2025年シンガポールの投資動向とEDBの成長戦略
日本企業はシンガポールへの投資を拡大
シンガポール経済開発庁(EDB)は2月初め、2025年の投資コミットメントに関するレポートを発表しました。これらの投資は、シンガポールが先端製造業にとって重要なグローバル拠点であり、東南アジアにおける信頼できるハブ、そしてイノベーションを通じた価値創造に適した基盤としての継続的な重要性を証明するものです。
多岐にわたる高付加価値投資
EDBは2025年、分断化が進む経済、予測不能な地政学的情勢、急速な技術革新といった不安定な世界環境にもかかわらず、近年と同水準の投資コミットメントを確保しました。
企業は混乱を乗り越え、長期的な価値創出のため、信頼性が高く、安定的で、かつ良好なネットワークを持つハブを求めていました。シンガポールは、市場投入までのスピード、人材確保の容易さ、研究開発およびイノベーション分野のパートナーの存在を理由に選ばれました。
2025年の設備・インフラへの計画投資を示す固定資産投資(FAI)は総額142億シンガポールドル(以下ドル、約1兆7230億円)となりました。一方、人件費や研究開発費など、企業が事業運営のために計画する年間総事業費(TBE)は89億ドルに達しました。今後5年間でこれらの投資コミットメントが実現した場合、180億ドルの付加価値(VA)を生み出すことが見込まれています。
製造、統括拠点、研究開発への投資
固定資産投資(FAI)コミットメント額142億ドルのうち、約121億ドルは製造業からのものでした。製造業各社は、半導体やサーバー、電気自動車、バイオ医薬品・医療機器、スペシャリティケミカル、サステナブル素材、航空宇宙保守・修理・整備(MRO)サービスへの世界的需要の高まりに対応するため、工場の新設や既存施設の拡張を行いました。
例として、半導体フォトマスクメーカーのテクセンドフォトマスクは、グローバル展開を推進し、東南アジアとインドへの供給能力を強化するため、シンガポール唯一のフォトマスク生産施設を建設しました。また、スペシャリティケミカルメーカーのクラレは、域内需要の増加に対応するため、シンガポールにテクニカルセンターを設立しました。
物流企業NXシンガポールもグローバル・ロジスティクスセンターを拡張し、事業規模を約30%拡張しました。同施設はハイテク物流スペースを備え、自動保管機能や職場の安全性向上のためのAI技術を導入しています。
年間総事業費(TBE)コミットメントの大部分は、統括本部、専門サービス、研究開発部門によるものでした。世界中の企業は、引き続きシンガポールに海外戦略を担う統括拠点を構え、海外市場へのグローバル展開を推進しています。
例えば、Asahi Global Procurementは、調達業務全体へのサステナビリティの組み込み、デジタルおよびデータ主導による成長加速、グローバルサプライチェーン全体にわたる戦略的リスク管理のため、3つのセンター・オブ・エクセレンス(CoE)を設立しました。
成長分野における進展
EDBは、AIなどの成長分野で引き続き付加価値の高い投資を誘致しています。複数政府機関からなるチーム「デジタルインダストリーシンガポール(DISG)」は2024年以降、ITや製造業企業の60以上のAI CoEの設立を確保しました。DISG とGoogle、AWS、マイクロソフト、オラクルといったIT大手と連携する「Enterprise Compute Initiative」は、最大1,200社のAI導入加速を支援しています。
また、新たなプレシジョンメディシン(精密医療)分野のプロジェクトを誘致したほか、炭素関連サービスおよび取引機能、データセンター向けのハードウェアやインフラ分野における能力構築を継続して進めています。さらに自動運転車および電動化技術の発展に向けたプロジェクトも獲得しました。
深く競争力のある産業エコシステムを構築するため、多国籍企業と現地企業とのパートナーシップを一層強化し、共同イノベーション、技術移転、能力開発を促進しています。シンガポール企業庁(EnterpriseSG)と連携し、2025年には多国籍企業と現地企業によるパートナーシッププロジェクトを19件創出し、企業の効率向上および新たなビジネスチャンスの獲得を支援しました。
ジョホール・シンガポール経済特区(JS-SEZ)を通じた地域統合の深化にも進展が見られ、東南アジアへの新たなグローバル投資の誘致につながっています。今後も、経済の地域統合をさらに深化させるため、近隣諸国と双方に利益をもたらすパートナーシップの強化を続けます。
今後の方向性と重点課題
気候変動リスクや技術革新が続き、投資の競争が世界的に激化する中、成長分野でのシンガポールの優位性を強化し、持続可能性取り組みを導入しながら製造施設を最高水準の事業とする変革で企業と提携します。事業の先行きの不透明さが増す中で企業を支援するため、貿易や地政学的リスク管理といった分野でのコーポレート機能と専門サービスを拡充していきます。
EDBはまた、AIプロバイダーの誘致と企業のAI CoE設立を継続し、新興技術、エンボディドAI、高信頼性サービスの開発支援を行うとともに、将来性の高いスタートアップ企業の事業拡大もサポートします。そして、シンガポールに進出するグローバル企業の成長意欲を支えるため、熟練人材の強力なパイプラインの構築を続けます。
EDBのプン・チョンブーン長官は「2025年の投資コミットメントは、分断化が進む世界でも、シンガポールが依然としてグローバル企業にとって信頼される拠点であり、事業のレジリエンス強化と長期的な価値創造を実現する場であることを示しています。厳しい世界環境の中で、EDBは既存の成長分野を強化し、新たな成長エンジンを構築し、人材に将来への対応力を高めさせることで、質の高い雇用を生み出す投資の確保に果敢に取り組んでいきます」と述べました。
*1シンガポールドル(SGD)= 約121円(2026年2月12日時点)

シンガポール経済開発庁(EDB)
EDBは1961年に設立された貿易産業省傘下の政府機関で、シンガポールの産業育成、投資誘致を担っています。「外資系企業誘致のワンストップセンター」として、海外20カ所以上に事務所を持ち、外国企業に投資先としてのシンガポールの情報を提供するだけでなく、世界の経済、技術、市場動向を把握することで、シンガポールで競争力を発揮する産業や分野を育成するための経済戦略を立案しています。日本では東京に事務所を構え、日本企業のシンガポ ール投資をサポートしています。 最新のビジネスニュースおよびEDBが開催するイベント情報については、EDBのニ ュースレターをご覧ください。
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添付資料

参考資料A
記事中使用の用語定義
「固定資産投資(FAI)」とは、施設、設備、機械に対する企業の増分資本投資を指す。
「年間総事業費(TBE)」とは、企業がシンガポールで支出する年間の増分営業費用(減価償却費を除く)を指す。主な構成要素は人件費および賃借料である。
「年間総事業費(TBE)」とは、企業がシンガポールで支出する年間の増分営業費用(減価償却費を除く)を指す。主な構成要素は人件費および賃借料である。
「雇用」とは、投資が完全に実施された際に創出される、すべての雇用増分の合計を指す。
注:部門別の投資コミットメント分類は、最新版の「Singapore Standard Industrial Classification (SSIC 2020)」に基づく。
参考資料B 表およびグラフ一覧
表A: 部門別投資コミットメント











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