「ナティクシス・ストラテジスト・アウトルック調査」:2021年下半期も建設的な見通しを維持
ナティシス・インベストメント・マネージャーズが実施した42名の専門家を対象とする調査結果は、市場が13年来となる本格的なインフレを考慮に入れているにもかかわらず、楽観すぎる投資家心理が最大のリスクとなっている可能性を示唆
- 投資市場から大きなリターンを享受しているにもかかわらず、世界経済は依然として完全再開には至っていない。半数以上(57%)のストラテジストが、世界経済が完全に再開するには6~9ヶ月を要すると予測
- コロナ危機後の勝者になるのは、「テクノロジー」(88%)、「ヘルスケア」(83%)、「ESG(環境・社会・ガバナンス)投資」(76%)、「住宅」(74%)と予想。前年調査からほとんど変化がないことが判明
- ストラテジストの半数(48%)がESG投資は主流になりつつあり、4分の1(26%)がESG投資は必須と回答
パンデミック発生から1年以上が経過し、収束の兆しが確認される中、ナティクシスの専門家は、コロナ禍による長期的な影響が徐々に明らかになると見ており、年末の見通しは依然として建設的であり、差し迫ったリスクはほとんどないものの、投資家は徐々に現れてくる長期的な影響を注視すべきだと示唆しています。2021年上半期には、主要な株価指数の大半が2桁のリターンを達成するなど、「狂騒の20年代(Roaring Twenties:アメリカの1920年代を表す言葉で、第1次世界大戦後に社会や文化が躍動した時期)」に匹敵する動向が確認されましたが、下半期に関しては、投資家はリターンの上昇に伴うインフレとバリュエーションに注意すべきだ、とストラテジストは述べています。
ナティクシス・インベストメント・マネージャーズのソリューションズ部門ポートフォリオ・マネージャー兼ポートフォリオ・ストラテジストのジャック・ジャナスウィックスは次のように述べています。「『懸念の壁』が引き続きセンチメントの重しとなっています。成長のピークに関する懸念をよく耳にしますが、投資家の皆さまには、成長のピークとモメンタムのピークを混同しないようお伝えしています。回復ペースは鈍化すると予想されますが、依然として企業収益を力強く支える水準は維持される見通しです」
楽観すぎる投資家心理は本当にリスクなのか?
今回のストラテジスト調査では、特に顕著なリスクは確認されず、10段階評価で平均7を超えたリスク要因はありませんでした。これらの見解を総合すると、投資家はリスクを監視すると共に、今後生じる可能性のある逆風に注意する必要があることを示唆しています。
ルーミス・セイレスのグローバル債券部門の共同チームリーダーであるリンダ・シュバイツァーは次のように述べています。「インフレは一過性のものになると示唆されています。インフレは、ロックダウンからようやく解放された消費者の強い消費意欲と、サプライチェーンのボトルネックが要因となっているからです。しかし、インフレの上振れリスクが高まったことは明らかです。米連邦準備制度理事会(FRB)でさえ、2021年にインフレが過熱することを認めざるを得ませんでしたが、それ以上の悪循環には陥らないとの確信を有しています」
株式ではバリューが引き続きリード
パンデミック後の主要な市場動向の一つとしては、バリュー投資へのローテーションが挙げられます。下半期に向けて、調査対象者の64%が、バリュー株は少なくともあと数ヶ月は堅調を維持すると回答していますが、アウトパフォーマンスが数年続くと考えているのは26%に過ぎませんでした。バリュー株はすでに頭打ちしていると見ているのは僅か10%でしたが、2021年の下半期に市場が失速すると見ている21%の回答者の中では、同見解が最たるものでした。
ボーン・ネルソン・インベストメント・マネジメントのチーフ・インベストメント・オフィサーであるクリス・ウォリスは、「バリュー株がアウトパフォーマンスを続けるためには、インフレが一過性であると示されると共に、米連邦政府による追加的な財政支出が必要です」と述べています。
すべてはFRBにかかっている
ストラテジストは、2021年下半期の市場のパフォーマンスに影響を与える可能性のあるすべての要因のうち、FRBの動きが最も重要であると指摘しており、10段階評価で7.2と評価しています。
回答者は、下半期の新興市場の見通しもFRBに左右されると見ています。新興市場のアウトパフォーマンスは、米ドルの安定と金利の安定に左右されるからです。
2021年下半期に新興国株式は先進国株式をアウトパフォームすると思いますか?
