孤立する若者・子ども・障がい者等の「支援者」に向けたメンタリングプログラム開始
キャリア支援が不足しがちなNPO職員の悩み解決に、育児や仕事で培った聴く力を活かしてママメンターが伴走
日本における「プロボノ」の草分けとして国内最多のコーディネート実績を持つ認定NPO法人サービスグラント(東京都渋谷区、代表理事:嵯峨生馬 以下、サービスグラント)は、2024年11月、「NPOメンタリングプログラム」をスタートします。子育て中のママたちが2人1組の「メンター」となり、仕事や子育てで培った聴く力を活かして、NPO・地域団体等の代表やスタッフに3カ月間にわたって伴走。団体の運営上の困りごとや、個々の業務やキャリアについての悩みを聴きながら課題を整理し、次の一歩を共に考えていくプログラムです。
※プロボノ=経験やスキルを活かすボランティア活動
【URL】 https://mamabono.org/post-3177/
【背景】NPOの重要性が高まる中、職員への支援に課題
新型コロナウイルス感染拡大の影響等で孤独・孤立の問題が一層深刻化したことを受け、2024年4月に孤独・孤立対策推進法が制定されました。NPOには、行政や企業の手が行き届かない領域での迅速な対応や、コミュニティの維持・強化における重要な役割が求められており、活動の重要性はますます高まっています。一方で、NPOはその多くが人材の確保や教育に課題を感じているという実態があります。
サービスグラントは、2005年に活動を開始し、NPO等の非営利組織へ1900件を超えるプロボノ支援を提供してきました。その中で、特に少人数で活動しているNPOにおいて、相談できる相手・機会が少ないためにスタッフが疲弊したり、キャリアを描けずに離職したりしてしまうケースを目にしてきました。孤独・孤立の問題が深刻化する中、増加する支援ニーズに向き合うNPO側からは、もっと質の高い支援を届けたい、もっと多くの人を支援したいと思っていても、それがままならないという悩みを抱えているという声も多く聞こえています。
自身のケアが難しい「支援者」に寄り添う支援を届ける
そこで、2022年からトライアルを開始したNPOメンタリングプログラムでは、NPO等のスタッフや代表に、プロボノワーカー(プロボノ活動を行う社会人)が外部のメンターとして月2回、3カ月間にわたって伴走。個々の業務やキャリアについての悩みを聴きながら課題を整理し、次の一歩を共に考えることで、モチベーションを維持・向上させ、受益者に対するポジティブな対応と継続的な活動の実現につなげてきました。2024年度は、内閣府 令和6年度 孤独・孤立対策推進交付金(孤独・孤立対策担い手育成支援事業)を受け、「孤独・孤立対策とした居場所づくり、緩やかなつながりづくりなどをしている団体」を支援します。
本プログラムを通じて、支援者の孤独感や疲弊からくるバーンアウトを防ぎ、NPO運営の基盤強化につなげます。
NPO職員が支援活動に前向きになり、行動変容につながる
2022・2023年度に参加したNPOスタッフ等の満足度は100%。日頃、ネガティブな悩みを聞いてもらったり、相談したりできる機会がほとんどなかったという参加者もいるなか、メンタリングによって非常に前向きな変化を実感されている声が多数寄せられました。
過去参加したNPOスタッフ等の声)
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仕事について、今のやり方を肯定でき、同時に、行き詰っていた点についてはアドバイスをもらったことで動きやすくなった。
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「しなければならない」が減り、「したいこと」「すること」に分けて考えられるよう思考がすっきりとした。そのため仕事にこれまで以上に前向きに取り組めるようになった。
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なんでも相談できる場所・人がいるという安心感をいただけたことで、日々の業務も楽しくはかどった。
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メンタリングによって客観的に現状を見直したうえで、より望む自分になるよう行動を変えていくことができた。
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メンターのお二人が行動の変化を見守り、承認してくれたことが、実現の力になった。
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画面越しに「熱心に話を聴いてもらえる姿勢」と「心に残るキーワード」の満足度が高かった。日常の中で頑張りたい時に、思い出しやすく、励まされる。
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自分にとってとても良かったので、他の人に勧めたり、もっとメンターになってもらえる人を探していきたい。
