業界初(※)、xEV車向けAVAS(車両接近通報装置)専用の音声合成LSIを開発
ハードウェア構成とGUIソフトウェアにより開発工数を大幅削減
<要旨>
ロームグループのラピステクノロジー株式会社(以下、ラピステクノロジー)は、業界初となるxEV車(電動車)向けAVAS(車両接近通報装置)専用の音声合成LSI「ML22120xx」(ML22120TB、ML22120GP)を開発しました。
「ML22120xx」は、通報音の生成機能やフェード機能、イコライザ機能からなる専用のハードウェアで構成されています。また、専用GUI(*1)ソフトウェアを使用することで、AVASに必要な音量や周波数特性などの法規制(*2)に対する適合が容易です。
新製品は、ハードウェア構成のため、マイコン構成と比較してソフトウェアの検証が不要で、開発にかかる時間を大幅に短縮できます。また、簡単なコマンドで制御できるため、通報音の立ち上げが通常のマイコンで生成する方式に比べて1/10以下の時間で行えます。そのほか、メインマイコンとの通信異常や外部部品による異常発振を検知する故障検知機能も備わっており、車載の信頼性に貢献します。
なお新製品は、2023年9月より当面月産10万個の体制で量産を開始(サンプル価格1,000円/個:税抜)しています。ML22120TBならびに評価ボードのインターネット販売も開始しており、チップワンストップやコアスタッフオンラインなどから購入することができます。生産拠点は前工程がラピスセミコンダクタ宮城工場(宮城県)、後工程はROHM Integrated Systems (Thailand) Co., Ltd.(タイ)となります。
ニュースリリースページ:https://www.rohm.co.jp/news-detail?news-title=2023-11-09_news_speech-synthesis-lsi&defaultGroupId=false
<背景>
カーボンニュートラル(脱炭素)社会の実現に向けて、ハイブリッド車や電気自動車(EV)が増加しており、これらの車両はモーター駆動時に音がしないため、歩行者に接近を知らせる通報音が法令で規定されています。通報音をマイコンで生成する場合、音のピッチと音量を滑らかに制御し、車両形状に合わせた特性を調整する必要があります。このため、マイコンソフトウェア開発の負担が増大し、またマイコンの他のソフトウェア処理との検証も必要です。これらの課題に対して、ラピステクノロジーは音声合成LSIの実績と技術を活用し、高音質をハードウェア構成で実現することで、AVAS(車両接近通報装置)開発の負担軽減に貢献できる新製品を開発しました。
<製品のラインアップ>
<アプリケーション例>
AVAS(車両接近通報装置)
車外通報音(スライドドア開閉音、充電完了音)、など
<サポート>
下記公式Web上の音声合成LSI紹介ページにて、製品の概要を紹介しています。
https://www.rohm.co.jp/lapis-tech/product/speech/ml22120
<評価ボード、GUIソフトウェア情報>
評価ボード「RB-D22120TB32」と専用GUI(Graphical User Interface)ソフトウェアをサウンドデバイスコントロールキット「SDCK3」で提供。音声データの生成から通報音の補正・試聴まで簡単に評価できます。
<インターネット販売情報>
販売ネット商社:チップワンストップ、コアスタッフオンライン
「ML22120TB」ならびに評価ボードは、それ以外のネット商社からも順次発売していきます。
(販売開始時期:2023年10月から)
・製品情報
販売対象形名:ML22120TBZ0B-MX
評価ボード品番:RB-D22120TB32
サウンドデバイスコントロールキット品番:SDCK3
<用語説明>
*1) GUI(Graphical User Interface)
コンピューター画面での表示に図形や画像など使用し、マウスやタッチパネルで操作できる機能。
*2) 法規制
AVAS(Acoustic Vehicle Alerting System)搭載の義務化は、国連欧州経済委員会(UN/ECE)自動車基準調和世界フォーラム(WP29)の「静音性車両に係る協定規則(第138号)」で採択された。車両接近通報音の音量や特定の車速での周波数などが取り決められている。
日本国内では、その採択を踏まえて国土交通省よりハイブリッド車等のxEVで義務化されている。
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