ESGは本物。仮想通貨には疑問が
ナティシスのストラテジストは、パンデミックを乗り越える中での2つの主要投資ストーリーについて、ESG投資に最も強い確信を持っていることが判明しました。パンデミックの最中に、ESG戦略はリターンと資産拡大の両面で素晴らしい結果をもたらしました。
一方、この1年間、仮想通貨は大きな話題を集めてきましたが、今回調査対象となった42人のストラテジストの中では、仮想通貨が伝統的な通貨を代替すると考える人は1人もいませんでした。
パンデミック後の勝者の予想は変わらず
パンデミック後の世界での勝者の予想に関しては、前年調査からほとんど変化がありませんでした。今回は、「テクノロジー」(88%)、「ヘルスケア」(83%)、「ESG投資」(76%)、「住宅」(74%)がパンデミック後の勝者と予想されています。
回答者の10人に6人(57%)が「巣ごもり関連」を勝者に挙げていることから、多くの人が、同セクターがオフィスへの復帰からの影響を受けるには時間がかかると考えているようです。エネルギー(勝者38%、敗者62%)と旅行(勝者52%、敗者48%)については強い確信が持てず、完全な経済活動の再開は2021年後半ではなく2022年前半になるとの見通しを示しています。
ナティクシス・ストラテジスト・アウトルックについて
「ナティクシス・ストラテジストアウトルック調査」は、ナティクシス傘下の資産運用会社16社の32名、ナティクシス・インベストメント・マネージャーズの5名、ナティクシス・コーポレート&インベストメント・バンキングの5名を含む計42名の専門家を対象に実施されました。
調査回答者一覧(氏名、肩書、社名):
- Adam Abbas, Portfolio Manager and Co-Head of Fixed Income, Harris Associates
- Michael Acton, CFA®, Managing Director, Head of Research, AEW Capital Management
- Carl Auffret, CFA®, Fund Manager, European Growth Equity, DNCA Investments3
- Pierre Barral, Head of Absolute Return Portfolio Management, Natixis Investment Managers Solutions
- Benito Berber, Chief Economist for Latin America, Natixis Corporate & Investment Banking
- Axel Botte, Global Strategist, Ostrum Asset Management
- Michael Buckius, CFA®, Chief Investment Officer, Gateway Investment Advisers
- Craig Burelle, Senior Macro Strategies Analyst, Loomis Sayles
- Rafael Calvo, Managing Partner, Head of Senior Debt and Co-Head of Origination, MV Credit
- François-Xavier Chauchat, Global Economist and member of the Investment Committee, Dorval Asset Management
- Isaac Chebar, Fund Manager, European Value Equity, DNCA Investments3
- Elisabeth Colleran, CFA®, Portfolio Manager, Emerging Markets Debt Team, Loomis Sayles
- Mounir Corm, Deputy Chief Executive Officer and Founding Partner, Vauban Infrastructure Partners
- Michael Crowell, Co-Director of Macro Strategies and Director of Quantitative Research Risk Analysis, Loomis Sayles
- Carmine de Franco, PhD, Head of Fundamental Research, Ossiam
- Stéphane Déo, Head of Markets Strategy, Ostrum Asset Management
- Esty Dwek, Head of Global Market Strategy, Natixis Investment Managers Solutions
- Amber Fairbanks, CFA®, Portfolio Manager, Global Equity, Mirova US4
- Jean-Jacques Friedman, Chief Investment Officer, Vega Investment Managers3
- Pascal Gilbert, Fund Manager, Fixed Income and Global Macro, DNCA Investments4
- James Grabovac, CFA®, Investment Strategist, Municipal Fixed Income Team, Loomis Sayles
- Alexander Healy, PhD, Chief investment Officer and Portfolio Manager, AlphaSimplex Group
- Brian Horrigan, CFA®, Chief Economist, Loomis Sayles
- Jack Janasiewicz, CFA®, SVP, Portfolio Manager & Portfolio Strategist, Natixis Investment Managers
- Nicolas Just, CFA®, Deputy CIO and CEO, Seeyond
- Kathryn Kaminski, PhD, CAIA, Chief Research Strategist & Portfolio Manager, AlphaSimplex Group
- Brian P. Kennedy, Portfolio Manager, Full Discretion Team, Loomis Sayles
- Karen Kharmandarian, Chairman and Partner, Thematics Asset Management
