「水引き」のものづくりの技術を活かし開発に成功 日本初の「紙の取っ手」FSC®認証製品化に伴い6月上市
廃棄時分別不要、オール紙製の紙袋が手軽に導入可能に
今回上市するペーパースピンドル(PAT.P)は、適度な堅さでコシがあり自立するため、通常の製袋機(汎用機)で自動製袋が可能(※2)です。また、小ロットから対応可能なため、今まで導入を見送っていた製袋メーカーにとって“オール紙製の紙袋”を商品化しやすくなり、企業やブランドの環境配慮も推進できる製品と考えております。
※紙袋を製造するのが製袋メーカーで、本リリースにおける製袋機とは、紙袋の本体と取っ手を自動で付ける機械を指します。
※1:FSC®-C143206 FSC®(Forest Stewardship Council®: 森林管理協議会)は、環境保全の点から見て適切で、社会的な利益に適い、経済的に継続可能な、適切な森林管理を広めるための国際的な認証制度です。
※2:テストにより確認済みですが、すべての製袋機ではないため導入時の事前テストは必要です。
■紙袋の取っ手の現状
【紙の取っ手の難しさ】
現在市場にある紙製の丸紐は海外製(主に中国)で、「編み紐タイプの丸紐」が主流です。中国製の「編み紐タイプの丸紐」は、多くの製袋メーカーが使用している一般的な製袋機では自動製袋ができず、手付け(紙袋本体に穴をあけて取っ手になる紐を通して結ぶ)をした紙袋を輸入することが多くなっています。
■ニッチトップメーカーとして開発にチャレンジ
わら縄ロープ生産からスタートした松浦産業は、1966年から本格的にプラスチック業界に進出し、様々な業界の紙袋の取っ手を作っています。世界的なSDGsの広がりの中、「紙製の丸紐」を自社製造して国内の製袋メーカーに供給できれば、新しい事業として拡大が見込めると考え、開発に着手しました。
紙の丸紐の現状課題を踏まえると、より多くの製袋メーカーに導入を検討していただくには汎用機で自動製袋できることが第一条件であり、そのために機械適性に優れた自立性がある(強度があり、形状や太さが安定していて使いやすい)「組み紐タイプの紙の丸紐」をつくる必要がありました。そこで出会ったのが「水引き」の技術でした。祝儀袋などの表側に用いられる「こより」のような飾り紐である水引きの特性を生かし、強度などの品質と高級感を兼ね備えた製品をつくるため試行錯誤を繰り返し、5年の歳月を経て今年、自社製造・国産初・組み紐タイプの紙の丸紐「ペーパースピンドル」の開発に成功しました。
※ペーパースピンドル(PAT.P)のロゴは水引きを表現しています(略称:ペパス)
今後、ペーパースピンドルは紙袋の取っ手として製袋メーカーに供給していきます。海外製に比べて導入コストは割高にはなりますが、大量仕入・長期保管による変形や劣化リスクなどを考えると、小ロット対応が可能な当社製品は、最終的にはコスト面でも優位性が高いと考えております。また、企業やブランドに対しては、環境配慮への取り組みとしての採用打診・アピールも可能で、生活者においては、オール紙製のため分別不要で捨てることができるなどのメリットもあるなど、好循環が生まれると確信しております。
なお、本製品の開発費捻出のため、新かがわ中小企業応援ファンド等事業が行う令和5年度の助成対象事業に申請し、採択されました。
・助成メニュー:新分野等チャレンジ支援事業
・事業名:紙糸を使った紙袋用の組み紐タイプの丸紐(とって)の開発
【製品に関するお問い合わせ先】
松浦産業株式会社
本社営業部 TEL:0877-62-2555
東京営業部 TEL:03-5445-1567
■ここ30年で激変した包装資材の状況
日本が高度経済成長を遂げ大量生産・大量消費社会となり、企業などの工場や家庭から出るゴミ問題が深刻となったことを受け、1995年に容器包装リサイクル法(正式名称:容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律)が制定され、容器包装の分別や回収などのリサイクルシステムの構築・包装材の見直しが行われました。2005年の愛知万博(愛・地球博)は「自然の叡智」をメインテーマに、地球環境の問題に取り組む万博と位置づけられました。松浦産業では、近い将来必ず環境配慮を最優先としたプロダクトの時代がくると、この時期に「和紙ハンドル」という紙製取っ手を市場に投入しました。しかし、20年前は環境よりもコスト重視の企業がまだ多く、通常の取っ手(アクリルスピンドル)よりも3~4倍のコストがかかる和紙ハンドルはなかなか採用されることがなく、廃盤となりました。
そして2015年、国連サミットでSDGsが採択され海洋プラスチックのごみ対策などによりプラスチックのパッケージはグローバル企業やハイブランドを中心に加速度的に見直されることになりました。世界的にスマートフォンなどを手掛ける大手IT企業が先んじて2017年から紙製の丸紐を紙袋に採用、以後各社・各ブランドに拡大しました。
こういった世界的な環境配慮に対する流れを受け、日本でも2020年にレジ袋有料化義務付け(容器包装リサイクル法の省令改正)が始まり、2022年にはプラスチックごみの削減やリサイクル強化に向けた「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」、いわゆる“プラ新法”が施行されるなど、SDGsの達成に向けた取り組みが続いています。レジ袋の有料化は生活者にとって大きなインパクトとなり、紙袋と取っ手が別素材の場合は分別して捨てること推奨されるなど、様々な変化が起こっています。
松浦産業では、従来はプラスチック製であった箱に取り付けられる取っ手を、紙製にした『クラフトハンドル』を開発し、2021年から取り扱いを開始しています。商品を梱包する箱自体に取り付けられていてそのまま持ち帰ることができるため、紙袋を使用する必要もなく、オール紙製で分別不要で廃棄可能なことから、洋菓子メーカーや楽器製造の国内トップブランドなどで続々採用されています。
■会社概要
会社名:松浦産業株式会社
代表取締役社長:松浦公之
本社所在地:香川県善通寺市上吉田町270-1
創業:1932年4月25日
資本金:8,000万円
従業員数:50名(2023年2月現在)
事業内容:PP・PE延伸テープ及びロープ、紙袋用把手、タックハンドル、SP(販促商品)、成型品
ホームページ:https://matsuura-sangyo.co.jp
1932年にわら縄ロープ生産からスタートした松浦産業株式会社は、1966年からPP・PE延伸ロープ生産を始め本格的にプラスチック業界に進出しました。現在は紙袋用取っ手の国内トップシェアメーカーとして、食品・アパレル・小売など様々な業界の紙袋の取っ手やタックハンドル(ダンボールなどに直接貼るシールタイプの取っ手)を生産しています。また、プラスチックの成型技術を生かして、大型テーマパークのプラスチック容器や企業の販促商品なども生産しています。
「私たちは、幸せを運んでいる。」をビジョンに掲げ、松浦産業株式会社は創業から約90年、皆さまの直接手に触れる取っ手という商品を作ってまいりました。今後は、ニッチトップメーカーとして多様化する取っ手ニーズに対応しながらも、人々にとってより身近な衛生用品やプラスチック成型品事業、D2C事業に注力していきます。2021年にはトイレのふた裏に貼る消臭・抗菌・抗ウイルスシートを使った「アドレット®」による広告事業をスタート。2023年にはうどんが食べやすいよう人間工学に基づいて設計したプラスチック製容器「『とって』屋さんが作った『とって』おきのうどん鉢」で自社初のクラウドファンディングに挑戦、開発のきっかけや「取っ手」繋がりでの商品開発が各メディアで話題となった。
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