多臓器において腺癌を高精度に検出する病理AIの開発に成功~ PLOS ONEに論文が掲載 ~

メドメイン株式会社

デジタル病理支援ソリューション「PidPort」を提供するメドメイン株式会社 ( 本社:福岡県福岡市、代表取締役CEO: 飯塚 統、以下「メドメイン」)は、Deep Learning(深層学習)の学習様式である「弱教師あり学習」を用いることで、多臓器(胃・大腸・肺・乳腺・リンパ節)の病理組織デジタル標本において、腺癌を高精度に検出する人工知能の開発に成功しました。
また、この開発に関する論文をPLOS(https://plos.org)が発行するPLOS ONEに投稿し、2022年11月23日に論文が掲載されたことをお知らせします。(掲載箇所:https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0275378


■本研究成果の概要
多臓器の病理組織デジタル標本において、腺癌を高精度に検出する人工知能の開発に成功しました。

■本研究の背景
これまで、われわれは、特定の臓器(例えば胃など)における腺癌やその亜型の分類・検出を可能にする人工知能を開発してきました。これらの研究的取り組みは、所謂「特化型」の人工知能開発とも理解できます。すなわち、胃腺癌を検出するモデルは、胃の組織にしか高精度に適用できませんでした。しかし、実際には、「①原発巣が不明であるが、観察している臓器の組織に転移を強く疑う癌が存在していること」や、「②癌のリンパ節転移のスクリーニング」の様に、原発巣を限定しない腺癌の転移の有無を膨大なリンパ節検体からスクリーニングする必要があります。このような場合においては、従前の方法で開発した人工知能は、学習内容が汎用的でないために適用できないことがあります。

本研究では、多臓器における多彩な形態を呈する腺癌を、デジタル化された病理組織標本において高精度に検出することを目的に、2020年より一貫して継続的に発表している弱教師あり学習を用いた開発手法(文献例:Scientific Reports, 10: 9297, 2020)によって人工知能の開発を行いました。

■本研究の内容
本研究では、国内の複数の医療機関から、胃・大腸(内視鏡生検)、肺(TBLB:経気管支肺生検)、乳腺(針生検)、リンパ節(郭清)のHE染色病理組織標本の提供を受け、教師用データには、「胃、大腸、肺、乳腺」の標本のみを用い、弱教師あり学習(weakly supervised learning)のみを行うことで、病理医によって精密かつ大量にアノテーションされた教師用データを用いることなく、腺癌を広汎な臓器で検出する深層学習型人工知能を開発しました。また、開発した人工知能は、教師用データとは異なる検証症例(胃、大腸、肺、乳腺、リンパ節)を用いて精度検証を行いました。重要なポイントは、リンパ節については一切の情報を学習時に付加していないことです。

■本研究の成果
開発した腺癌検出を行う人工知能モデルを検証したところ、胃・大腸・肺・乳腺においてROC-AUCが0.912~0.978、リンパ節においては、ROC-AUCが0.962という高い精度が得られました。また、ヒートマップにより表示された人工知能が検出した腺癌を示唆する領域は、病理医による検証の結果、妥当であることが確認されました。リンパ節においては、学習時に情報を一切付与していないため、本研究で開発した人工知能は、ある程度の汎用性を持って、「腺癌」という形態的特徴を認識して検出できたことが示唆されます。
 


本研究における最大のインパクトは、ある程度広汎な理解として、「腺癌の形態的特徴」を検出する深層学習型人工知能の開発に成功したことです。さらに、本研究成果で得られた人工知能は、リンパ節に転移した腺癌を高精度にスクリーニング・検出する能力を有しており、転移リンパ節のスクリーニングなどに利用できると考えられます。本研究では、弱教師あり学習が、ある程度汎用性の高い深層学習型人工知能の開発に適していることを強く示唆しています。

今回開発した人工知能モデルの検証を、更に複数の施設ならびに大規模症例にて行い、検証を進めるとともに、胃・大腸・肺・乳腺・リンパ節以外の臓器においても、検証を進めてまいります。また、本研究成果を基盤として、「汎用性」という概念を補強していく人工知能の開発も進めてまいります。

■原著論文
▼論文タイトル: Weakly supervised learning for multi-organ adenocarcinoma classification in whole slide images
▼日本語訳: 多臓器における腺癌検出を病理組織デジタル標本で可能にする弱教師あり学習を用いた人工知能の開発
▼DOI: https://doi.org/10.1371/journal.pone.0275378

■著者・所属
<メドメイン株式会社>
常木 雅之、Fahdi Kanavati
※この成果は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業の結果得られたものです。

■会社概要
【会社名】メドメイン株式会社 (Medmain Inc.)
※経済産業省 J-START UP 選出企業  https://www.j-startup.go.jp/startups
【設立日】2018年1月11日
【事業内容】医療ソフトウェア・クラウドサービスの企画・開発・運営および販売
【代表取締役/CEO】飯塚 統
【所在地】[東京オフィス] 東京都港区南青山2-10-11 A青山ビル2F / [福岡オフィス] 福岡県福岡市中央区赤坂2-4−5 シャトレサクシーズ104

■各種関連サイト
【コーポレートサイト】https://medmain.com
【プロダクトサイト】https://service.medmain.com

■お問い合わせ先
メドメイン株式会社 広報担当: pr-m@medmain.com
 

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会社概要

メドメイン株式会社

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URL
https://medmain.com
業種
医療・福祉
本社所在地
福岡県福岡市中央区赤坂2-4-5 104
電話番号
-
代表者名
飯塚 統
上場
未上場
資本金
11億9000万円
設立
2018年01月