ASEAN地域の日本語ローカル人材の給与は、英語ローカル人材の給与より全体的に3~4割高い

グローバル人材紹介のJAC Recruitmentが、アジア9ヵ国の給与水準調査を実施

JAC Recruitment

  • 海外進出する日本企業が増加傾向に伴い、特にASEAN地域の日系企業では日本語人材の需要が非常に高く、給与もローカル人材と比べ全体的に3~4割高い
  • 日系企業のアジア各地の現地法人では、ローカルのホワイトカラー人材が現地トップになれない企業文化により、現地での士気が上がらず生産性が向上しない
  • 日系企業が海外で厳しい販売・開発競争に勝ち抜くためには、日本企業本社の「グローバル化」の促進と、海外現地法人の「現地化」が解決の糸口
[2015年2月18日 東京]
人材紹介事業を展開する業界大手の株式会社 ジェイ エイ シー リクルートメント(代表取締役社長・COO:松園健、本社:東京都千代田区、以下「JAC」)は、この度、当社独自の調査に基づくアジア9ヵ国の給与水準調査 (The Salary Analysis in Asia 2015) を発表しました。

今回の調査結果の特徴として、日本企業の海外展開が進むことに比例し、ASEAN諸国を中心に日本語ができる人材の需要が非常に高いことが明らかになりました。これは、現地のオペレーションを行う日本人の現地駐在員の語学力不足により、ローカル人材よりも選択肢が少ない日本語人材の採用を求める傾向が強いことや、日本の本社が海外の現地法人とコミュニケーションを取る際も日本語を好む傾向があることが要因となっています。この結果を鑑みると、日本企業本社のグローバル化の改善により、海外現地法人の「経営の現地化(ローカル人材に現地の経営を任せること)」を大きく進める余地があることを示しています。

以下、アジア各国で、特に日本語人材の給与が高く、職種は以下の通りです。
マレーシア
  • 製造業界の国内営業においては、日系企業の英語人材が4.8~6.0万リンギッドに対し、日本語人材は3.8万~最高で14万リンギッドと上限は2倍近い差が出ています(下図および資料40ページ参照)。
  • その他の職種においても、日本語人材の給与は全体的に高めに設定されています。

マレーシア 製造業 国内営業 英語人材、日本語人材比較(通貨:リンギット)マレーシア 製造業 国内営業 英語人材、日本語人材比較(通貨:リンギット)

ベトナム

  • 製造業界の国内営業においては、日系企業の英語人材が7.5~8.2USドルに対し、日本語人材は11.2~12.3USドルと3~4割高めに設定されています。(下図および資料62ページ参照)
  • 同じく、エンジニアなどの専門職(プラントエンジニア、弱電回路設計、機械・メカトロ設計等)においても、英語人材が7.5千~8.2千USドルであることに対し、日本語人材は11.2~12.3千ドルと、3~4割近い差で高く設定されています。

ベトナム 製造業 営業職 英語人材、日本語人材比較(通貨:USドル)ベトナム 製造業 営業職 英語人材、日本語人材比較(通貨:USドル)

インドネシア

  • 製造業界での営業職(商社(工業系)、スタッフ~係長級、課長級、部長級)を見ると、日系企業では英語人材の給与の上限額が、日本語人材の下限額と同じと、日本語人材がかなり優遇されていることがわかります。(49ページ参照)
  • 同じく、製造業界での専門職(サービスエンジニア、セールスエンジニア等)においても、英語人材は112~140百万ルピアであるのに対し、日本語人材は140~210百万ルピアと、3~4割高く設定されています。(下図および資料51ページ参照)

インドネシア 製造業 サービスエンジニア 英語人材、日本語人材比較(通貨:ルピア)インドネシア 製造業 サービスエンジニア 英語人材、日本語人材比較(通貨:ルピア)

中国

  • 一方、中国においては日本語人材よりも英語人材の方が給与水準が高いという、ASEAN各国とは逆の現象が起きています。例えば、製造業界の国内営業は、英語人材が80~200万人民元であるのに対し、日本語人材は60~100万人民元と、低くなっています。(下図および資料73ページ参照)
  • これは、中国国内では就職する企業形態は、①国営企業、②外資系企業、③日系企業の順に人気があり、また、給与も、日系企業は国営企業・外資系企業に劣る傾向があります。そのため、そちらを選ぶ選択肢が大きい英語人材には、日本語人材にもまして給与を出していますが、実際にはこれでも採用に苦戦しているのが現状です。

