2インチウエハ製作用モザイク結晶開発のお知らせ
当社は⼤型のダイヤモンド単結晶を製作できることを主要な優位点としており、ダイヤモンドデバイス製作用ウエハの開発を進めてまいりました。既に1インチ単結晶ウエハ(直径25mm)を2025年4月に発売しましたが、半導体デバイスを製造するためには2インチ(直径50mm)のウエハが必須であり、この実用化を目指して、開発を継続してまいりました。その結果、2インチモザイクウエハを製造するためのモザイク結晶の開発に成功しました。
1.はじめに
当社はダイヤモンドの持つ優れた物性を様々な応用に適用することを目指し、単結晶素材を供給し、その市場を創成することを目的に設立されました。特にダイヤモンドを半導体として利用した場合に、損失が低い等の利点が省エネルギーに結び付く可能性は非常に大きいと考えられることから、その必要素材であるウエハの製品化を目指してまいりました。
半導体デバイスの製作においては、円盤状のウエハを使用することで、既に各種の工程用装置が確立していること、ウエハ上に多数のデバイスを同時に製作できること、及びデバイス生産コストを低減することができます。しかし、ダイヤモンド単結晶を大型化することは、現状の成長プロセスであるマイクロ波プラズマCVD法においては非常に困難であり、大型の単結晶ウエハを製作するには至っておりません。
当社はこの課題に対し、単結晶を横方向に接続して、少数の単結晶よりなるモザイク結晶を開発し、これによって大型ウエハを開発することを目指してまいりました。モザイク結晶は結晶同士の接続点である結晶粒界の部分では半導体デバイスの製作に適していませんが、結晶粒界の内部は単結晶として扱えるため、一つのウエハとしてプロセスを通し、多数のデバイスを製作することができます。既にモザイク結晶はその面積を拡大しており、当社では38×38mmのモザイク結晶を製品化しております。
デバイス製作プロセスはシリコンが先陣を切ってウエハの大型化を達成しており、これに合わせてプロセス装置の開発が進められてきました。現在では12インチ(直径300mm)が最大サイズであり、さまざまなデバイス製作に利用されています。一方、少量のデバイスを製作したり試作用の半導体ラインとして使用する場合には、4インチ(直径100mm)のウエハが使用されています。一部には2インチウエハに対応したプロセス装置もあることから、2インチ(直径50mm)が現実的な最低サイズと考えられます。
このように2インチウエハが実現すれば、ダイヤモンド半導体デバイス作製の開発に活用でき、一部のデバイスについては少量生産も可能になると考えられます。当社はダイヤモンドウエハ開発の最初の段階として2インチウエハ開発を目指してまいりました。2024年11月に公表したダイヤモンドウエハのロードマップでは、2025年12月までに2インチウエハを開発することとしました。そのためには、25×25mm以上の面積を持つ単結晶を開発し、それを横方向に4個接続することで、50×50mm以上のモザイク結晶を製作し、そこから直径50mmの円盤を切り出すことで2インチウエハを作製できると考えました。30×30mmの単結晶は2025年2月に発売に至りましたが、これを使って50×50mm以上のモザイク結晶を作製することを2025年12月を目標として取り組んだものの、技術課題の解決には至りませんでした。その後、2026年3月末を新たな目標として取り組みましたが、そこでも技術問題の解決には至りませんでした。
この問題は、単結晶を接合する際に結晶粒界付近に発生する応力によって、モザイク結晶が割れたり亀裂が発生する現象でした。既存のモザイク結晶の製作時にはこのような現象はそれほど大きな問題ではありませんでしたが、大型化に伴い顕在化いたしました。今般、この問題を克服したことにより、2インチウエハ用モザイク結晶の開発に成功しました。
また、このような大面積モザイク結晶を研磨すること自体が初めてのことで、研磨方法をこれまで最大のモザイク結晶であった38x38mmと同条件では全面を研磨することができず、いくつかの工夫を加えました。この結果、写真のモザイク結晶は、ほぼ全面で5nm程度の面粗さが得られ、親結晶として使用できることを確認しました。
2.開発した2インチ用モザイク結晶の内容[写真]
(1)サイズ:53×53×1.2mm
(2)構成する単結晶数:4個(個別結晶は25×25mm以上の面積)
(3)表面研磨:片面を研磨済み Ra≒5nm
3.2インチウエハの量産計画
このモザイク結晶が完成しましたので、当社が保有するイオン注入を用いた複製技術を活用し、2インチウエハを作製するための子結晶を製作します。その後レーザーによって直径50mmに切断することで2インチウエハに仕上げます。これらの工程は既に多数の基板やウエハを製作において実績がありますので、スムーズに実用化できると考えております。
まずは親結晶を多数製作し、量産を開始します。この準備が順調に進めば、本年度下期には量産体制が整うと考えております。
量産を進めるうえでの課題は、2インチの面積では研磨に非常に長い時間を要することです。1インチの研磨時間と比較しておよそ10倍の時間を要しており、この改善は急務となっております。現在使用している研磨装置には大型化等の対策が必要と考えており、このような装置開発は、今後検討する資金調達を通じて実現を図ってまいります。
4.今後の開発について
当社は、既に開示しておりますロードマップに沿って今後も4インチモザイクウエハの開発を進めてまいります。そのためには、50×50mm以上の単結晶を開発し、これを用いて100×100mm以上のモザイク結晶を製作いたします。今回の2インチウエハ用モザイク結晶の開発において、大型結晶を接続したモザイク結晶の作製及びその研磨において多数の技術課題が発見されました。これらの課題解決に向けて様々な開発を推進してまいります。
また、モザイクウエハが期待どおりに開発できないときのリスク管理として、単結晶の更なる面積拡大や、ダイヤモンド以外のウエハにダイヤモンドの小型基板を貼りつける「貼り合わせウエハ」技術等についても検討してまいります。

■この件に関するお問い合わせ先
株式会社イーディーピー 営業部
〒560-0085 大阪府豊中市上新田4-6-3
(メール)edp.info@d-edp.jp
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