JITCOによる「技能実習・特定技能制度見直しに関するアンケート調査」結果公表
「両制度の特長を活かして並存を」。外国人材受入れの実務者を対象としたアンケート調査の結果を公表しました。
公益財団法人 国際人材協力機構(略称:JITCO/ジツコ、所在地:東京都港区、理事⻑:⼋⽊ 宏幸)は、外国人材の受け入れや送り出しの事業に携わる国内外の機関(監理団体、実習実施者、登録支援機関、特定技能所属機関、送出機関)を対象に、技能実習制度と特定技能制度についてのアンケート調査を実施しました。両制度を実際に利用している方々の“ナマの声”を集めた調査結果としてまとめ、公表及び関係機関へ提出しました。今後の両制度の見直しに関する議論において、現場の声として参考に資することを期待しています。
両制度に関しては、日本政府がその在り方に関する有識者会議を開催し、適正な受け入れ方策等の検討を進めています。そのような機運の中で実施した今回のアンケート調査において、国内外の機関では「両制度の特長を活かしつつ連結性を高める改正を加えて並存することが望ましい」との意見が全体の約4割(国内機関37.1%、海外機関40.4%)と最多を占めました。今後の検討に期待することとしては「労働力不足に正面から取り組む制度」「通算在留可能年数を長く」「受入れ対象職種の拡充」といった声が多く、また手続きの簡素化など運用面の改善を求める意見も多数寄せられました。両制度の良さを活かしつつ、利用しやすい外国人材活用制度に向けて適正な見直しが行われることへの期待感がうかがえます。
JITCOでは、このアンケート調査の結果を関係機関に提出しました。今後の両制度の見直しに関する議論において、現場の声として参考に資することを期待しています。
詳細なアンケート結果は、JITCO公式サイト(https://www.jitco.or.jp/)で公開します。
- 【アンケート調査の概要】
回答依頼先:
①国内:JITCO賛助会員2,099機関とその傘下機関
②海外:主要送出国7カ国(ベトナム、インドネシア、フィリピン、中国、タイ、カンボジア、ミャンマー)に所在する計145の送出機関
調査方法 : ウェブおよびメール
回答数 :
①国内688機関
②海外 77機関
- 【調査結果】
〈現行の技能実習制度に対する評価〉
・特によい点として「労働力不足の補完に役立っている」が、課題として「不足労働力の確保の手段として機能している」がそれぞれ最多となり、目的と実態の乖離という問題意識が現場からも示された形となりました。
〈現行の特定技能制度に対する評価〉
・特によい点としては「長期雇用が可能」、「即戦力として役立つ」が多くあがりました。
・一方、課題としては「転職可能なので人材が定着しにくい」、「所管省庁ごとに扱いが異なるため制度が複雑」といった選択肢が多く選ばれました。
〈両制度の見直しに関する意見〉
・「両制度の特長を活かしつつ連結性を高める改正を加えて並存」が最多の37.1%、「両制度を統合」が21.2%となり、「両制度とも大きな問題はなく基本的な仕組みを維持すべき」は10.2%に留まりました。
・期待するポイントとして「労働力不足に正面から取り組む制度」が65.3%で最多となり、そのほか「通算在留可能年数を長く」「受入れ対象職種の拡充」「人材の大都市集中対策」などに多くの声が集まりました。
〈両制度の運用面の課題〉
・技能実習、特定技能とも「手続きが煩雑すぎる」との回答が6割以上で最多となり、「運用要領や申請様式の改正が頻繁で最新情報の把握が困難」との回答も多く寄せられました。
・そのほか技能実習制度では、監理団体から「行政や監督機関の指導内容にばらつきがある」、「技能検定の受験手続きが手間」、また実習実施者からは「監理費の負担が重い」といった選択肢が多く選ばれ、特定技能制度では「分野ごとに所管省庁が異なって一本化された窓口がない」、「分野別協議会への加入手続き」に対する負担を訴える声が集まりました。
②海外機関
〈現行の技能実習制度に対する評価〉
・「給料が約束通りに支払われる」「人権保護は十分」「実習生の相談先が明確」などコンプライアンスや権利保護については5段階評価で平均4.19~4.66と、高い評価になりました。
・一方で、母国での「前職要件」の妥当性については同3.29と、比較的低評価となりました。
〈現行の特定技能制度に対する評価〉
・「長期滞在できる仕組み」、「労働者としての制度設計」が同4.06~4.14と高い評価を得た一方で、コンプライアンスや権利保護面の評価は同3.58~3.76と比較的低く、外国人の権利保護態勢に懸念を示す声も寄せられました。
〈両制度の関係性について〉
・「両制度の特長を活かしつつ連結性を高める改正を加えて並存」が最多の40.4%を集め、「両制度とも大きな問題なはく基本的な仕組みを維持すべき」の32.7%を抑えて最多となりました。「技能実習制度より、特定技能制度を見直すべき」との意見も19.2%を集めました。
〈諸外国の制度と比較しての意見〉
・日本は「人権が守られている」が5段階で4.32と、6項目中で最高評価となりました。
・日本入国のための外国人材の金銭的負担について、「他国と同水準」か「むしろ少なめ」という結果でした。一方、出国前の教育要求や条件面のハードルはやや他国より高いという評価になっています。
調査結果の概要は以上となります。詳細はJITCO公式サイト(https://www.jitco.or.jp/)にてご覧いただけます。
=JITCO(公益財団法人国際人材協力機構)について=
1991 年に「財団法人 国際研修協力機構」として設立し、2012 年4 月に内閣府所管の公益財団法人に移行しました。略称をJITCO(ジツコ)といい、2020 年には名称を「公益財団法人 国際人材協力機構」に変更しました。技能実習生や特定技能外国人等の外国人材の受け入れの促進を図ることを事業目的としています。
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