革新的なビジネスで中南米・カリブ地域の開発課題解決に挑む
~JICA、日本のスタートアップの挑戦を支援する「TSUBASA」プログラムにおいて8社の採択を決定~
国際協力機構(JICA)は、2025年7月14日、「オープンイノベーションチャレンジTSUBASA」の対象として中南米・カリブ地域へのビジネス展開を検討する日本のスタートアップ企業8社を採択しました。今後6カ月間にわたり、採択企業への事業展開支援を行います。
「TSUBASA(Transformational Start Ups’Business Acceleration for the SDGs Agenda)」プログラムは、JICAと米州開発銀行グループのIDB Labが共同で提供するもので、中南米・カリブ地域の開発課題解決への貢献を目的としています。本プログラムでは、これまでに同地域への進出を目指す日本企業27社を支援してきました。
中南米・カリブ地域は、社会格差や森林伐採、環境汚染、上下水道整備の遅れ、医療へのアクセス不足など様々な開発課題を抱える一方で、人口は約6.5億人、名目GDP5.8兆ドルを超え、ASEANを上回る経済規模を誇り、多くのビジネスチャンスが眠っています。JICAとIDB Labは、日本のスタートアップ企業が同地域での事業展開を通じて開発課題に取り組むことを支援しています。
今回第4期目となるプログラムでは、企業・消費者向けビジネス展開を目指すBusinessコースと、政府向けビジネス展開を目指すGovernmentコースを設け、2025年1月27日から4月15日にかけて募集しました。
採択された企業は、今後6か月間にわたってJICA・IDB Lab・コンサルタント企業による助言や現地ネットワークの紹介、現地渡航などのサポートを受け、事業化を目指します。また、特に有望なビジネスに対しては、IDB LabとJICAが提供する資金支援や実証実験の機会も活用して支援し、事業拡大に繋げていきます。
■採択企業一覧
【Businessコース】

企業名 |
想定対象国 |
想定される課題 |
提案 |
所在地 |
---|---|---|---|---|
ブラジル |
農業:気候変動による影響、環境負荷の高い農業慣行、低い生産性、非効率的な資源利用、脆弱なサプライチェーンなど。 |
IoTセンシングと衛星画像解析を組み合わせたスマート農業支援ビジネス |
東京都 |
|
エクアドル |
水産:環境変化(水温の上昇や酸性化、バクテリアの活性化等)による生育環境の悪化と、その環境変化に即した薬品等の不足。 |
Far UVC(殺菌作用のある紫外光の一種)テクノロジーと水質データによるエビ養殖DX事業 |
東京都 |
|
ペルー・パラグアイ |
農業:干ばつ問題による農作物収量減や、肥料価格高騰による営農コスト増、作物残渣など。 |
有機ポリマーの農地効果検証および現地製造検討 |
沖縄県 |
【Governmentコース】

企業名 |
想定対象国 |
想定される課題 |
提案 |
所在地 |
---|---|---|---|---|
パラグアイ |
衛星データ利活用:各セクターにおける衛星データの利活用の推進が求められている中で、利活用の為のアプリケーション等の開発が不十分。 |
環境・気候変動対策に調和した新たなビジネス展開を可能とする地理空間情報利活用プラットフォームを活用したソリューションの共創 |
東京都 |
|
ペルー |
災害対応:地震や気候変動による災害リスクが高い地域で、不法建築等も含め災害への対応強化が必要。 |
国産eVTOL(垂直離着陸固定翼)型ドローンとクラウドを活用した災害対応支援 |
東京都 |
|
チリ |
障害者支援:義肢装具のニーズに対して、義肢装具を製作できる病院の数や人材が不足。 |
3D技術を活用した義足デジタル製造技術の導入 |
東京都 |
|
メキシコ |
自動車産業:自動車産業における人材不足や高い離職率、電力不足等の課題により、産業の成長がスタック。 |
製造業向けAIサービスの提供を通じた自動車産業の強化 |
大阪府 |
|
エクアドル |
カカオ産業廃材利活用:主要輸出産品であるカカオ関連品の生産過程等で外皮等の多くの農業廃棄物が発生。 |
カカオカスカラ・ハスクを活用したバイオプラスチック製品化事業 |
神奈川県 |
■TSUBASAについて
「TSUBASA(Transformational Start Ups’Business Acceleration for the SDGs Agenda)」は、革新的なアイデアやビジネスモデル、テクノロジーを有する日本のスタートアップ企業と共に、中米・カリブ地域での新たな開発協力の形を創る取り組みです。50年以上に渡る中南米・カリブ地域各国における事業の中で築いてきたネットワークや知見を持つJICAと、米州開発銀行(Inter-American Development Bank:IDB)グループのイノベーション・ラボであるIDB Labが連携し、日本のスタートアップ企業による革新的なビジネスを通じて、中南米・カリブ地域における開発課題(地域格差、森林減少や環境保全、水資源管理、保健・医療へのアクセス等)に取り組みます。
■IDB Labについて
IDBラボは、米州開発銀行グループのイノベーションおよびベンチャーキャピタル部門で、中南米・カリブ地域における社会的包摂、環境対策、並びに生産性向上に向けて革新的なビジネスを支援しています。資金、ノウハウ、ネットワークを活用しつつ、特に初期段階にあるスタートアップへの支援に注力しており、エコシステムの育成、革新的な製品・サービスの事業化、事業規模の迅速な拡大、引いては新規産業の育成等を目指しています。1993年の設立以来、中南米・カリブ地域の26カ国で支援を実施しており日本はIDB Labにとって最大の出資国です。詳しくはhttps://bidlab.org/enをご覧下さい。
■独立行政法人国際協力機構(JICA)について
JICAは、開発途上国が直面する課題を解決するため、技術協力、有償資金協力、無償資金協力など日本の政府開発援助(ODA)を一元的に担う二国間援助の実施機関で、150以上の国と地域で事業を展開しています。 国際社会の課題は日本とも密接に関係しています。国内外のパートナーと協力してそれらの解決に取り組み、世界の平和と繁栄、日本社会の更なる発展に貢献します。
詳しくはhttps://www.jica.go.jp/index.htmlをご覧ください。
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