難聴を伴う認知症の方への看護介入における対話支援機器「コミューン」の有用性を確認 四国医学雑誌に研究報告を発表
ユニバーサル・サウンドデザイン株式会社(本社:東京都港区 代表取締役:中石 真一路 、以下『ユニバーサル・サウンドデザイン』)の代表取締役・中石真一路は、徳島大学大学院医歯薬学研究部の千葉進一准教授率いる研究チームと共に、対話支援機器「コミューン」を用いた難聴を伴う認知症の方への看護介入が、認知機能や認知症に伴う行動・心理症状、生活の質(QOL)にどのような影響を与えるかを検討した研究成果を、四国医学雑誌にて発表しました。この研究は、コミューンを使用した看護介入が認知症の方の認知機能や認知症に伴う行動・心理症状、生活の質、また看護師の負担軽減に寄与する可能性を示しています。
検証の結果、以下において成果が示唆されました。
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認知症患者の「認知機能」や「認知症に伴う行動・心理症状」が改善される可能性が示唆されました
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認知症患者の「生活の質」が向上し、患者と周囲の交流や自分らしさの表現が向上する可能性が示唆されました
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看護師の看護介入時の負担軽減にもつながる効果が期待されます
本研究により、コミューンの活用が難聴を伴う認知症患者に対する新たなケアの選択肢を提供し、患者が自分らしさを維持しながら生活できる環境づくりの促進に寄与することが示されました。
今後、さらに多くの患者を対象にした臨床試験を通じて、コミューンがもたらす支援効果の確認と、看護介入の新しい手法としての普及に努めます。そして、認知症ケアにおける技術活用の可能性をさらに追求し、患者やその家族、ケアに関わるすべての方々の負担を軽減する一助となることを目指してまいります。
■研究の背景とポイント
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世界で最も高齢化が進んでいる日本では、65歳以上の50%に難聴があり、難聴は認知症発症リスクや認知機能低下、精神症状に影響を及ぼすことが分かっています。徳島大学大学院医歯薬学研究部の千葉進一准教授率いる研究チームとユニバーサル・サウンドデザイン株式会社は、難聴を伴う認知症の方に対する看護介入の際、対話支援機器コミューンを継続して用いることで、認知機能や認知症に伴う行動・心理症状、生活の質にどのような影響を与えるかについて、研究発表を行いました。
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看護介入時のコミューンの活用は、認知症患者の「認知機能」や「認知症に伴う行動・心理症状」が改善され、「生活の質」の向上が示唆されました。また看護師の負担軽減につながる効果も期待されています。
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今後は、さらに多くの患者を対象にした臨床試験を通じて、コミューンがもたらす支援効果の確認と、看護介入の新しい手法としての普及に努めていきます。
■用語解説 :対話支援機器(指向性スピーカー) 「comuoon®(コミューン)」
国内外で複数の特許を取得している⋆耳につけない意思疎通支援機器です。これまでは、聴こえに悩んでいる人が自ら、聴覚支援機器を装用する形が一般的でした。しかし、装用する機器が苦手な方もおられ、その場合は周囲は「大きな声での対応」が 一般的でした。「comuoon®」は、 「話す側から意思疎通支援を行う」逆転の発想から生まれた対話支援機器です。聴こえに悩む方、その方と関わる健聴者の方、その間に必要だったサポートがカタチになりました。「comuoon®」の活用による「聴こえのユニバーサルデザイン」は、医療機関や介護施設、薬局、行政機関を中心に5,700ヶ所以上の施設で導入しています(2024年11月時点)。
(⋆日本特許番号: 5731602 /米国特許番号: US9,532,132)
■ 研究発表概要
目的:
難聴を伴う認知症の方に対話支援機器「コミューン」を使用し、看護師が介入を行う際の認知症症状への効果を評価しました。
方法:
入院中で難聴を伴う認知症患者4名を対象に、看護師がコミューンを使用して関わり、以下の項目について、介入開始前・1か月後・2か月後・3か月後で評価を行い、変化を追跡しました。
介入開始前の調査が終わった後に、3ヵ月間、看護師が患者にコミューンを使用し関わりました。看護師は援助しながらコミューンを使用するため,肩から紐をたすき掛けにしてコミューンを腰の位置に吊り下げ、マイクは耳にかけて固定するものを選び、両手を自由にして看護業務を妨げないようにしました。
評価項目:
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認知機能/Mini Mental State Examination-Japanese(MMSE)
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認知症に伴う行動・心理症状と看護師の職業負担度/Neuropsychiatric Inventory-Nursing Home Version(NPI-NH)
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認知症者の客観的な生活の質/Quality of Life of Dementia Japanese(QLDJ)
心理検査の実施について、介入開始前、1ヵ月後、2ヵ月後、3ヵ月後に、MMSEを研究者が患者に実施しました。また、1ヵ月後、2ヵ月後、3ヵ月後に、患者を援助した看護師が、NPI-NHとQLDJで患者を評価しました。なお、NPI-NHとQLDJを評価する看護師は一人に固定しました。介入開始前、開始1ヵ月後、2ヵ月後、3ヵ月後で、各心理尺度の評価の変化を評定しました。
結果:
難聴を伴う認知症患者4名に対し、コミューンを使用した看護師の3か月間の介入により、2名で認知機能(MMSEスコア*図1)が改善し、2名で認知症に伴う行動・心理症状(NPI-NHスコア*図2・3)の軽減が確認されました。生活の質(QLDJ*図4・5・6)では、1名で周囲との生き生きとした交流、3名で自分らしさの表現、1名で対応困難な行動のコントロールの向上が見られました。
結論:
コミューンによる補聴が認知症患者の認知機能や認知症に伴う行動・心理症状、客観的QOL、看護師の職業負担度に影響を与える可能性が示唆されました。
今後は、介入期間の延長や難聴に特化した QOL 尺度の使用、性差を考慮した QOL 評価の検討、対象者数を増やし、統計解析を行う等、本研究を継続して実施してまいります。
■論文情報
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論文タイトル: 指向性スピーカーを使用した看護介入が難聴を伴う認知症患者の臨床症状に与える影響の検討 第一報
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著者: 千葉 進一, 小松 龍矢, 中石 真一路, 竹安 敬子, 堤 理恵, 豊内 紳悟, 椋本 琢磨, 友竹 正人
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掲載雑誌: J-STAGE 四国医学雑誌/80 巻 (2024) 3.4 号/書誌
https://www.jstage.jst.go.jp/article/shikokuactamedica/80/3.4/80_113/_article/-char/ja
<PDFダウンロード>
https://www.jstage.jst.go.jp/article/shikokuactamedica/80/3.4/80_113/_pdf/-char/ja
■会社概要
ユニバーサル・サウンドデザイン株式会社
資本金:10,000,000円
代表者:代表取締役CEO/CTO/聴脳科学総合研究所 所長 中石真一路(なかいし しんいちろう)
所在地:東京都港区海岸1-9-11 マリンクス・タワー2F
事業内容:
対話支援システムcomuoon(コミューン)の設計・開発・販売
聴覚のPHR情報取得用スマートフォンアプリケーションの設計・デザイン・開発
ヒアリングフレイル予防事業に関するアドバイザリー業
聴脳科学における有用性に関する研究受託
各種店舗、建築物および室内空間のサウンドデザイン企画、制作ならびにコンサルタント業
スピーカーおよびアンプなどの音響機器の設計・製造・販売
PAおよびSR用音響機器の改修および修理
URL: https://u-s-d.co.jp/
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