に在住。過半数(52.4%)が「築30年以上」。一方、「終の住処にしたい」と考える高齢者は19.6%
■調査結果
①「65歳を超えて賃貸住宅のお部屋探し経験のある高齢者」は、3人に1人以上(35.7%)。最も多い住み替え理由は「家賃の低い物件に住み替えるため(36.6%)」。
全体のうち、65歳を超えて賃貸住宅のお部屋探し経験のある高齢者は35.7%となりました。賃貸住宅への住み替え理由としては、「家賃の低い物件に住み替えるため(36.6%)」が最も多く、2位が「適切な広さの間取りに住み替えるため(32.2%)」、3位が「子どもの近所に住み替えるため(10.8%)」となりました。また、「オーナーや不動産会社から立ち退きを促されたため」と回答した方は7.6%となっています。
65歳を超えて賃貸住宅のお部屋探し経験のある高齢者は想定よりも多く、高齢者の賃貸需要の高まりが伺える結果となりました。また、住み替えの背景としては子どもの独立や同居人の死去などが考えられます。
②高齢者の4人に1人以上(26.8%)が、”年齢を理由とした賃貸住宅への入居拒否”を経験。そのうち、5回以上断られた経験がある人は11.9%で、収入による差はなし。
全体のうち「年齢を理由に賃貸住宅への入居を断られた経験のある高齢者」は26.8%となり、そのうち、「5回以上断られた経験のある方」は11.9%となりました。また、関東(1都6県)では全体の1.2倍多く、32.2%の高齢者が年齢を理由とした入居拒否を経験している結果結果となりました。
一昨年6月の調査と比較すると、全体の「年齢を理由に賃貸住宅への入居を断られた経験のある高齢者」は3.4%増加しており、「5回以上断られた経験のある方」は1.5%減少しました。
また、収入別の「年齢を理由に賃貸住宅への入居を断られた経験のある高齢者」は、「年収200万円未満」の方が27.7%、「年収200万円以上」の方が26.4%となり、収入による差がほとんどない結果となりました。
引き続き「年齢を理由に住まいを確保出来ない」現状が明らかとなり、特に関東圏では顕著な問題として浮き彫りとなりました。※昨年9月の弊社の調査で明らかとなった「孤独死による事故物件化」や「家賃滞納」、「死後の残置物の処理」などに対する対策を継続して行う必要があると考えられます。
※不動産会社の4社に1社が、高齢者の入居可能な賃貸住宅が「全くない(0%)」【高齢者向け賃貸に関する実態調査】:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000015.000068855.html
③賃貸住宅への入居までに不満を感じた点は、1位「そもそも候補となる物件情報が少なかった(20.2%)」、2位「通常よりも経済的負担(初期費用など)が大きかった(10.2%)」、3位「条件に合わない物件を紹介された(7.0%)」。
賃貸住宅の物件探しから入居するまでに不満を感じた点では、「そもそも候補となる物件情報が少なかった(20.2%)」が最も多く、2位が「通常よりも経済的負担(初期費用など)が大きかった(10.2%)」、3位が「条件に合わない物件を紹介された(7.0%)」となりました。また、59.2%の方は「特になかった」と回答しています。
想定よりも不満を感じなかった方が多かった一方で、「高齢者が入居可能な賃貸住宅」の総数が全体的に不足している様子が伺える結果となりました。また、高齢者の入居に際して見守りサービスの導入などのリスク回避が必要なことから、通常よりも経済的負担が大きくなる場合があると考えらえます。
④賃貸住宅に入居してから不安に感じている点は、1位「住宅設備の老朽化による災害(21.8%)」、2位「孤独死の恐れ(14.0%)」、3位「物件の建て壊しによる立ち退き(11.2%)」。
賃貸住宅に入居してから不安に感じている点に関しては、「住宅設備の老朽化による災害(21.8%)」が最も多く、2位が「孤独死の恐れ(14.0%)」3位が「物件の建て壊しによる立ち退き(11.2%)」となりました。また、53.0%の方は「特にない」と回答しています。
高齢者自身の心境としては、孤独死よりも災害への恐れが非常に強いことが明らかとなりました。後述いたしますが、1981年に定められた「新耐震基準」以前に建てられた築年数の古い賃貸住宅に住んでいるケースが多いためであると予想されます。
⑤高齢者の4人に1人以上(26.8%)が「築40年以上」の賃貸住宅に在住。過半数(52.4%)が「築30年以上」。一方、「終の住処にしたい」と考える高齢者は19.6%。
全体のうち、高齢者の過半数となる52.4%が「築30年以上」の賃貸住宅に住んでいることがわかり、「築40年以上」の賃貸住宅に住んでいる高齢者が26.8%、「築50年以上」が11.2%となりました。
また、関東では「築30年以上から築40年未満」が全体よりも4.7%多く30.3%、「築50年以上」が3.5%多い14.7%となり、「築30年以上」の賃貸住宅に住んでいる高齢者は57.8%となりました。
一方で、現在の住まいに今後どの程度の期間住み続けたいと考えているかについては、「わからない」が35.2%だったものの、「終の住処にしたい」が最も多く19.6%となりました。また、「5年以上20年未満」が18.4%。となっています。
高齢者は現在の住まいに「長く居住したい」と思う傾向が強い一方で、本人の要望に関わらず「築年数の古い物件」が提供される場合が多いため、老朽化物件の建て壊しなどを理由に長く住み続けられない場合が多いのではないかと考えられます。
■具体的には、どんな時が1番苦労しましたか?エピソードをお聞かせください。(n=295)※フリーアンサーより抜粋
家賃が結構高い地域だが、同じところで働き続けるには、近くに引越すしかなかった。 65歳を超え、障害者でもある事を正直に伝えると、息子が契約すると言っても、物件を見せてももらえず、断られた。
探していた当時は働いていたが、それでも年齢だけで部屋を紹介してもらえなかった。銀行の残高証明を出すといっても、貸してくれなかったことがつらかった。
親、親戚などが死亡したため、保証人を見つけるのに苦労した。
プライベート優先の間取りやオールフローリングや浴室、洗面、洗濯機置き場など使い勝手のいい物件が少なかった。
■調査概要
調査実施期間:2023年06月20日~06月22日
調査対象:全国の65歳を超えて賃貸住宅のお部屋探し経験がある方
有効回答数:500名(スクリーニング対象者:1,956名)
調査方法:インターネット上でのアンケート調査
■会社概要 株式会社R65
日本は世界で最も高齢化率が高いにもかかわらず、65歳以上の「住宅難民」 が社会問題となっています。急な立ち退きによるお部屋探しが増える中、65歳以上の4人に1人が賃貸住宅への入居拒否を経験。R65不動産は、65歳からのお部屋探しを専門で支援する不動産会社として、物件を貸し出す際のあらゆるリスクの解決を行い、65歳以上の入居可能な賃貸物件を増やすことで、「いくつになっても、好きな場所に住める社会」を実現していきます。
代表:山本 遼
本社所在地:東京都杉並区荻窪4-24-18
設立:2016年4月7日
URL:https://r65.info/
【本件に関するお問い合わせ先】
広報:飯田 / E-mail:tetsuya.iida@r65.co.jp
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