ウルシステムズ、タダノの内製開発のモダナイゼーションを支援

開発品質の向上、リードタイムの短縮、エンジニアのリスキリングを実現

ウルシステムズ株式会社（本社：東京都中央区、代表取締役社長：横山芳成、以下、ウルシステムズ）は、株式会社タダノ（本社：香川県高松市、代表取締役社長：氏家俊明、以下、タダノ）の新たな開発基盤・開発環境を策定しました。

タダノは1919年創業の世界最大級のクレーンメーカーです。建設用クレーンや車両積載型クレーン、高所作業車などを製造・販売しています。2024年2月にはクローラ高所作業車で国内トップシェアの長野工業をグループ化したほか、2024年9月には米国の建設機械会社マニテックス・インターナショナルの買収を発表するなど積極的な事業展開を図っています。また、高い技術力を活かして世界初のフル電動ラフテレーンクレーンを日本市場に導入するなど、環境負荷の少ない製品の拡充にも注力しています。

同社ではVB.NETや.NET Frameworkで構成する技術スタックを標準と定め、10年以上にわたり業務システムを開発・運用してきました。その数は200以上に上ります。しかし、VB.NET や.NET Frameworkのメジャーアップデートが終了したことにより、新たな進化が見込めなくなったほか、製品サポートの終了が課題として浮上していました。また、将来性の乏しい技術を使い続けることに対してエンジニアを動機付けることが難しく、市場全体での.NET経験者の減少もあって要員確保が困難になっていました。

 こうした背景を受けてタダノは開発基盤・開発環境のリニューアルに踏み切りました。ウルシステムズは最新テクノロジーとエンタープライズシステムに関する知見を評価されて、新たな開発基盤・開発環境の検討と同社開発メンバーのリスキリングのサポートを要請されました。ウルシステムズは３段階のアプローチを提案・実行しました。

第1段階：開発基盤・開発環境の検討（2023年10月〜12月）
システム要件との親和性や開発・運用に伴うコスト、スキル習得や人材調達の難易度、技術トレンドなどを踏まえて複数の開発言語やフレームワークを比較検討し、JavaおよびSpring FrameworkとTypeScriptを組み合わせた技術スタックを採用しました。同社では一定規模以上のシステム開発を外部に委託しており、発注先の選択肢や保守の内製化などの観点でも上述のスタックが優れていると判断しました。

第2段階：開発基盤・開発環境の構築とスキル移管（2024年1月〜4月）
第1段階で策定した開発基盤・開発環境を実際に整備しました。また、タダノ社員へのスキルトランスファーも実施しました。約1カ月間の講義で開発言語やフレームワーク、開発ツールの利用方法をレクチャーした後、2カ月間にわたってサンプルアプリケーションの開発を実施。ペアプログラミングや成果物レビュー、QA対応、勉強会などを通じてシステムを継続的に内製するための知識・スキルを移転しました。

第3段階：PoCと開発ガイドの作成（2024年6月〜8月）
第2段階で構築した開発基盤・開発環境を用いて実際の業務アプリケーションを開発し、実案件で適用可能であることを確認しました。開発はタダノ社員が主体となって実施し、ウルシステムズは開発チームのサポートに徹しました。PoC(概念実証)を通じてタダノ社員が独力でシステムを開発できることを確認しました。PoCで実施した手順をもとに開発ガイドを執筆しました。

今回のプロジェクトを推進したICT部会計ソリューショングループマネジャーの松岡氏は次のようにコメントしています。

「20年近く使用している旧アーキテクチャのモダナイゼーションの短期実現は特に既存メンバのスキルコンバートの点で非常に難度が高い取り組みと考えていました。しかし、ウルシステムズの高い技術力や知見により、理想に近い形のアーキテクチャ構成を得ることができました。また、提供いただいた講習・資料・サポートにより短期間でのメンバのスキルトランスファーも完遂させることができました。難しいプロジェクトを円滑に推進いただいたこと大変感謝しております。」

 今回のプロジェクトを通じてタダノの開発メンバーはモダンな開発スキルを習得したほか、モチベーションを高めました。また、新たな開発基盤・開発環境を利用することでリードタイムの短縮や品質の向上といった成果が上がっています。タダノは今後、新しい開発基盤・開発環境を実開発プロジェクトに適用していく予定です。

ウルシステムズは今後もタダノの挑戦を継続的に支援してまいります。

■お問い合わせ先

ウルシステムズ株式会社 広報室

お問い合わせフォーム（https://www.ulsystems.co.jp/inquiry/）