ベネッセ シニア・介護研究所 「『マジ神AI』実装のための介護職の情報収集の様相の解明:アイトラッキングに基づく分析」と題し、2023年度人工知能学会全国大会(第37回)にて発表
経験の浅い介護職が「マジ神AI」を活用することによって、多角的に情報収集する「マジ神」に近づけると示唆
弊社では、専門性の高い介護職が、日々蓄積されるご入居者様の様々なデータを利活用し、効果的かつ効率的に質の高い介護サービスを提供する際のノウハウを援用し、経験の浅い介護職であっても、専門性の高い介護職に近い介護サービスの提供を可能とする「マジ神AI」の開発を進めています。(注2)
今回の検証は、プロトタイプ版のシステムを用いて介護職がご入居者様の情報収集をする際の特徴を明らかにし、マジ神との違いを把握することを目的に行いました。マジ神3名、経験豊富な介護職18名、経験の浅い介護職11名の計32名の視線データを分析したところ、以下のような特徴が見いだされました。
①マジ神は「マジ神AI」のデータを活用し、注目すべき変化があった時期を同定したうえで、その時期の具体的な様子を多角的に把握するという見方をしている
②経験の浅い介護職は、日々の生の記録から注目すべき時期を探索し、個別データを見比べて変化の要因を分析するという見方をしていることが多く、各種データをまとめて俯瞰できる「マジ神AI」を活用していないケースも散見された
➂経験豊富な介護職のうち、普段から「マジ神AI」を活用している介護職の情報収集の様相はマジ神に類似していた
マジ神に近い見方をしていた介護職の中には、マジ神からデータの見方について指南を受けていた者もおり、「マジ神AI」の利用方法の教育によって、マジ神に近い情報収集が可能となることが示唆されました。
図:情報収集におけるマジ神と経験の浅い介護職の違い
上記成果は、2023年6月6日~9日に熊本城ホールにて開催された2023年度人工知能学会全国大会(第37回)において、「『マジ神AI』実装のための介護職の情報収集の様相の解明:アイトラッキングに基づく分析」(筆頭発表者:福田亮子)と題して発表いたしました。また、得られた知見はマジ神AIのユーザーインターフェイス等の改善にも活かされています。
ベネッセスタイルケアは、これからも「その方らしさに、深く寄りそう。」を実現するための取り組みを推進するとともに、その効果を検証し広く発信してまいります。
注1:ベネッセスタイルケアでは、高い専門性と実践力をもつ介護の匠を「マジ神」として認定する社内資格制度を設けています。マジ神には「認知症ケア」「安全管理と再発防止」「介護技術」の3つがあり、資格を取得した社員には資格手当も支給されます。マジ神たちが培った知見を言語化し、研修を体系化することで、次のマジ神の育成を行っています。
注2:当該事業は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の令和3年度「ロボット介護機器開発等推進事業(開発補助)」の研究課題「AIによるBPSD要因及び”いつもと違う”予兆検知を通じ真の生産性向上を実現する介護業務支援システムの開発」として採択されたものです。
ベネッセ シニア・介護研究所
https://www.benesse-style-care.co.jp/lab/
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