- Ibrahima Kobar, Deputy CEO, Global CIO, Ostrum Asset Management
- Joseph Lavorgna, Chief Economist for the Americas, Natixis Corporate & Investment Banking
- Troy Ludtka, US Economist, Cross Asset Research, Natixis Corporate & Investment Banking
- Garrett Melson, CFA®, Portfolio Strategist, Natixis Investment Managers
- Jean-Charles Mériaux, Chief Investment Officer and Fund Manager, DNCA Investments3
- Jens Peers, CFA®, CEO and CIO, Mirova US4
- Cyril Regnat, Head of Research Solutions, Natixis Corporate & Investment Banking
- Lynne Royer, Portfolio Manager, Co-Head of Disciplined Alpha Team, Loomis Sayles
- Dirk Schumacher, Head of European Macro Research, Natixis Corporate & Investment Banking
- Lynda L. Schweitzer, CFA®, Portfolio Manager, Co-Team Leader of Global Fixed Income Team, Loomis Sayles
- Christopher Sharpe, CFA®, SVP, Portfolio Manager, Natixis Investment Managers
- Frank Trividic, Deputy Chief Investment Officer, Seeyond
- Hans Vrensen, CFA®, MRE, Managing Director and Head of Research & Strategy, AEW Europe
- Chris D. Wallis, CFA®, CPA, CEO, CIO, Senior Portfolio Manager, Vaughan Nelson Investment Management
ナティクシス・インベストメント・マネージャーズについて
ナティクシス・インベストメント・マネージャーズは、ポートフォリオ構築に対する鋭い洞察力に裏付けられたアプローチを通じて金融プロフェッショナルにサービスを提供しています。世界の20社を超える投資運用会社の専門能力を結集して、Active Thinking®のもと、あらゆる市場でより良い成果を追求するお客様をサポートする先見的なソリューションを提供しています。ナティクシスは世界トップクラスの資産運用会社のひとつ1で、運用資産総額2は1.3兆ドル超(1.152兆ユーロ)に達します。
パリとボストンに本社を置くナティクシス・インベストメント・マネージャーズは、ナティクシスの子会社です。パリ証券取引所に上場しているナティクシスは、フランス第2位の銀行グループBPCEの子会社です。ナティクシス・インベストメント・マネージャーズの関連資産運用会社は次の会社が含まれます。AEW; Alliance Entreprendre; AlphaSimplex Group; DNCA Investments;4 Dorval Asset Management; Flexstone Partners; Gateway Investment Advisers; Harris Associates; Investors Mutual Limited; Loomis, Sayles & Company; Mirova3; MV Credit; Naxicap Partners; Ossiam; Ostrum Asset Management; Seeyond; Seventure Partners; Thematics Asset Management; Vauban Infrastructure Partners; Vaughan Nelson Investment Management; Vega Investment Managers;5 and WCM Investment Management。投資ソリューションは、ナティクシス・アドバイザーズおよびナティクシス・インベスト・ソリューションを通じても提供されます。管轄地区によりご提供できない運用戦略もございます。詳細は、当社ウェブサイト(im.natixis.com )およびLinkedIn(linkedin.com/company/natixis-investment-managers)をご覧ください。
ナティクシス・インベストメント・マネージャーズは、ナティクシス・ディストリビューションL.P.ならびにナティクシス・インベストメント・マネージャーズS.A.(ルクセンブルク)、ナティクシス・インベストメント・マネジャーズ・インターナショナル(フランス)、およびその傘下の欧州およびアジアにおけるすべての販売関連のサービス会社を含みます。ナティクシス・ディストリビューションL.P.は、ナティクシス・インベストメント・マネージャーズの関連会社がアドバイザリー・サービスを提供するさまざまな米国登録投資運用会社のための限定目的のブローカー・ディーラーおよび関連サービス会社です。
- Cerulli Quantitative Update: Global Markets 2020によれば、ナティクシス・インベストメント・マネージャーズは2019年12月末時点の受託運用資産(AUM)規模で世界第17位となっています。
- AUMは2021年3月末現在の数値(1兆3,548億ドル)。これには、想定資産、資産運用サービスを提供している資産、グロス資産、少数持分関連会社の資産、ナティクシス・インベストメント・マネージャーズの関連会社が資産運用サービスを提供しているその他の規制対象外のAUMが含まれている可能性があります。H2Oアセット・マネジメントは除きます。
- 米国では、Mirova US, LLC(Mirva US)を通じて業務を展開。2019年4月1日以前は、MirovaはOstrum Asset Management US, LLC (Ostrum US)を通じて業務を展開。
- DNCA Financeのブランド。
- ナティクシス・ウェルス・マネジメントの完全子会社。
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