株式会社FLOSFIAがJSTの支援で次世代パワー半導体を開発し、電力ロス削減と低コスト化を目指す

~α型酸化ガリウムが切り開くエネルギー効率の高い社会実現~

JST

 JST(理事長 橋本 和仁)は、研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)実装支援(返済型)の2025年度募集において、株式会社FLOSFIA(本社:京都府京都市、代表取締役社長:四戸 孝)に対する開発支援を決定しました。A-STEPの支援で、α型酸化ガリウムの材料特性を活かした世界最高水準の低損失かつ高耐圧を持つ次世代パワー半導体を開発し、電力変換の高効率化と低コスト化を両立する実装技術として普及に取り組みます。

α型酸化ガリウム(α-Ga₂O₃)パワー半導体の事業展開のイメージ(出典:株式会社FLOSFIA)

▶増え続ける電力需要と「電力ロス」という課題

 近年、AIデータセンターの増加や電気自動車(EV)、産業機器の高度化により、社会全体の電力消費は急速に拡大しています。電力は発電された後、そのまま使われるわけではなく、使われる場面に合わせて電圧や電流を変換する必要があります。この電力を変換する過程で多くのエネルギーが失われていることが、大きな社会課題となっています。実際、日本国内では、電力変換時の損失が総発電量の1割以上に相当するとされており、電力ロスをいかに減らすかが、エネルギー効率向上の鍵を握っています。

 ▶パワー半導体が社会を支えている

 電力変換で中心的な役割を担っているのが「パワー半導体」です。パワー半導体は、AIデータセンターの電源、電気自動車、急速充電器、産業機器、送配電設備など、私たちの社会インフラを支えるあらゆる場所で使われています。現在主流のシリコン(Si)製パワー半導体は、信頼性が高い一方で、電力ロスが大きいという課題があります。一方、高性能な新材料として注目される炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)は、性能は優れるものの、製造コストが高いという普及を妨げる壁がありました。

▶FLOSFIAが開発する「新しい材料」

 FLOSFIAが開発を進めているのは、「α型酸化ガリウム(α-Ga₂O₃)」と呼ばれる新しい半導体材料です。
 この材料は、高い電圧に耐えられ、電力ロスを大幅に減らせるという特長を持ち、理論的には従来材料を上回る性能が期待されています。さらにFLOSFIAは、京都大学との共同研究から生まれた独自技術「ミストドライ®法」を用いることで、こうした高性能材料を比較的低コストで量産できる点を大きな強みとしています。この技術では、α型酸化ガリウムの結晶材料を含む液体を霧状(ミスト)にして基板に供給することで、高品質な結晶を低温・大気圧というシンプルな条件下で成長させることができます。

 

ミストドライⓇ法の原理(出典:株式会社FLOSFIA)

▶今回の開発で目指すこと

 今回のJST支援事業において、FLOSFIAは以下を目標に掲げています。

 すでに実現している耐圧600V級デバイスをさらに進化させ、1200V級の高耐圧パワーMOSFET(ゲート電極に加えた電圧で電気の流れを制御するトランジスタ)を開発するとともに、AIデータセンターや電気自動車向けに求められる性能実証を行い、顧客企業への試作品を提供します。あわせて、国際的な半導体信頼性基準に基づく長期試験を実施し、実用レベルでの信頼性確保にも取り組みます。

▶実用化が進めば、社会はどう変わるのか

 この技術の実用化により、電力変換時の電力ロスが低減され、電力使用量が下がることで、エネルギーコストとCO₂排出量の削減が期待されます。

FLOSFIAは、AIデータセンター、電気自動車用インバータや充電器、産業用電源、電力インフラ機器など、幅広い分野への展開を見据えています。
 「低損失・高耐圧・低コスト」を同時に達成することで、パワー半導体市場に新たな選択肢を提供し、エネルギー効率の高い社会の実現に貢献していきます。

▶開発の概要

1.開発課題名

 1200V10A級α型酸化ガリウムパワーMOSFETの開発

2.技術シーズを創出した大学等の研究者

 藤田 静雄(京都大学 名誉教授)

3.開発実施企業

    

企業名

株式会社FLOSFIA

設立月

2011年3月

本社所在地

京都府京都市

代表取締役社長

四戸 孝

事業内容

α型酸化ガリウム(α-Ga₂O₃)パワー半導体の開発・実装

▶ A-STEP実装支援(返済型)の概要

1.制度概要

大学等の研究成果(技術シーズ)の社会実装を目指すスタートアップ等を対象に、革新的な製品・サービス創出に向けた実用化開発を開発費の貸し付けにより支援するものです。

2.対象企業:スタートアップ等

3.支援規模

 ・開発期間:最長3年間

 ・開発費:上限5億円(四半期ごとに概算額を前払い)

4.返済条件:

 ・返済額 :JSTが支出した開発費の全額

 ・利 率 :無利子

 ・返済期間:開発終了後、10年以内(うち最長3年間は返済猶予が可能)

 ・返済方法:一括又は分割(事業計画に応じる)

 ※開発終了後の事後評価結果(高評価順にS,A,B,C)がB評価以上の場合です

5.担保または保証:開発費総額の10%相当分

6.ご相談期間:通年で随時受付中

▶お問い合わせ先

国立研究開発法人科学技術振興機構 スタートアップ・技術移転推進部 実装支援グループ

●E-Mail:jitsuyoka[at]jst.go.jp([at]を@に置き換えてください)

●Webフォーム:A-STEP お問い合わせ/ご意見・ご要望フォーム

●Tel:03-5214-8995

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会社概要

URL
https://www.jst.go.jp/
業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
埼玉県川口市本町4-1-8 川口センタービル
電話番号
03-5214-8995
代表者名
橋本 和仁
上場
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資本金
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設立
2007年04月