働き方改革は「オフィス変革」から!オフィスでは作業の特性に適した空間を設けることが重要! 実験監修:杏林大学名誉教授 古賀良彦 ~イトーキ調査~
~生産性の向上には“オフィスの構造の多様性”が鍵~
測定する場は、視覚および聴覚環境を調整した3つの空間(クローズ空間・セミクローズ空間・オープン空間)を設定の上、それらの空間で2種類の異なる作業を実施し、それぞれの空間が与える効果を測定しています。
・クローズ空間(視覚・聴覚環境の影響が少ない)
・セミクローズ空間(視覚・聴覚環境の影響が無視できない)
・オープン空間(視覚・聴覚環境の影響が大きい)
【結果】作業の特性に適した空間を選べば脳が活性化される |
【実験結果】 ■オープン空間では、特徴的な脳血流量の変化が見られなかった ⇒視覚・聴覚環境の影響が大きいオープン空間で作業を行った場合、クローズおよびセミクローズ空間と比較し、脳血流の変化は少なかった。 ■ワーカーが複数の情報などから複合的な判断が必要な作業では、クローズ空間で脳が活性化 ⇒複合的な判断が必要な作業(主に前頭葉を使う作業)を行った結果、クローズ空間で最も前頭葉の 脳血流量が上昇した。 ■ワーカーの単一作業では、セミクローズ空間で脳が活性化 ⇒単一作業(主に左脳を使う作業)では視覚・聴覚環境の影響がある程度無視できないセミクローズ空間で左脳の脳血流量が最も上昇した。 |
※本リリースに関する内容をご掲載の際は、必ず「イトーキ調べ」と明記してください。
【実験概要】
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●実験施行日
2018年5月26日、27日
●監修・実施
古賀良彦
●被験者
20歳代~40歳代 健康な男女計6名(男性3名 女性3名)
●計測機器
株式会社スペクトラテック社製の「Spectratech OEG-SpO2」を被験者の頭部に装着し、テスト中の前頭部16部位の脳血液量(酸素化ヘモグロビン(oxy-Hb))を測定分析。酸素化ヘモグロビン濃度の変化を観察し脳の活動状態を検証。
●施行したテスト
①ウィスコンシンカードソーティングテスト(主に前頭葉を使う作業)
検者が赤、緑、黄、青の1~4個の三角形、星型、十字型、丸からなる図形のカードを示しながら、被験者のパフォ
ーマンスを評価する検査。検者は、被験者に対して色・形・数の3つの分類カテゴリーのいずれかに従って、1枚ず
つカードを提示し、被験者は、それがどのカテゴリーに属するのかを類推し、見合ったカードを示す。
②クレペリンテスト(主に左脳を使う作業)
横一列に並んだ隣り合う1桁の数字(3〜9)の足し算を順次すばやく繰り返すテスト。
●実験対象空間
①クローズ空間(視覚・聴覚環境の影響が少ない空間)
着座時に頭部まで隠れる壁に四方を囲まれた狭い空間であり、雑音が聞こえない場所。
※計測時は、入口は閉めきります。
②セミクローズ空間(視覚・聴覚環境の影響が無視できない空間)
着座時に頭部まで隠れる壁に囲まれているが、ある程度の広さと窓があり周囲の音が聞こえる場所。
③オープン空間(視覚・聴覚環境の影響が大きい空間)
壁がなく、人の声をはじめ様々な周囲の音が聞こえる広い場所。
●検証方法
・被験者は上記3つの空間(クローズ、セミクローズ、オープン)で、
それぞれウィスコンシンカードソーティングテストおよびクレペリンテストを実施。
・3つの空間の実験順は被験者ごとに順番を入れ替えて検証。
・3つの空間でテストを受けている際の被験者の脳血流量を測定し、脳の活性度を比較。
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■前頭葉の機能はクローズ空間で最も活性化
ウィスコンシンカードソーティングテスト(主に前頭葉を使う作業)を行った際に、血流量が最も増加したのは「クローズ空間」でした。
このようにカードの分類、すなわち判断力が求められるテストでは、「クローズ空間」といういわば個室空間において最も脳が活性化することがわかりました。これは周囲の視覚や聴覚刺激などにより注意が阻害されることなく、集中して前頭葉を機能させることができることを示すものです。
■左脳の機能はセミクローズ空間で最も活性化
クレペリンテスト(主に左脳を使う作業)を行った際、血流量が最も増加したのは「セミクローズ空間」でした。
