ビジネスシーンでの「1on1 MTG」、「本音」を阻む見えない壁-半数未満しか本音で語れず、信頼・評価への影響・雰囲気が要因に
部下の4割弱は1on1 MTGで「何を話してよいかわからない」と回答
MENTAGRAPH株式会社(本社:東京都中央区、JT 100%連結子会社)は、22~65歳の全国のビジネスパーソン724人(管理職300名・非管理職424名)を対象に、マンツーマンで行う形式の1on1 MTGについての実態データを集計しました。本リリースでは、「本音で語れない1on1 MTG」という構造的課題を明らかにします。

本調査は、部下の成長支援や不安・不満の解消を目的に導入が進む1on1 MTGについて、その実効性と運用上の課題を多面的に把握することを目的に実施しました。今回は、「1on1 MTGでの率直度合い」「1on1 MTG話したいこと」という観点から、上司・部下それぞれの実感や認識のギャップを明らかにします。
本調査の結果、「1on1 MTGでどの程度率直に話せていますか?」という質問に対し、「率直に話せている」と回答した部下は半数以下にとどまることがわかりました。部下が上司に対して「すべて率直」と答えたのは11.3%、「重要なことはほぼ話せている」は33.0%、「一部は話せているが控えめになることもある」は34.4%でした。一方、上司側の自己評価では、部下が「すべて率直」と答える割合は10.0%、「重要なことはほぼ話せている」は42.7%、「一部は話せているが控えめ」は32.3%となり、上司の方が会話の深さをやや楽観的に評価しやすい傾向がうかがえます。すなわち、上司は“深い対話ができているつもり”でも、部下側は必ずしも同様に受け止めていないという認識ギャップが存在します。
さらに、「率直に話せない理由」についての質問では、複数回答で「何を話してよいかわからない」(38.1%)「上司との信頼関係が十分でない」(31.4%)、「人事評価に影響する可能性がある」(27.1%)、「話した内容が他の人に伝わる可能性がある」(24.6%)に加え、「話しやすい雰囲気でない」(16.5%)といった回答が上位に並びました。評価や守秘への不安、場の雰囲気の硬さに加えて、そもそもアジェンダ設計が不十分なために“話題の入口”が見つからないという運用上の課題が浮き彫りになっています。

1on1 MTGで話したいことの各項目に対して複数回答で質問したところ、多くの項目で上司・部下の傾向が概ね一致しつつも、強調点に差がみられました。全体としては上司の方が各選択肢の回答比率が高い傾向にあり、対照的に部下は「特になし」の割合が高く(部下17.9%、上司10.3%)、そもそも何を話すべきかの設計や導入に課題がある可能性が示唆されます。具体的には、「業務プロセスや手順に関する疑問相談」(上司40.0%、部下28.5%)や「リソース不足や時間管理の問題」(上司35.0%、部下24.3%)など、業務運用寄りのテーマで上司の選択率が大きく上回る一方、部下側は「キャリアパスや将来の方向性」(部下29.5%)など、自己の将来に関わる話題の優先度が相対的に高いという結果になりました。

ワークライフバランスについては、部下では5位(27.6%)に位置づくのに対し、上司では10位(28.3%)と順位に大きな差が出ています。上司側では他の業務寄りテーマが相対的に上位を占めるため、ワークライフバランスが議題として後回しになりやすい構造になっていることが推察されます。すなわち、上司は業務の進行・プロセス・KPIに重心が置かれやすく(上位:現行業務40.7%、プロセス40.0%、KPI39.3%)、部下は業務テーマに加えてキャリアやワークライフバランスといった“自分の将来・生活基盤”に関わるテーマへのニーズが強いという結果になり、上司と部下の間で認識ギャップが生まれている可能性がわかりました。
1on1 MTGで話したいことランキング(上司)
1位: 現在の業務の進行状況や完了予定について(40.7%)
2位: 業務プロセスや手順に関する疑問相談(40.0%)
3位: 目標達成度やKPIの確認について(39.3%)
4位: プロジェクトの現状報告について(35.0%)
5位: リソース不足や時間管理の問題(35.0%)
6位: 他部署との連携で困っていること(32.3%)
7位: キャリアパスや将来の方向性について(32.0%)
8位: 職場の人間関係について(32.0%)
9位: 業務スキル向上のための相談(30.7%)
10位: ワークライフバランスについて(28.3%)
11位: 自分の強み弱みや成長について(27.3%)
12位: 会社や組織への要望提案(18.3%)
13位: 特になし(10.3%)
1on1 MTGで話したいことランキング(部下)
1位: 現在の業務の進行状況や完了予定について(37.7%)
2位: 目標達成度やKPIの確認について(30.2%)
3位: キャリアパスや将来の方向性について(29.5%)
4位: 業務プロセスや手順に関する疑問相談(28.5%)
5位: ワークライフバランスについて(27.6%)
6位: プロジェクトの現状報告について (27.4%)
7位: 職場の人間関係について(25.0%)
8位: 業務スキル向上のための相談(24.8%)
9位: リソース不足や時間管理の問題(24.3%)
10位: 他部署との連携で困っていること(23.8%)
11位: 自分の強み弱みや成長について(19.6%)
12位: 会社や組織への要望提案(18.4%)
13位: 特になし(17.9%)
本調査から、1on1 MTGは制度として定着し必要性も高い一方で、率直に話せている部下は半数未満にとどまり、信頼関係・評価への影響・雰囲気などが阻害要因となっていることが明らかになりました。さらに、話したい話題におけるは上司が業務運用(進行・プロセス・KPI)に寄り、部下はキャリアやワークライフバランスを相対的に重視しており、このズレが“本音で語られない1on1 MTG”を生んでいる可能性があります。
企業においては、評価面談との制度上の切り分けと守秘の明文化を前提に、ワークライフバランスを含むテーマの定常アジェンダ化、導入時の場づくりを通じて、量ではなく質に軸足を移した“本音を引き出す1on1 MTG”への再設計が求められます。
調査手法:インターネットによるアンケート調査
調査期間:2025年6月27日〜7月3日
分析期間:2025年10月15日~11月15日
調査対象者:20〜65歳のビジネスパーソン724人(管理職300人・非管理職424人)
MENTAGRAPH株式会社について
MENTAGRAPH株式会社は、働く人の心を可視化し、職場全体の適切な休憩取得を推進と、最適なマネジメントを支援する「Mental Batteryサービス」をBtoB向けに展開する企業です。日本たばこ産業(JT)のコーポレートR&D組織「D-LAB」から誕生し、「心の豊かさ」を軸にストレスや疲労の見える化を通じた“心のケア改革”を推進しています。
主力プロダクトは、装着型センサー「Mentoring」、アプリによる休憩レコメンド、ダッシュボードによる組織全体のストレス状態の管理などで構成される「Mental Battery」サービス、これにより、従業員の疲労やストレスをリアルタイムで数値化し、適切な休憩タイミングを可視化。管理職・人事は組織的なケアに活用可能です。
従来のストレスチェックでは補えなかった“継続的かつ高精度な計測”を実現し、従業員満足度・業務効率・チームパフォーマンスの向上へとつなげます。企業文化として「休憩を取ること」が自然となる社会の実現を目指しています。
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