「カスピ海乳酸菌」を用いてヨーグルトを手作りすることで子どものQOLが向上することを確認
-日本家政学会第76回大会で発表予定-
研究概要
近年の日本では、核家族の増加や共働き世帯の増加に伴って、子どもの孤食や親子関係の希薄化が社会問題となっています(1)。これらは子どものQOL(※)低下と関連しているだけでなく、子どもの成長にも悪影響であることから、これらの問題を解決し、健全な子どもの成長を促す施策の重要性が増してきています(2)。
「カスピ海乳酸菌」は、室温での発酵が可能なことから、家庭内で容易にヨーグルトの手作りができるという特徴があります。これまで、家庭内での継続的なヨーグルトの手作り実施により、高齢者の精神的QOLが向上する事を見出しています(3)。これらから、本研究では「カスピ海乳酸菌」を用いたヨーグルトの手作りを子どもが実施することで、子どものQOLやストレス及び親子関係にどのような影響を与えるかについて調べました。
調査では、小学3~6年生の親子を対象として、8週間継続して「カスピ海乳酸菌」を用いたヨーグルトの手作りを行ってもらいました。また、市販品の「カスピ海ヨーグルト」を食べてもらうグループ、普段通りの生活をしてもらう対照グループとも比較しました。そして、試験期間0週目、4週目、8週目に、お子様に対してQOLやストレス、両親への気持ちに関するアンケートを行いました。その結果、ヨーグルトの手作りを継続したグループでは、試験前後で子どものQOLの向上やストレス度合いの低下、両親への気持ちの向上が見られました。一方、市販品を食べたグループや対照グループでは、これらの変化は見られませんでした。これらの結果から、「カスピ海乳酸菌」を用いたヨーグルトの手作りは、子どものイキイキとした生活の向上を促す契機となる可能性が示唆されました。
フジッコでは、これまで、「カスピ海乳酸菌」の健康機能として、便秘傾向者への整腸作用や高齢者のフレイル対策へのエビデンスを取得してきました。今回、新たにお子様のQOLの向上にも寄与できるエビデンスが得られたことから、「カスピ海乳酸菌」の活用をより広めていくことで、全ての人々の健康が達成されるよう努めてまいります。
【注釈】
※「Quality of Life(クオリティ・オブ・ライフ) 」の略称で、日本語では「生活の質」などと訳され、「生きがい」や「満足度」という意味があります。人が人間らしく満足して生活しているか、自分らしい生活が送れているかという「生活の質」を評価する概念であり、近年注目を集める研究分野となっています。
【引用文献】
(1) 人口動態・家族のあり方等社会構造の変化について 総務省(2018).
(2) 第四次食育推進基本計画 総務省(2021).
(3) 田畑ら 科学と工業,97(11),335-339(2023).
図 1. 総合QOL得点及び総合ストレス得点の変化
8週間の介入前後での子どものQOLの総合得点の変化(A)及びストレスの総合得点の変化(B)を調べました。手作りグループのみで、群内での分散分析で有意差が見られるとともに、0週目と比較して8週目でQOLの向上やストレスの低下が見られています。*は p<0.05 で有意差があること(Wilcoxonの符号付順位検定による0週目との比較)、#はp<0.05で有意差があること(Friedman検定による群内での比較)を示しています。
発表の情報
学 会:日本家政学会第76回大会(https://confit.atlas.jp/guide/event/jshe76/top)
会 期:2024年5月24日(金)~26日(日)
場 所:椙山女学園大学星が丘キャンパス
演題番号:2H-4
演題名 :ヨーグルトの手作り行動が子どものQOLに及ぼす影響
発表者 :*田畑 祥之1、後藤 弥生1、丸山 健太郎1、吉井 美奈子2 (1. フジッコ(株)、2. 武庫川女大)
お問い合わせ先
フジッコ株式会社
担当者:イノベーションセンター 基盤研究グループ 田畑 祥之
責任者:イノベーションセンター センター長 丸山 健太郎
TEL:078-303-5385
ホームページアドレス:https://www.fujicco.co.jp
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