関連記事:参加団体の声 https://mamabono.org/support/dantai_voice/choice-ful/
聴く力で社会貢献するママ自身の孤立・孤独解消も実現
NPOメンタリングプログラムでは2024年度も、子育て中の女性たちが、スキルや経験を活かすボランティア活動=「プロボノ」としてメンターを担当します。仕事のスキルや子育てで培った聴く力を活かせるだけでなく、子育てと仕事の限られた役割で日々を過ごす閉塞感を、誰かの役に立つことで打破したいと考えている方などに参加いただくことで、子育て中の女性の孤立・孤独解消にもつなげていきます。さらに、NPO職員の話を聞くことで、社会課題を解決したいという熱い思いや、社会課題解決の実態や難しさに触れることができ、ママ自身の社会感度を高める学びの機会となります。
過去参加したメンター参加者(ママ)の声)
• 自分の能力が人の役に立っている実感があった。
• 日頃かかわる機会のない方のお話を聞くことで、自分自身の世界も広げることが出来た。
• 定期的に他の人と話す時間があることで自分のことも振り返る時間になった。
• 2人1組で実施できたので、他のメンターの進め方がとても勉強になった。
• NPOの方のパワーや行動力に刺激を受けた。
• NPOの方の成長に刺激を受けた。
代表の方の視点や学びを聞いているうちに、仕事についても少し上の視座を持つことができた。
関連記事:メンター参加者の声
参加ママの声(2022年度)https://mamabono.org/post_report/3023/
参加ママの声(2022・2023年度)https://mamabono.org/post_report/mentoring2024event_keikensha/
実施概要
実施期間 |
(1)メンター事前研修期間 2024年10月 ※事前研修 2024年10月10日 21:00-23:00(オンライン) (2)メンタリング期間 2024年11月~2025年1月 (3)振り返り期間 2025年2月 ※団体参加者とメンターでの振り返り 2月前半(1時間程度) ※メンター同士での振り返り 2月後半(1時間程度) |
実施方法 |
月に2回/1回40分程度/オンラインにて実施 |
団体参加者 |
孤独・孤立対策とした居場所づくり、緩やかなつながりづくりなどをしている団体の代表・スタッフ ・子どもの居場所として学習支援や子ども食堂を運営する団体 ・支援につながりにくく孤立した子ども・若者の社会参画を支援する団体 ・障がい者や難病者の社会参画を支援・社会への啓もう活動を行う団体 など
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メンター参加者 |
子育て中の女性 ・産休・育休取得後、復職済みの方 ・育児休業取得中の方 ・パートナーの方の海外駐在に同行されている方 など 36名(2名1組のメンター×18チーム) |
参加費用 |
団体・メンター共に無料 |
担当者コメント
認定NPO法人サービスグラント NPOメンタリングプログラム担当・津田詩織 コメント
本プログラムを2022年度からトライアル実施してきた中で、参加されたNPO等の方々の変化が顕著に見られ、あらためてNPO等のみなさんが強い思いと推進力をお持ちであること、課題や思考が整理され、不安が解消されれば大きく前進できることを実感しました。日頃、組織内ではリソースが足りず、相談を持ち掛けることも申し訳なく思ってしまうような環境自体も、本プログラムをきっかけに組織基盤の強化やコミュニケーションの変化につなげることができます。思いを持って社会課題に向き合う方々のお力になれたことがうれしく、今年度もよい結果につながるよう努めていきたいと思いますし、今後も本プログラムを多くのNPO等に届けていくことを通じて、社会課題解決に寄与していきたいと考えています。
認定NPO法人サービスグラントについて
認定NPO法人サービスグラントは、日本における「プロボノ」のフロンティアとして2005年より活動を開始。"社会課題を前に、誰もが行動を起こし、違いや可能性を活かしあいながら協働できる社会"を目指し、主に、社会人の経験やスキルを活かした「プロボノ」によって非営利組織が抱える課題の解決を目指す、プロジェクト型支援のコーディネート等に取り組んできました。2024年7月現在、サービスグラントの登録者は延べ約9000人、実施プロジェクト数は約1900件となりました。これらの実績を通じて、多様な主体が境界を越えて協働する社会のしくみを探求しています。
【本リリースに関する報道お問い合わせ先】
認定NPO法人サービスグラント(NPOメンタリングプログラム担当 栗原・津田)
TEL: 03-6419-4021
e-mail: mamabono@servicegrant.or.jp
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