中国 製造業 国内営業 英語人材、日本語人材比較(通貨:人民元)中国 製造業 国内営業 英語人材、日本語人材比較(通貨:人民元)

昨今、多くの日本企業において、国内市場の縮小や飽和状態などの理由により事業の海外展開を模索する日系企業が増加傾向にあります。その一方で、海外で事業を成功させるためには現地の雇用・労働慣習の習得や、給与水準をそれぞれの労働市場と同等のレベルに引き上げる必要性などの課題が浮き彫りとなっています。

経済産業省の調査(※)によると、日系企業現地法人の従業員数は4年連続で増加が続いており、過去4年間で約24%の伸びを見せています。地域別の従業員数は、アジアは全体の71%を占めており、今後も増加が続くことが予想され、日本企業にとっては重要な地域となっています。 

JAC Recruitmentは1975年にイギリスで初となる日系人材紹介会社として設立以来、日系企業の海外進出支援を開始。日本では1988年に設立以降、日本と海外で成長を目指す日系企業の支援を積極的に行っています。今後も当社は、人材紹介をはじめとする様々な支援を通じて日系企業の成長をサポートすることで、日本経済の活性化に貢献してまいります。
(※) 第43回海外事業活動基本調査

 

ジェイ エイ シー リクルートメント
フェロー 黒澤敏浩のコメント

2011年から発行を開始したSalary Analysisは、2013年からJAC Recruitment Asiaとの連携によりアジア各国の給与情報の掲載を始めました。そのきっかけは、海外に進出する多くの日系企業の多くから「言語等で千差万別であるアジアのホワイトカラーの中途採用相場について、目安が分かる資料が欲しい」との要望をいただいた経緯によるものでした。

このSalary Analysisは日系企業と外資系企業の給与の比較に加えのみでなく、アジア各国に進出する日系企業が抱えている人事課題を、給与面からも裏付けることができます。メディアの皆様には日本とアジアの給与事情の情報収集目的として、企業には人材採用力の強化に裏付けられた海外事業展開を進める一助として、お役立ていただければ幸いです。

「The Salary Analysis in Asia 2015 (アジア各国給与ガイド 2015年度版)」について
JACリクルートメントが9ヵ国の海外業務提携先ヶ国 (シンガポール、マレーシア、タイ、ベトナム、インドネシア、香港、中国、韓国、インド)と共同で、各現地法人の採用動向に基づき当調査を実施。人材紹介サービスを利用している企業の中途採用求人を対象として、その給与水準を資本(日系、外資系、現地系)、業界、職種ごとに区分しています。なお、日本を含むアジア各国の日系企業、現地ローカル企業、外資系企業の給与動向を比較して発表しているのは、弊社の給与ガイドのみとなります(当社調べ)。調査期間: 2014年10~11月

■ 株式会社 ジェイ エイ シー リクルートメント
1988年設立。人材紹介専業では国内唯一の上場企業であり、人材と企業を一人のコンサルタントが同時に担当する「両面型」スタイルの人材紹介会社としては国内最大の企業です。国際ビジネス経験をもつ人材の紹介を強みとしており、外資系企業、日系企業の海外事業を中心とするグローバル領域の売上が全体の50%を占めています。海外における人材採用についても、英国およびアジア7ヶ国のJAC Recruitment Group(業務提携先)とのネットワークでサポートしています。より詳しい情報は、以下ホームページをご参照ください。
[URL]
http://corp.jac-recruitment.jp (コーポレートサイト)  
http://www.jac-recruitment.jp (転職サイト)
 

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会社概要

URL
http://corp.jac-recruitment.jp/
業種
サービス業
本社所在地
東京都千代田区神田神保町1-105 神保町三井ビルディング14階
電話番号
03-5259-9915
代表者名
田崎ひろみ
上場
東証プライム
資本金
6億7226万円
設立
1988年03月