東京大学とVIE STYLE、ウェアラブル外耳道脳波計(In-Ear EEG)を用いたゾーン・フロー状態の推定とニューロフィードバックに関する研究成果を発表
より優れたニューロテクノロジープロダクトの開発を促進
今後、n数を増やすなど研究開発を進め学術的な成果と、それに基づきより優れたニューロテクノロジープロダクトをユーザーの皆様に届けられるように邁進していきます。なお、本件は東京大学大学院工学系研究科との共同研究成果・共同発表となっています。
発表情報:
Inoue D, Ueda K, Ibaraki T, Imamura Y. Development of a neurofeedback system using In-Ear EEG for eustress-distress modulation. Poster presented at: Neuroscience 2022; Nov 16, 2022; San Diego, CA.
- 1. 研究の背景
VIE STYLEでは、フロー状態(人が認知的な課題やスポーツなどにおいて完全に集中している感覚。ゾーンとも呼ばれる状態。)の推定やニューロフィードバック(ユーザーに自身の脳の状態をリアルタイムでフィードバックし、目的の脳の状態になるよう自己訓練を行うこと。)を、ウェアブル外耳道脳波計(In-Ear EEG)で簡易に行えるようになるサービス”VIE ZONE(ヴィー ゾーン)”の開発を行っています。
しかしながら、そうした簡易なウェアラブルIn-Ear EEG脳波計で、従来の脳波計を用いたような脳の状態の検出ができるかは不透明な部分もあります。フロー状態に関する脳波を用いた先行研究として、対象の課題に応じて脳活動の偏在が起きることが知られており、言語性の課題に集中している時には左半球優位に、空間課題では右半球優位になることが分かっています。
そこで我々は、先行研究で示されるようなフロー状態をユーザーに導入し、In-Ear EEGと古典的な頭皮上脳波(Scalp EEG)を同時計測することで、フロー状態に関わる脳波データに相同性があるかを確認するための実験を行いました(実験①)。また、In-Ear EEGを利用したフロー状態のニューロフィードバックの可能性について検討する実験も行いました(実験②)。
- 実験①:頭皮上EEGとIn-Ear EEGの相同性
結果、頭皮上脳波とIn-Ear EEGとの相関は、左半球同士、右半球同士で高くなり、外耳道電極でも頭皮上脳波で記録されるのと十分に相同な信号が記録できていることが示されました(Figure 2)。
- 実験②:In-Ear EEGによるフロー状態誘導のニューロフィードバック
結果、ニューロフィードバック課題において、フロー状態に近づける脳波を出すことに成功した被験者は、より強いフロー状態を報告する傾向にありました(β=29.95 p=0.0696, Figure 4a)。同様に有意な結果とはなりませんでしたが、In-Ear EEGから解読されたフロー状態は課題のパフォーマンス(ヒット率=ターゲットに反応できたか)とも正の関係にありました(β=37.8937 p=0.3066, Figure 4b)。
なお、暖色を目指すか(フロー)寒色を目指すか(非フロー)の条件間でNFの効果(どんな脳状態になったか)については小さな差しか見られませんでした。上記のような被験者間の相対的なニューロフィードバックの成功の度合い=どんな脳状態になったかと、心理・行動の関係分析の結果、相対的に脳状態をフロー状態に近づけることに成功した被験者では心理・行動もフローに近いパフォーマンスとなる傾向がみられました(nも少なく、有意差がないことにも注意。)。
実験①、②の結果からIn-Ear EEGは、個人のフロー状態を推定するに十分な信号精度を持ち、個人ごとのフロー状態を判別するデコーダをつくり、そのフィードバックを行うことで、フロー状態に近づけることができる可能性が示唆されました。今後n数を増やしてこの予備的な結果を、さらに確実に検証する実験を行い発表していく予定です。
- イヤホン型脳波計「VIE ZONE」
- VIE STYLE株式会社
会社名 | VIE STYLE株式会社 |
代表者 | 代表取締役 今村 泰彦 |
所在地 | 〒248-0013 神奈川県鎌倉市材木座5丁目10-14 |
URL | https://www.viestyle.co.jp/ |
関連会社 | VIE STYLE,INC. (US法人) |
Podcast番組 | ニューロ横丁〜酒のツマミになる脳の話〜 (https://anchor.fm/neuro-yokocho) |
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