簡単な計算などの単純作業は「セミクローズ空間」という適度に開放感がある空間において、最も左脳が活性化することがわかりました。これは、ほどよくリラックスしながら繰り返し作業を行えたためと考えられます。
■オープン空間では、特徴的な脳血流量の変化は見られなかった
視覚および聴覚という、注意を妨げる要因が大きいため、集中して一定の作業を行うには不利な可能性があります。しかし、日常の仕事では密接にコミュニケーションを取る必要があることが多く、そのような場合には当然コミュニケーションを図るのに最も有用なオープン空間の利用が望ましいと考えられます。
【考察】
今回の実験では、オープン空間はどの作業も脳血流の顕著な変化が見られず、クローズ空間やセミクローズ空間で、作業内容により脳血流が活性化することがわかりました。
生産性の向上が求められている現代の職場環境では、全てを自席で行うのではなく、空間に着目し、それらを仕事に応じて上手に使い分けることが大切であると考えられます。
■杏林大学名誉教授 古賀良彦コメント
仕事を行う空間は、これまでは受け身的に与えられたもので、その条件の中で作業を進めるのは当然のことと考えられていました。「心頭滅却すれば火もまた涼し」という格言があり、必死になってことに当たれば周囲の環境は無視できるというような考え方がありました。
果たして、そうでしょうか。誰もが常に仕事を夢中なって続けられるわけではありません。仕事を行う空間では、話し声や雑音、照明の明るさ、行き交う人、匂い、温度や湿度などの様々な環境要因で満たされています。その中で、単独あるいは仲間や取引先とコミュニケーションをとりながら効率的に仕事を進めることが求められます。
そう考えると、職場の空間の大きさとそれに伴う環境条件が仕事の能率や精度に大きく影響するのではないかと考えるのがむしろ自然です。
今回の結果は、仕事の特性に合った空間を適切に選ぶことによって、その仕事を遂行する能力が向上すること、すなわち生産性をアップさせることができることを脳科学の立場から実証したものです。
この実験は、従来あまり注目されていなかった職場の空間というものが、仕事を行う際の脳の働きに大きく影響を与えるということを明確に示したものであり、職場環境の整備には空間の設定が必須であるということを示したものです。
【古賀良彦プロフィール】
昭和21年東京都世田谷区に生まれる。昭和46年慶應義塾大学医学部卒業後、昭和51年に杏林大学医学部精神神経科学教室に入室。その後平成2年に助教授、平成11年に主任教授となり、現在は杏林大学名誉教授。日本催眠学会名誉理事長、日本ブレインヘルス協会理事長、日本薬物脳波学会副理事長、日本臨床神経生理学会名誉会員。
現在イトーキではこの実験結果と様々なアンケート、これまでの知見を相関させさらに深く追求しています。「オフィス環境が活動を変化させ生産性を向上させる」具体的なエビデンスを元に、『明日の「働く」をデザインする。』を展開して参ります。
【株式会社イトーキ会社概要】
株式会社イトーキは、2018年秋頃に東京オフィスを東京・日本橋に移転・集約いたします。生産性や効率性、創造の向上を図ることで『明日の「働く」をデザインする。』というミッション・ステートメントを具現化し、オフィス環境で働き方改革を実現いたします。
なお、イトーキ東京イノベーションセンターSYNQA(東京都中央区京橋)につきましては、引き続き社内外を問わず活発に交流し、新たな知の創造を喚起する空間として活用いたします。
■社名: 株式会社イトーキ
■設立: 1950年4月20日
■所在地: 東京都中央区入船3-2-10
■社員数: 1,964名(平成29年12月末現在)
■資本金: 5,277百万円
■代表者: 代表取締役社長 平井 嘉朗
■事業内容 :【オフィス関連事業】ワークステーションシステム/デスク/ローパーティション/
事務・会議チェア/テーブル/保守サービス業務など
【設備機器関連事業】オフィス建材内装設備/移動間仕切・可動間仕切/セキュリティ設備機器/
工場・物流設備機器/商業施設機器/研究施設機器など
【その他】 学習デスク・チェア/書斎・SOHO用家具など
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