出口の見えない東京都23区中古マンション価格の高騰!2021年上半期も供給数回復せず
~中古マンション流通レポート 2021年7月vol3~
新型コロナウイルス感染症蔓延による1度目の緊急事態宣言が発出されてからというものの、中古マンションの「供給数」は大幅に減少しました。それは東京都23区も例外ではありません。供給数とは、新たに売りに出される物件の数。2020後半には、一時、供給数が前年を上回った月もありましたが、そのまま回復することはありませんでした。依然として続く東京都23区中古マンション価格高騰の要因は、供給数が回復しないことにあるでしょう。(本記事詳細:https://t23m-navi.jp/magazine/news/tokyo23ku-2021pricerise/)
【東京都23区の中古マンションは2021年に入ってから高騰幅が拡大】
グラフ1.東京都23区全域平均成約坪単価
マンションリサーチ株式会社調べ
東京都23区の中古マンション価格は、1度目の緊急事態宣言解除後の2020年5月から高騰を続けています。
上記グラフの灰色の棒グラフが「2021年」の数値です。いずれの月も、2019年、2020年と比較して大幅に高騰していることがわかります。
中でも2001年以降築の中古マンションの価格高騰が顕著で、2021年上半期は、千代田区を除く22区で前年からの高騰が見られました。とくに上昇幅が大きかった区は「+15.5%」の荒川区、「+12.3%」の品川区、「+10.0%」の江東区です。
築年帯別・23区別の考察については、以下の記事で詳しく解説しています。
https://t23m-navi.jp/magazine/news/2021first-half_condominium-market/
表1.東京都23区/2001年以降築平均成約坪単価
マンションリサーチ株式会社調べ
【東京都23区の中古マンション価格高騰の要因は供給数の減少】
マンションナビでは、昨年11月に「売り手市場から買い手市場に転換か?」という考察をしましたが、この予測は大きく外れることとなりました。
(※詳細記事:https://t23m-navi.jp/magazine/think-sell/tokyo23_ms_kaiteyuusei/)
売り手市場に買い手市場に転換するということは、すなわちマンション価格が下がるということ。2020年10月にはそれまで前年比マイナス続きだった供給数がプラスに転じ、このまま供給数が伸びれば価格高騰も落ち着く可能性があると弊メディアで示唆しました。
■コロナ終息の見通しは依然として立たない
グラフ2.東京都新型コロナウィルス感染症陽性者数
(出典:東京都)
しかし、2020年末から東京都ではコロナ陽性者数が急激に増え、3度目の緊急事態宣言を発出。そして、東京オリンピック前に4度目の宣言が出て今に至ります。
陽性者数の推移との相関は定かではありませんが、陽性者数が落ち着いていた2020年秋には、中古マンションの売出数が一時的に増えたのは事実。コロナの終息が見えない今、中古マンション価格が今後どう推移していくかは皆目見当もつかないというのが正直なところです。
■中古マンション供給数は再び減少傾向に
グラフ3.東京都23区エリア中古マンション売出数と前年同月比増減率
マンションリサーチ株式会社調べ
東京都23区の中古マンション供給数は、コロナ禍では2020年10月を頂点に、再び減少傾向にあります。
「売り手市場」が継続している23区の中古マンション市場ですが、供給数が伸びない今「買い手市場」に転換するにはしばらく時間がかかるものと見られます。
【総括】コロナ禍で東京都23区中古マンションマーケットは前例のない動きを見せている
売り手市場にも関わらず供給数が増えない今は、これまでの通例があてはまらない時期。中古マンション流通マーケットのみウォッチしていても、予測がなかなか難しいといえるでしょう。
とはいえコロナ終息の見通しも立たない今の状況では、陽性者数や日経平均、マンション価格など、あらゆる指標を相対的かつ慎重に注視していく必要があります。
【マンションリサーチ株式会社サービスURL】
■不動産売却一括査定サービス『マンションナビ』
https://t23m-navi.jp/
■不動産データクラウド
https://fudosan-data.jp/
■分譲マンションデータ販売
https://mansionresearch.co.jp/s/data_sale
【マンションリサーチ株式会社について】
マンションリサーチ株式会社では、 不動産売却一括査定サイトを運営しており、 2011年創業以来「日本全国の中古マンションをほぼ網羅した14万棟のマンションデータ」「9000万件以上の不動産売出事例データ」及び「不動産売却を志向するユーザー属性の分析データ」の収集してまいりました。 当社ではこれらのデータを基に集客支援・業務効率化支援及び不動産関連データ販売等を行っております。
会社名 : マンションリサーチ株式会社
所在地 : 東京都千代田区九段北1丁目2番11号 エイム東京九段ビル3階
設立年月日: 2011年4月
資本金 : 1億円
Web : https://mansionresearch.co.jp/
筆者プロフィール
福嶋 真司(ふくしましんじ)
マンションリサーチ株式会社
データ事業開発室
不動産データ分析責任者
FUKUSHIMA RESEARCH INSTITUTE
代表研究員
早稲田大学理工学部経営システム工学科卒。大手不動産会社にてマーケティング調査を担当後、
建築設計事務所にて法務・労務を担当。現在はマンションリサーチ株式会社にて不動産市場調査・評価指標の研究・開発等を行う一方で、顧客企業の不動産事業における意思決定等のサポートを行う。
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